コラム(13日)、自民党総裁選、迫力と訴求力不足で稀に見る“凡戦”
危機的状況の自民党。党再生に向けた総裁選挙が昨日告示され、9人の候補者が出揃った。頭数では過去最高だが、党改革にも公約の政策にも、危機的状況を打開するほどの新鮮味がない。一言で言えば迫力と訴求力に欠けているのだ。対する立憲民主党の代表選。陰が薄いうえに極めて地味。派手ならいいというわけではないが、自民党に輪をかけたように同じことの繰り返し。有権者は戸惑っている。というより、政治不信を一段と加速させるのではないか、柄にもなく心配になる。両党のトップを選ぶ選挙、何が問われているのか。個人的には旧態依然とした政治の刷新であり、時代にあった政策への大転換だ。自民党総裁候補の9人。野党第1党の代表候補4人。日本の政治をリードする13人は、旧来からある政治改革論と政策論を繰り替えしているだけだ。これこそが本当の危機かも知れない。どうする・日本。
「自民党をぶっ潰す」、小泉純一郎元総理の総裁選での発言だ。政治家というもの、嘘でもいいからこれくらいの気概を示してもらいたいものだ。「ぶっ壊す」の一言で政治のお粗末な現状と、それを打開しようとする政治家の思いが有権者にストレートに伝わる。長年の裏金疑惑に伴う政治不信、いまこそ「ぶっ壊す」の一言が必要なのだが、9人もいる候補者の誰一人もそんな過激なことは言わない。「派閥に一切頼らない選挙」(小林氏)というのが関の山か。茂木幹事長は「政策活動費」の廃止に言及した。9人の中では最も過激な発言。「幹事長なんだから、どうしてあの時に言わなかったのだ」との批判を浴びる始末。その通りだが、言わないよりはましだろう。同氏は「増税ゼロ」もぶち上げる。これは勇気ある発言だ。裏で実権を握る財務省はこれから先、何かにつけて茂木氏を外そうとするだろう。水面下で蠢く“権力者”を含めた政治改革がいまこそ必要なのだ。
増税ゼロはタイムリーなのだが、減税には誰一人言及しない。経済の好循環を後押しするためには、いまこそ大幅減税が必要なのだが、それは自民党の政策にはないようだ。唯一減税を主張していた青山繁晴氏は、推薦人20人を集められなかった。ここに自民党の本当の体質がある。「国民よりも権力の維持」なのだ。政治改革を唱える各候補の主張も、いつもとお判事で単なる見せかけだろう。9人のうちメディアの評価はダントツで小泉氏に集まっている。同氏は「経済政策は岸田政権を引き継ぐ」と公言している。引き継ぐのはおそらく経済政策だけではないだろう、外交政策も米政権ベッタリだった岸田氏の政策を引き継ぐはずだ。政策といえば聞こえはいいが実態は利権だ。小泉氏は変わらない自民党を象徴しているように見える。だからメディアも応援するのだろう。数に埋もれて見えなくなってしまった自民党の本当の体質。それは水面下も含めた利権体質と言っていい。それを「ぶっ壊す」候補者が必要なのだが、果たして、いるかの、いないのか。皆ドングリに見える。