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着物から伝わる君へのメッセージ

町の文化祭に、「〇〇さんっていう、お茶の先生来てるよ」と町の諜報員の一人から通信が。

あー知ってる、近所のおばあちゃんだ。
話すと長いし、今日はいいや…

と応答するも、その後も諜報員からの、重宝できない文化祭情報が続き、段々やりとりが面倒くさくなって、結局ダラダラした休みをお互い満喫していた息子と連れ立って見に行くことに。町民の策略にはまる。

お茶は2時までだから、と言われていたけど、ここまで来たのにやっぱり面倒だなと思いとどまり、ちょっと時間過ぎた頃に、それでも悪いなと思って顔を出す。ここでも小心が…

ちょうど一人お客さんがいて、先生であるお隣のおばあちゃん、話をしていた。時間過ぎたしもういいかなと、目が合って会釈してそのまま立ち去ろうとすると、おばあちゃん先生から声をかけられ結局つかまる。

息子は母がつかまるのを承知で早々に、小学生の展示ブースに行ってしまった。

どうもー、と隣に歩み寄る。
「お茶一杯飲んでいきなさい」

いえいえお時間過ぎちゃったし、知り合いから連絡きて顔出しただけで…
「いいからいいから…」

そんなやり取りしてたら、奥からお菓子が運ばれてきた。さすがお弟子さん、阿吽の呼吸。見ると「野点傘」に「呈茶」の張り紙がある。(専門用語は帰ってから調べてみた)

私、作法知らないから〜って言うと、いいから自由に食べて飲んでって。見ると美味しそうなおまんじゅうが懐紙に乗ってやってきた。おまんじゅうに目がないワタシは、んーじゃあ、いただきますか…とそこでやっとあきらめて先生としばらく話すことを決める。

いつも3時にうちの前を通る理由や、家の前の謎のキャンピングカーについての「プチ町伝説」の真相がわかりスッキリ。自分のことも聞かれたが、まあ、おいおいねと…と長くなりそうな話をいったん切り上げる。

最後に「今度うちに遊びに来てね」言われ、謀ったかのようにこちらにやってきたできた息子を機に失礼する。

おばあちゃん先生、普段、黒とか青とかの着物を着ているところを見かけるけど、お茶の帰りよく見たら今日は赤い着物。細かい模様は点描画みたいなポツポツで山型を縁取っていた。

もっとプチプチしていたんだけど…
無知すぎてわからないなあ。

帰ってnoteを書くのに気になって調べると、おおよそこんな柄の生地だった。そして山ではなく波。


未来永劫へと続く幸せへの願い
人々の平安な暮らしへの願い

おしゃれだからと、意味の分からない英語がプリントされたTシャツ着て、実は恥ずかしいメッセージだったワタシとは違い、さらっとハレの日に、その意味をちゃんと選んで着るところはさすが先生。

大きな声を張り上げなくても、ラップに乗せて拡声器使っていわなくても、小さな町の文化祭で「お茶してかない」、なんて誘ってくるおばあちゃんが、実は平和を祈ってますって発信している。そういう大人にいつかだけどなれたらいいよね…


(文中青海波についてブログより抜粋)

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