私が会社員を辞めて社会のレールから外れた時の話。
私が会社員を辞めて、数年経った。
振り返ってみると
学生時代、私は私を「会社員ができない人間」だとは認識していなかった。まわりもそうだろう。学業で特別に浮くようなことも無かったし。日常生活で他者に迷惑をかけることも無かった(はずだ)。
就職活動もまわりと同じようにこなして、辛いことや悲しいことを言われたり経験したりしたこともあったけれど、折れることなく乗り越えられた。
就職して数年、症状は身体に表れた。
どんどんしんどくなる。吐き気がする、頭痛がする、お腹が痛い、下痢をする、首や肩が痛む、呼吸が苦しい…
オカシイなあ、だけれど、これは皆が経験することなんだと蓋をした。
皆これを乗り越えている。私だけが「しんどい」んじゃない。みんな「しんどい」んだ。
まわりからも「○○さんはもっとしんどい仕事をしているよ、できてる人もいるんだから」と言われる。会社は「できる人」「しんどくない人」を標準と設定する。「しんどい」私は「甘えた人間」としてより厳しく指導が入る。さらにしんどくなる。悪循環だった。
次第に蓋できなくなっていった。出勤できなくなり退職した。
今なら、過去の私にもっと優しい言葉をかけてあげられる。
・できる人に合わせなくていい
できてる人はそれはそれで、凄いよ。でも私は同じように振舞えなくてもいい。一人ひとり、キャパシティは違う。私はもう充分に頑張っていた。
・「しんどい」をちゃんと認めてあげる
「しんどい」を客観的に測る指標はない。他の人は関係ない。「皆もしんどいんだから」というのは、私の「しんどい」が消失する理由にはならない。しっかり休養を取るべきだった。
この退職から、私は「会社員」には戻っていない。
これからも戻ることは無いと思う。
それは私は「会社員」としては必要とされないだろうとわかるからだ。
「できる人」を標準として組織を形成するのが会社の利益を最大化させるためには必要なことだ。週5日しっかり働いて、必要があれば残業して、会社のメンバーとも適切にコミュニケーションを取って…という社会の「普通」が私には難しい。
「簡単なことなのに、どうしてできないの?」と思われるかもしれない。実際にそういう言葉をかけられることもある。「簡単なことだよ、タイミングが悪かったんだね、戻っておいでよ」
できる人には、できない人の気持ちは絶対に理解できない。
キャパシティが小さい私を、認めてあげられるのは私しかいない。
だから私は会社員には戻らず、バイトして暮らしている。
将来の保証はない。給料も下がったけれど、不思議と前ほどしんどくない。
「バイト」としての私なら、必要とするところは今はあるらしい。
5日間働くのがきついときは、シフトを調整すればいい。合わない人がいたらフェードアウトできる。嫌なことがあってもずっと耐えなければならない、という心の負担から解放されている。
デメリットもある。
まずバイトに保証はない。突然クビになることもあり得る。ただ、私だって突然辞めてやることもできるんだ!くらいに思うことでこれを許容している。むしろそのくらい気楽な方が今の私にとっては心地がいい。
それから給料は少ない。これは物欲をほとんどゼロにすることで対処している。もともとたくさん稼いでたくさん使いたい方ではなかったことも良かった。推しもいない。生活に必要なものが買えればいいかな、というミニマリスト思考は会社員を辞めてから身に付けた処世術でもある。会社員時代のように高ストレスでなければ、それに伴った散財も減らせる。
社会の「標準」と言われるレールからは外れてしまっただろう。出来るならレールに乗ってるに越したことは無いだろうが。できなくても、そのレールから外れて少し楽に息をしていいはずだと私は思う。
レールを外れる時に痛みを伴う場合もある。私は辛かった。学生まではなんとなくレールに乗れていたからこそ、「私は異常者」なのではないかと怯える気持ちもあった。だけれど今は、異常者でもいいやと思えている。
異常者としての私の方が息がしやすい。
まわりからの視線は無視だ。彼らは口は達者だが、真に私に心を寄せることはない。言わせておけばいい。そんな者の意見など聞くだけ無駄だ、というのを会社員時代に学んだ。
今、「闇バイト」のニュースが連日世間を騒がせている。彼らも、私のようにレールに乗れなかった人間なんだろうか、と思うと苦しい。闇バイトの要項が、正規の仲介業者に「それ」とわからないようにして載せられているとも聞く。バイトという雇用形態に救われている私は、「バイト」そのものが悪であるというふうになってほしくはない。世間一般には理解されないかもしれないが、正社員ができない私のような弱者もいるのだ。
それに「闇バイト」という単語の響きが先行しているが、内容は強盗殺人という犯罪だ。だからこそ、もしバイトの仲介業者が犯罪の温床になっているのだとしたら、仲介業者側の審査を厳しくするなどの対策が取られる必要があると思う。
バイトは犯罪ではない。今の私が社会と心地よく繋がれるツールだ。
「闇」には気を付けて、これからも私らしく生きていきたい。
ただの自分語りだけれど、私と同じように社会で生きづらい人間が、一人ではないということを確かめられるnoteになっていればいいなと思う。
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