見出し画像

ゲーマーだった少年も今では保育士やってます!#3〜新米保育士時代編

元少年ゲーマーが新米保育士として働き始めた、自伝的エッセイ風物語。今回は第3話です。
他もマガジンに掲載中です!↓


勉強なんて大嫌いだった。やる意味なんてわからなかった。でも、初めて自分の意思で選んだこの道。成長したいと願い、自然と学び始めた1年目。だがそれは、失敗と葛藤の連続だった。


   オレ、フォルテと申します。

勤務、初日。何事も1日目って緊張する。

事務室には保育園のBig Bossである園長がいる。

ここは、オレらしくNaturalに挨拶するか…
それとも、学校で教わった敬語で挨拶するか…

偽りの自分 or 偽らざる自分…どっちだ…

事務室の入口手前で悩んでいると
先輩保育士たちが勢いよく事務室に
入ろうとしてきた。

「あっ、やべぇ…どかなきゃ…」

たが、その勢いに押されて
事務室の中にねじ込まれてしまったのだ。

そして、BigBoss園長と目が合う。
これはヤバいぞ。

絶対絶命戸惑うフォルテ。

ダメだ、この空気、耐えられない…
う〜ん、思考…停止……

そして…

「あ…どーもはじめまして。
   オレ、本日よりお世話になります
    フォルテと申します。どうぞよろしく…」


………ん?なんか…

…敬語が…変だ…

クラクラ…してきた…もう、訳…わからん…


ここで初めてオレは自分の弱点に気付く。

対面で無理に敬語を使おうとすると、
凄まじいほどのエナジーを消費するのだ。

事務室に到着する前に、
先輩保育士との挨拶でエナジーを消費し、
すでにスッカラカン状態。

オレにとって敬語とは、
MPを大量に消費する
呪文のようなものだったのだ。

BigBoss園長はニヤニヤ笑いながら

    『あらっ、まだまだ子どもなのねぇ』


と自己紹介の仕方を教えてくれた。

は、恥ずかしい…


敬語は今でも苦手だ。

社会人となった今、
とりわけ仕事だけの関わりや
上司相手となると必須に近い。

逆に、敬語で話さなくてもいい相手は気が楽だ。

心を開いているからだ。

話していて全く疲れない。

だからだろうか。
多くの同僚保育士と話すと
気を使い疲れるが、

子どもが相手だと
とても楽しい。

素でいられる。

やっぱりNaturalが1番だ。


     カミナリ先生⚡

1年目、オレは3歳児クラスの担任になった。

その時に一緒に組んだ先生が、カミナリ⚡先生。

彼女はとにかくよく、カミナリ⚡を落とす。

子どもにも大人にも。

オレも毎日のように
カミナリ⚡を落とされた。

その威力は感電し、しびれ、気を失うほどだ。

気を失ってる間の記憶はない。
放心状態だ。

だが、子どもが現実世界に呼び起こしてくれる。

逆に、子どもが気を失っている間は
オレが介抱し、現実世界に連れ戻す。

だから、子どもとの信頼関係は抜群だ。
この相互関係は揺るぎない。


『せんせぇ〜、ドカン⚡が くるよぉ〜』


慣れた子なんか、
カミナリ⚡を察知して
オレにこっそり教えてくれる。

振り返ると、カミナリ⚡先生が
その体に電流をまとっている。


     バリバリっ⚡バリバリっ⚡

やばい!これは落雷寸前だ!
しかも今回のはかなりデカイぞ!

これが落ちたら
保育園は停電してしまうに違いない!

そこで、子どもとあみだした連携技を
発動させる!

すかさず、オレがカミナリ⚡先生の注意を引く。


「か、か、カミナリ⚡先生、そう言えばさっき
BigBoss園長が探してましたけど…」


カミナリ⚡先生はBigBoss園長に弱い。

BigBoss園長の名前を出すことで一瞬だが、
落雷までの時間をかせぐことができる。

カミナリ⚡先生がひるんだすきに、
子どもが間髪入れずに笑顔で近寄り
声をかける!


 『カミナリ⚡せんせぇ〜 だぁ〜いすき!』


さぁ!
ここでわれら「カミナリバスターズ」が
あみだした連携技をくらえ!

    

  放 電 ス マ イ ル ! 😁



 バリバリっ⚡バリっ⚡…バリっ……ジュ〜💨



『せんせぇ〜 バリバリ⚡がきえたよぉ!』


スゴイ効果だ…

落雷率99%に近いあの帯電を…
打ち消したのだ!

こうして、勇気ある子どもたちと
新米保育士フォルテによって結成された
「カミナリバスターズ」によって
クラスの平和は守られたのだった。

Result 症状: 先生のカミナリ⚡、帯電
   対処法: 子どもの笑顔と『大好き!』
    効果: 放電



怒りの感情💢😡ってコントロールがムズい。
フツフツと湧いてきたものを
自分でしずめていくのって、
ものすごいエネルギーがいる。

子どもは大人の顔色をよ〜く見てる。
どんな行動を取れば、大人が喜ぶのか、
怒るのか、困るのか、熟知している。

だから、カミナリ⚡先生を
怒らせないように行動する良い子を見る度に、
新米保育士フォルテは
自分の無力さに打ちのめされ、
葛藤するのだった。

                第4話に続く

ここまで読んで下さりありがとうございました🙇


勉強嫌いで少年ゲーマーだった頃の思い出を
書いたエッセイ集はコチラ↓
読んでいただけると嬉しいです!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?