諸岡亜侑未

普段は石を彫ったり、箱庭を作ったりしています。 作品など→https://moro-oka.jimdo.com ご連絡→morooka.aym@gmail.com

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マガジン

  • 石のはなし

    石について書いた記事をまとめました。石を彫る人として、石を拾ったり眺めたりする人として、様々な視点から石について考えています。

  • 作品をつくること

    普段作品を作りながら思うこと、考えたこと、そんな話をまとめています。

  • 音楽のはなし

    好きな音楽についてたらたらしゃべっているnoteをまとめてみました

  • 物語について、ファンタジーについて

    物語について、ファンタジーについて考えたことや、読んだ本の読書感想文など

最近の記事

宇宙ー石ころー自分

 石がごろごろ転がる川べりを石を鳴らしながら歩く時、石ころを拾う時、拾った石ころをポケットの中で転がすとき、宇宙について考えることがある。  子供のころ、宇宙の果てとか、宇宙の始まりとか、そういったものについて考えては怖くなることがよくあった。そういう自分の想像力の限界をこえたスケールのものについて考えると、自分の存在や今あるこの世界はなんて瑣末なものなんだろう、と感じて怖かった。自分達からすれば、何億年という時間のスケールは永遠にも感じられる途方もない時間だが、宇宙にとっ

    • 石のかけら捨てるものあり、拾うものあり

      石を彫っていると、当たり前だが細かい石のかけらがたくさんでる。1日の作業が終わると、制作で出たたくさんの石のかけら(もしくは、石の粉)を集めて作業場の外の地面へポイとやる。そんなこんなで、わたしが利用している共同アトリエの地面は様々な種類の石のかけらで満ち満ちている。 ところで、わたしの母校である東京藝術大学では例年9月に藝祭というお祭りがある。そこかしこで話題にされるので、知っている人も多いだろうが、学生たちがお神輿を作ったり展示をやったり、居酒屋のような店をやったり、ア

      • デトロイトをプレイしてパレスチナについて考えた ー その「暴力」はどうして選択されたのか

        先日、「デトロイト ビカム・ヒューマン」というゲームをプレイした。その時、今起きていることと重ねて考えたことを文章として残しておきたいと思う。 最初、ひたすらデトロイトのストーリーの説明が続くが、デトロイトを知っている人は最初の大まかなあらすじ部分は読み飛ばしてもらって構わない。逆に、デトロイトのネタバレを食らいたくない人は、この記事を閉じてもらえればと思う。 デトロイト ビカム・ヒューマン(非常に大まかなあらすじ) このゲームには3人の主人公が登場する。そしてその3人

        • 彫刻の本質を考える

          この記事は前回の記事「次元を問う ー作品が立体になる時」の続編です。 単体でもお読みいただけますが、ぜひ合わせて読んでいただければ幸いです! "従来の彫刻"が指す価値観ー彫刻の成り立ち 「立ちあがるかたち」の展示のステートメント及び「次元を問う」シリーズのアンケートの中でも、"彫刻"という言葉をあえて避けて"立体作品"という言い方をしてきた。正直、"彫刻"という言葉は文脈によってその意味の変容するところがあり、説明が難しいと考えていたからだ。 それに比べたら「立体 / 立

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        • 石のはなし
          5本
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          8本
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        記事

          次元を問う ー作品が立体になる時

          はじめに こちらは先日ART TRACE GALLERYで開催されたグループ展「立ちあがるかたち」の中で展示した「次元を問う」という作品シリーズの振り返りを軸に作品における平面・立体の定義や、立体作品と彫刻の違いを考えるnoteです。 展示作品をご覧になっていない方でもわかるように、写真も含めてまとめていますのでよければぜひ! どこからが立体作品なのか、という問い 「諸岡さん、作品が彫刻として成立する要素って何ですか」 「彫刻って、どこからが彫刻なんですか」 これは、今回

          次元を問う ー作品が立体になる時

          内と外、わたしとあなたの間にあるもの ー 「呼吸する窓」によせて

          個展「呼吸する窓」に向けて、ステイトメントと呼ぶにはいささか長くてまとまらない文章を書こうと思う。 長い間、わたしにとって制作することは自分と向き合うためのもので、制作している時間というのは1人きりでいられる時間だった。学生の頃は作品について話をするのも苦手だった。言葉にしてしまうことにずっと恐れを抱いていた。(数年前、noteで作品の話を少しずつ書くようになったのはそれを変えようとと思ったからだ。) 今でも、もちろん1人になるために制作している部分はあると思う。でも、ここ

          内と外、わたしとあなたの間にあるもの ー 「呼吸する窓」によせて

          【漫画】事実婚ってぶっちゃけどんな感じ?

          昨年11月にパートナーと結婚しました。事実婚のため、お互いの名字はそのままです。 という話をすると、事実婚についていろいろ質問をいただくので漫画にしてみました。(あくまで私たちの場合、という話もたくさんあります。) 事実婚や、夫婦別姓が気になる、という方の参考になればと思います(あんまり参考にならなかったら、ごめんなさいね) 私自身、事実婚を選ぶ前、いろんな方の体験談を読ませていただきました。とても参考になるnoteやブログのリンクも貼っておきますので、よければ一緒にご覧くだ

          【漫画】事実婚ってぶっちゃけどんな感じ?

