【読書メモ】出会いと絆の話。アイネクライネナハトムジーク
伊坂幸太郎さんの小説、アイネクライネナハトムジークを久しぶりに読み返しました。
ちょっと変わった形で生まれた本で、
シンガーソングライターの斉藤和義さんが伊坂さんに歌詞を依頼。歌詞は書けないけど、小説なら···と伊坂さんが小説を執筆。その物語を斉藤さんが曲(ベリーベリーストロング〜アイネクライネ〜)にしたという流れのようです。
普段、恋愛を書くことのなかった伊坂さんですが、和義さんから提案されたテーマは「出会い」。伊坂さんは和義さんの大ファンのため、一緒に仕事できるチャンスを逃すまいと、書き慣れないテーマではあるものの頑張って書いたらしいです。
私も20数年前から斉藤和義さんの音楽が大好きです。そして伊坂さんの小説もけっこう読んでいたので、2人が組むというのは、私としてはかなり盛り上がる出来事でした。
いくつかの短編で構成された本ですが、ぜんぶつながりがあります。こっちでちらっと出てきた人が次の主役となったり、その逆だったり。
全ての人の人生に出会いがあり、ドラマがある。
現実もそうで、一見劇的じゃない平凡な人生にもティンパニが鳴り響くことはきっとある。
最初の主人公が佐藤くん(日本で一番多い苗字)なのも、きっとどこにでもいる誰かの物語という意味かなと思います。
そして、人生はひとつの出会いで変わることがある。
あの日あのとき、あの場所に行かなければ、、、
とか、
あの日あのバスに乗らなかったら、、、
みたいな、どこかで聴いた歌のようなことを誰しも思ったことがあるでしょう。
斉藤さんの別の曲の歌詞で
偶然と必然 キャッチする努力
というところが好きなのですが、読んでいたらそれがふと浮かびました。
本当に人生は不思議でおもしろい。
アイネクライネナハトムジーク、
殺し屋の出てこない、あったかい伊坂ワールドです。
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