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体が欲する…

火曜の朝、息子カレーパンを口にして以来、今日まで固形物が食べられなかった。そもそも風邪なのかも…

口にすればそれが全て上から下から状態。びっくりするくらい全部出てくる。お腹も痛い。身もだえて布団の中でゴロゴロしている姿が痛々しい。水分も摂取しているけど、体の中に摂取できているかは不明。親は見ていることしかできない。

水曜日、ピタッと消化器症状止まる。
お腹の中、ついに空っぽに。
息子の細胞が何も身体に入れないことで、自分の体を守っている。相変わらず固形物は受けつけない。さすればせめて水だけでも…と親心。そんな願いもつかの間、夕方39度の高熱が。なんなんこの風邪。腹立つ〜。

朦朧としつつもポカリ摂取。かろうじて水分は取れている。熱が出たことで逆に口が乾くみたい。人体の不思議。これだけカラカラに体が枯渇したところで、水分を欲しがるとは…

水を欲しがる…で思い出す。

死に水。
世間ではそう呼ばれている。

ワタシは勘違いしていた。
死にそうになった人が最後に飲む水と。
ごめん、ばあちゃん。

ワタシの祖母を看取る時、ワタシは母の家にいた。肺癌末期、おそらく転移による足の痛みから鎮痛剤を使い、呼吸苦から祖母は母の家の電動ベットの上で在宅酸素を使っていた。ほんの数か月前にはかくしゃくと背中は曲がっているが歩いていた人が、おむつをしてベットに。頭はしっかりしているので、余計気の毒だが、ギリギリまで自分の望む状態でいられたとも言える。駆けつけた次の晩に祖母は息を引き取ることになる。

夜、母は疲れるからツカないと言ったが、祖母の状態は危なかった。ワタシが代わりにツクよと言って、その晩祖母の隣に布団を敷く。案の定夜中声をかけられ、「今までありがとうとお母さんに伝えて」と伝言を頼まれる。そして「水が飲みたい」と。もう力が残っていないだろうと、コップにストローが刺さった状態で、祖母の口元に持っていくと、ちう〜っと、美味しそうにお水を口にした。すると目が虚ろになり、呼吸もゆっくりになって…

ワタシ、これが死に水と思ってた。
ごめん、ばあちゃん。

それはさておき。
死ぬ前に体が水を欲するのに、息子と違って祖母の体は求めた水を摂取できたのになぜ死ぬんだろうと、夫に言ったら「よく、そんなコト考えつくな」って褒めてた…褒めてない、呆れてた。「遺伝子に組み込まれてるんだ」と。わからんて。

息子もちろん、水を欲して、今日の朝には元気にコロッケを食べれた。ワタシ縁起の悪いことを言ったかしらん…普通の母親なら口にしないその言葉を口にしてから、事の重大さに気づく。口にしたのがよかった身内で。そこじゃない…

息子が生きててよかった。


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