2021/01/17夢の手記
鮮明かつ深層な夢をみたので、簡単ではあるがここに残しておく。
私は新入生。
校内のそこかしこにアクアリウムの設置された奇妙な学校に通ってる。この学校は迷路のように構造が複雑かつ施錠管理が厳重で、よく移動教室の際に道に迷ったり、鍵を借りるために別の部屋を経由しなければならなかったりと面倒くさい。
教科課題に、アクアリウムに入ってる金魚やお猿さん(なぜ霊長類?)をとっ捕まえて献上する、というワケノワカランものがある。シンジくんも共感待ったナシの理不尽なミッション。クリア毎に課題も難しくなっていくという。
小中高専と、私は常に一緒に行動する特別仲良しな友達というものを作らず、基本的に単独行動だった。話す友達がまったくいない訳ではない。ただなんとなく、結束バンドのようにつながれる相手がいなかった。
今回の夢でも例に漏れず1人だ。
ただ、よく道に迷うし課題も難しかったので、どうにか助け合える仲間が欲しいなとは思った。
すると何故か場面ががらっと変わり、校内のどこか水場の近くで、私は可愛い女の子とこっそりヤッた。
その時だけ、私は男の体になっていた。
たぶん、夢特有の、「仲良くなりたい」気持ちの大袈裟な比喩なんだろうけど、いや、その、女の子可愛すぎません?今でも顔を覚えている……細身の体に、くっきりとした二重の目。暗い茶色の髪は緩くウェーブしていて、撫でる度に柔らかい。
夢のサービス精神が異様。
事が終わると、彼女は素っ気なくなってどこかへ行ってしまった。
お気に召さなかったか?……情事で愛想つかされて捨てられる男の気持ちが分かった。ひしひしと、つらい。
まぁずっとウジウジしてても仕方ないので、気を取り直して女の子の体に戻り、私は1人、課題をやりにいく。
途中、何度も道に迷った。
ようやく所定のアクアリウムに着くと、そこではまた違う系統の可愛い女の子が課題に奮闘していた。
ぽっちゃりした目の大きい子。この子も1人か。下心がちょっと芽生えるも、話をするとどうやら先輩らしい。行動を共にするパートナーとしては、私が足を引っ張りそうなのでぐっと堪えた。
彼女の課題は「デメキンを5匹捕まえること」だった。デメキンは身体こそ鯉並にでかいが、ぬるぬるしているので、捕まえるのにとても苦戦する。
途中から飽きてきた彼女は、アクアリウムの中にいるデメキンと同じくらい目の大きなお猿さん(通称デカファービー)を捕まえて「これにする」と言う。
「お父さんが言っていたの。双子はいくつになっても可愛いレディだねって。だから私、家族にこの子を見せてあげるの」
どうやらそのファービーは老年の雌らしく、双子の片割れがいるとのこと。
課題ができない代わりに、双子フェチのお父さんのためにファービーを家に持ちかえるというのだ。
彼女は腕に赤ちゃん大のファービーを抱えて意気揚々と去っていった。
先輩の勇姿を見届けただけで自分も課題に取り組んだ気になってしまった私は、「今日はもういいや」とアクアリウムのある教室を後にする。
下校はバスで。広々とした異国情緒ある荒野の道なき道を進んでいく。空は薄曇。全体的に色彩がない。
バスから降りると、停留所近くのコインロッカーに預けていた私の荷物が、ホームレスに盗まれた!と他の生徒たちが騒いでいた。
鬼神のごとき形相で激昂する私。私はとかく、他人に自分のものを荒らされたり盗まれることが嫌いだ。特に、何かに包まれているもの、収納された机や、バックの中身など。
学生時代、勝手に筆箱の中身をガチャガチャする女の子が時たまいたが、ああいった行動が地味に最も耐え難い。盗みはその延長にして最悪。赦してはおけん。
荒れ狂って街中駆け回り、ついに泥棒を見つける。薄汚いホームレスの男が2人。私の荷物をもって走っていた。
(荷物は彼氏がプレゼントしてくれたベージュの大きな肩掛けバックで、私物だ)
街のおばちゃんの巧みな協力連携プレイもあり、荷物を無事奪還する私。
泥棒のホームレスに無慈悲な蹴りと罵詈雑言、ありとあらゆる暴力を浴びせ、すっきりして帰ろうとした。すると、その様子を近くで見ていた見知らぬ女の子が私にむかってこう言い放つ。
「『あの人』だったら、泥棒相手にもここまでのことはしないわ。あなたは心の狭い人ね」
夢はここで終わる。
夢の総評:思春期に手放さざるをえなかった、己の男性性を取り戻そうとするアニムスの葛藤。
ものすごい剣幕で怒っていたので自覚はなかったが、ホームレスをとっ捕まえている間にも私は肉体だけ男になっていた気がする。まわりに協力者もおり、我を忘れていたとは言え、相手は大人の男2人。とても若い女1人の力ではねじ伏せられないだろう。
しかし、私は自分の男性性をうまく扱うことができず、そこで出会う女の子たちの心を振り向かせることはできなかった。無関心、あるいは嫌われてさえいる。
おそらく、アクアリウムは羊水のメタファー。
双子ファービーの、今回の夢に登場しなかった片割れのほうは、雄だったのではないだろうか?
現実では決して男になれない私、というのを暗に示していた。
私は今世で女を選ばされた。しかし、私が女である以上、必ずどこかに、不可視の男性である私も定義としては存在する。
その家族のもとには、半身の雌が歓迎されたわけだが……。
目が覚めた時、先に起きてPCをみていた彼氏に眠気眼で話しかけたりしていたが、無意識に一人称が「僕」になっていた。
「今朝はどうしてボクっ娘なの〜?へんなのー」とからかわれて気付く。
ちがうよ、ボクっ娘じゃない。
これは女の子がつかう特殊な「ボク」じゃなくて、
僕としての僕なんだよ。
夢の中の私は分かっていた。
たとえ肉体だけ男になったところで、私が今抱えている課題や憂鬱、コンプレックスは解決しない。
ならば今はとりあえず
女の体に、未熟な暴君を宿したまま
複雑で、面倒なシステムの蔓延るこの迷路の世界を歩いていくしかないのだろう。