          不器用で生きるのが下手でも人生はつづく

          最近Twitterでバズっていた漫画「普通の人でいいのに!」を読んで、角田光代の「あしたはうんと遠くへいこう」という小説を思い出したので、その読書感想文を書こうかなと思う。 *「普通の人でいいのに!」と「あしたはうんと遠くへいこう」のネタバレがあります。 ちなみに、件の漫画を読んだ感想として、わたしは 「ああなんて人間て不器用なんだ…でもわかる、だから愛しい、わたしもあなたも生きるの下手くそだけど頑張って生きていこうよね…」 みたいな気持ちになった。なったんだけど、なんだか

          不器用で生きるのが下手でも人生はつづく

          そこから海は、見えたんやろか

          大学生のころ、高校の演劇部の時の友達が劇団の制作をやっていて、東京で公演があるのでうちに泊めてくれとやってきたことがあった。 ちょうど春休み中、わたしも時間を持て余していたので、何日か彼女の仕事を手伝わせてもらうことになった。高校を卒業してから、観客席以外の場所から演劇に関わることがなかったので、すこしワクワクしていた。 下北沢の小劇場はうちからは遠かったが、ほぼ一本の電車で行くことができた。 劇団は関西では結構老舗で有名だった。わたしも大阪にいた頃、一度見たことがある。

          そこから海は、見えたんやろか

          音楽についた匂いをかぐ

          今朝起きて、ふと「ああ、久しぶりにくるりが聞きたいな…」と思って、くるりの(かなり古い)ベスト盤を聴いている。 くるりは、実家の匂いがする。 彼らの音楽を聴くと、実家にいるような気持ちになる。 目を瞑ると、そこには実家のリビングのソファがあり、テーブルがあり、ブラウン管のでっかいテレビがあり、わたしたちは紅茶を飲んでいる。 今はもうない風景が、ありありと浮かんでくる、そこに生活していた空気の匂いがする。 実家にいたことろ、わたしは小学生のころからウルフルズがめちゃめちゃ

          音楽についた匂いをかぐ

          石の時間について考える

          「石ってものすごく壮大な年月をかけてできたもので、もう石そのものの存在がかっこいいじゃん、だから俺なんてかなわないと思っちゃって、石を彫ろうとは思えないんだよね。」 と、そんなことをある人に言われたことがある。 その人に限らず、このような意見はよく聞くし、なんならわたしもそう思う。わたしなんかが彫ったものより、石そのものの方がよっぽどかっこいいじゃん、と。 わたしも、かなわないと思う。石そのものには。 そう思いつつ、石を彫っている。 だけど石そのものよりカッコいい作品を

          石の時間について考える

          穴を掘ること、水を待つこと、そしてそれから、

          「諸岡って穴を掘ってるみたいな進み方だよね」 と、友達にそんなことを言われたのは予備校時代、浪人生の時だ。 その頃わたしたちは藝大目指して毎日毎日、石膏像をデッサンしたり、水粘土で自分の頭部を作ったりしていたわけだけど、その受験に向かう姿勢、進み方が「穴を掘っているよう」だと言うわけだ。 どのあたりでそう思われたのかわからないけど、まあなんとなく、自分でも納得できた。 穴を掘ってるよね、というその言葉を今でも制作しながらよく思い出す。 あぁ、そうだよ、無事に大学に受かっ

          穴を掘ること、水を待つこと、そしてそれから、

          Dig up and Build 【展示のお知らせ】

          個展のお知らせです。 また近々、今回の作品や、プロジェクトについてnoteでおしゃべりできたらなあと思っています。 以下、展示詳細です。よろしくお願いします。 Dig up and Build |日程 2020.3.1(sun〜3.22(sun) 12:00〜19:00 木曜休廊 【オープニング・パフォーマンス -Dig up and Build】 3.1(sun) 17:00~ オープニング・レセプションと合わせて、新作「Dig up and Build」の公開制作に

          Dig up and Build 【展示のお知らせ】

          かもめ食堂と演劇の話、そしておにぎり

          先日、今更ながら初めて「かもめ食堂」を見た。 そして見終わった感想が「久しぶりに演劇を見たなぁ」だった。 いや、かもめ食堂は映画なんだけれども。映画だとはもちろんわかっているんだけど、序盤から、ああこれ、この感覚なんだっけ?ああ、そうだ、このリズム、この間合い、これは演劇だ!と思って、演劇として見ている自分がいた。 多分、そう思って見た人はわたしだけじゃないだろう、調べたらそんな感じの視点のレビューたくさんあるんじゃないか?調べてないのでわからないけど。 何が一番そう感じた

          かもめ食堂と演劇の話、そしておにぎり

          「予感」についてー最果ての向こうの風景

          以前、「最果て」という自分が初めて大理石で制作した作品について、前編/後編と分けて記事を書いた。 その後の話として、「予感」という作品について書いてみようかと思う。 「最果て」はわたしにとって、一言で言えば祖父の死と向き合うことだった。 そんな「最果て」を彫っていた学部3年のころ、見に行った展示で非常に印象に残るものがあった。東京都写真美術館でやっていた「マリオ・ジャコメッリ展」だ。 その中にあった「死がやってきてお前の目を奪うだろう」というシリーズのうちの一枚の前で

          「予感」についてー最果ての向こうの風景

          献血ポスターとオタクの自治の話

          最近「宇崎ちゃんは遊びたい!」という漫画の献血ポスターが炎上して話題になっておりますが、皆様どう感じられたでしょうか? この炎上についてご存知ない方は下記をどうぞ。 https://bunshun.jp/articles/-/14871?page=1 (ちなみに、SNSでは太田弁護士が発言元として叩かれていますが、こちらのアメリカ人男性のポストが元ですね。) このテーマについて積極的に話すことをできれば避けたかったんですが、ちょっと思うところがあったので、書いてみようかな

          献血ポスターとオタクの自治の話