ゲーマーだった少年も今では保育士やってます!#5〜新米保育士時代編
元少年ゲーマーが新米保育士として働き始めた、自伝的エッセイ風物語。今回は第5話です。
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組織の理不尽に直面した時、上手く合わせる事を選ぶのか、それとも自分らしく生きる事を選ぶのか。変わらない組織の体質に、もがき抵抗する。自分を見失わないように。
フトコロ先生の葛藤
うちには男性保育士が何人かいる。
この前辞めたチャラ先生は
フリーだったが、
他にも各フロアに
1人づつ配置されている。
その中でも
最年長のフトコロ先生は、
とても面倒見が良い。
『フォルテ君。何かわからない事ないかい?
私が何でも教えてあげよう!
……えっ…ない………そうか…ない…か…』
フトコロ先生は寂しそうに去っていった
『おや、フォルテ君!
今日キミ、遅番だろ?
私は偶然にも早番なんだよ!
2時間待つから、お茶でもどうだい!
もちろんおごるよ!
……ん?…悪いから…いい…そうか…いい…か…』
フトコロ先生は寂しそうに去っていった
『おお!フォルテ君!
ちょうどいいところに!
最近趣味で始めた整体術、
新しい術式を覚えたんだが。
どうだい?
試してみないかい?
疲れがふっとぶ事まちがいない…
……えっ!…怖い…
やめて……ほっといて……そうか…怖い…か…』
フトコロ先生は寂しそうに去っていった
『やあ!フォルテ君!
今日は同じ延長番のようだね!
ここは一つ、全ての準備を私にまかせ、
ゆだねてくれて構わないぞ!
……あれっ…もう…全部…終わった…
そっか……終わっちゃったんだ……』
フトコロ先生は寂しそうに去っていった
おわかりのように、フトコロ先生…
色んな先生の面倒をみようと試みるも、
ことごとく断られ
それでもめげないフトコロの深さは、
海よりも深く空よりも高い。
とっても優しい先生で
子どもからも好かれているが、
ちょっとピントがズレているため、
周りの真面目な先生たちは
いつもイライラしていた。
2人目の退職者
さんぽから園に戻った後は、
必ず着替えをする。
フトコロ先生は、乳児クラスの担任だ。
まだ、自分で着脱する事が
難しい年齢なので
手伝う必要がある。
ある日、女の子の着脱を手伝おうとしたら
『あ、やめて下さい。
フトコロ先生は男の子だけ、やって下さい。』
と唐突に言われたという。
問題はその後だ。
『気持ち悪いんですよね、ホント。
触らないでほしい。』
これは、職員会議で
フトコロ先生により
暴露された内容だ。
確かにプライバシーもあるので、
より慎重に、着脱の補助をするのが適切だ。
だから男性保育士は
主に男子を補助する、
という配慮は理解できる。
でも…でもさ、言い方ってあるだろ…
たしかに、フトコロ先生は面倒見が良すぎて、
うっとうしいと思われても仕方がなかった…
それでも、フトコロ先生は
子どもたちにすごく優しいじゃないか!
あなた達の何十倍って子どもたちのこと
受け止めて、受け入れてるんだ!
そういう姿、見えてねぇだろ!
容量が悪いとしか見てねぇだろ!
フトコロ先生は、
あなた達が理不尽に
子どもを叱りつけたあとの
フォローまでやってんだぞ!
何にも…なんにも…知らないくせに…
見た目で判断して、
気持ち悪いって簡単に
傷つける言い方をする保育士を
オレは…オレは…心から…
…軽蔑する。
心のタンクがすでにあふれきっていた。
悔しくて仕方なかった。
あふれそうな涙を必死にこらえ、
怒りをぶつけた。
「……でも…気持ち悪いって言い方…
ひどくないすか?」
キレ気味でにらみつけながら、
その後のことなんて何も考えず、
言葉が先走ってしまった。
だが、オレの言葉にかぶせるように
フトコロ先生が発言した。
『…いや、確かに今の時期はまだ暑い。
汗で気持ち悪いのもわかる。
だがねぇ、
私は男子であれ女子であれ、
どんなに汗をかいていても、
その子にとって快適に着脱ができる
補助スキル…持ってるんですがねぇ』
ガーン😱……………ちがーう!
フトコロ先生…
そこじゃ…ない… そこじゃあ………ないんです…
ピント………ズレてますから……
しかし、何かを感じ取ってのいたのだろう。
その後、保育園で
フトコロ先生の姿を見ることはなかった。
わずか半年で2人も退職してしまった。
それも、年度途中で。
保育園にいる影響力が強い人たち。
その人たちにとって
不都合があると
とたんにアンチが始まり
相手を徹底的に追い込む。
そんなひどいやり方を
目の当たりにした新米保育士フォルテ。
彼は、その後一体どのように
たち振る舞うのだろうか…
彼は、この保育園で
生き残っていけるのだろうか…
第6話に続く
ここまで読んで下さりありがとうございました🙇
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