夜を克服したい|08.20

私は夜が苦手だ。

夜は、真正面から自分と対峙しなければならないし、自分という人間の輪郭を鮮明に見せつけられるから。

どれだけ楽しい休日を過ごそうと、幸せな出会いに恵まれようと、仕事で成功しようと、結局自分はひとりぼっちなのだと思い知らされる。夜の、あの漠然とした孤独と向き合うことがどんなに大きな試練よりも怖い。


小さい頃は眠るのが大好きで、すこし疲れたら夜の心配などせず思い切りお昼寝していたのにな。だけど今は、もしこれで夜眠れなくなったらと思うと躊躇ってしまう。大人になるって悲しい。


最近になってようやく気づいたのだけど、私はきっと夜が怖いというよりも退屈が怖いのだと思う。つい先日「暇と退屈の倫理学」という本をよんでそう腑に落ちた。毎日、少しでも幸せに有意義に過ごそうと心がけすぎるあまり、何もしないことが堪らなく恐ろしい。時間が止まってしまったようで、大切なものを失ってしまったような喪失感と自責の念でいっぱいになる。自分の存在する意味が分からなくなって、不安でじっとしていられなくなる。

だから、何もせずただ目を瞑るという行為そのものが恐ろしいのだと思う。思考も感情も働かない休息を極度に拒むのは無価値で無意味な自分を目の当たりにしたくないからなのだと思う。命は有限なのだと、時間はあまりに残酷に過ぎ去るのだと、そう気づいてしまってからは意味もなく生き急いで焦って、そんながむしゃらな自分に依存するようになっていった。頑張ってる自分が好き(頑張らない自分になりたくない)状態だった。だけど本当はただ有意義に過ごしたいだけなのに、寝る暇さえ惜しんでしまうなんて本末転倒もいいところだ。


そう気づいてからの目標は、気持ちよく眠れる日を1日でも増やすこと。

当たり前だけど睡眠は日中の活動のためのエネルギーとなる。そして、退屈を恐れない練習にもなる。今すぐに動くことを優先しすぎて立ち止まれなくなってしまっていた自分を一旦リセットして、また気持ちよく次の日を迎えたい。だから、これからは睡眠の質を高めることを第一に過ごそうと思う。

眠れなくても焦らない。だけど、自分の心や身体の疲れにちゃんと気づきたいし寄り添いたいから、眠ることと同じくらい心地よい夜の過ごし方を大切にしたい。

そうして自分なりの夜の越え方を見つけていきたいな。


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