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英語を勉強する学生・社会人のべ236人の背中を押した話と2030年の普通の働き方、あるいはマイクロコミュニティの意味について考えたこと

2018年の暮れから2ヶ月間、英語学習をこころざす人たちの背中をそっと押してみました。

驚くほど英語力が伸びた人がいるとか、この取り組みのおかげで留学が決まったというエピソードがあればかっこいいのですが、現実にはたった2ヶ月の勉強でそんな奇跡は起きません。

ただ自分に、そして周りに、ちょっとした変化が起きはじめました。その変化と、どこにでもいる学生・社会人たちのほんの少しの努力の記録、そして考えたことを残しておきます。

1. 「へらじかと朝勉強」とは何か
2. なぜ英語学習の後押しをしようと思ったのか
3. 開始から2ヶ月で起きたこと
4. 英語が「普通」になる2030年の働き方
5. マイクロコミュニティの意味について考える


1. 「へらじかと朝勉強」とは何か

300名強が参加するオンラインコミュニティ Reinventcom の中ではじめた英語学習支援の取り組みです。

仕組みはいたってシンプル。オンラインで私へらじかが英語学習に取り組む人の応援をするだけです。

■へらじかと一緒に朝勉強 ルール解説
1. 毎朝 日本時間5時台にへらじかが、勉強した?と聞きます。
2. ○○をやったよ!と答えてください。
3. 偉いね、明日は何するの?と聞くので
4. 明日は(明日も)○○です!と答えてください。
これだけです。

コミュニティメンバーであれば、参加にあたっての資格要件は特になし到達目標も学習方法も一切不問。ただ各自の継続を習慣化することだけを目標にしています。

"結果にコミット" ・・・しません。

費用は・・・かかりません。

もちろん自分も無給です。


ちなみに注意事項は以下のとおり。

人間は楽をする生き物だということを前提に制度設計をしているので「毎日必ず勉強しろ!」というマッチョな思想は廃し、むしろ三日坊主を奨励しています。

自分もこの2ヶ月で何度も寝坊していますし予告なく非開催だった日もありますが、翌朝には謝りもせずしれっと復帰しています。勉強は毎日やらなきゃいけないなんて呪いを自分自身にかけないことが継続のコツだと考えています。


2. なぜ英語学習の後押しをしようと思ったのか

先述のコミュニティには海外志向の学生や社会人が多く参加しています。自己紹介で英語力強化を掲げている方が多かったので、僭越ながら「英語学習アドバイザー」として参加している自分にできることを考えた結果、思いついたのがこの朝勉強の習慣化でした。

背景には2つの原体験があります。

ひとつは友人との朝勉強。

土曜日の早朝にカフェで待ち合わせしてもくもくと勉強し、ランチを食べて解散という習慣を半年くらい続けました。友人の友人も参加していき、それぞれみんな英語のレベルも目標も違ったけれど、休日の朝から時間を有効活用する快感を味わいました。

もうひとつは平日早朝の自己学習。

当時国内営業として働き残業や終電が当たり前だったので、仕事の後に勉強するのは困難。体力気力が残っている朝のうちに勉強をしてしまうことで習慣化を図りました。

どちらも8年前、海外部門をめざして勉強しはじめた際に、勉強時間を確保しモチベーションを保つために効果があったこと。これをオンラインで再現できたらなあと考えたうえに、行動経済学のエッセンスを組み込んで前述のルールができあがりました。


動機を付け加えるなら、自分が受けた恩なり幸運を誰かに回してよい循環ができたらなと考えたこと。早起きしてTOEICの点数を取ったことで海外部門への異動が叶い、2015年からはアメリカ駐在の機会を得ました。これには人事異動の要素が強く影響するので、運がよかったというのが多分にあります。

運であれなんであれ、得た経験を次の世代へ回せたらと考えて朝勉強の呼びかけを試行してみました。


3. 開始から2ヶ月で起きたこと

2018年11月27日からこれまでの約2ヶ月間でなんとのべ236名の方が学習記録を報告してくれました。

スベったらどうしようかと内心ドキドキしていましたが、初日から希望者が。

新規事業にも通じるものがありますが、小さなことからはじめて少数のユーザーの反応を見るというのは大事ですね。

開始1週間で他にも複数の方が反応をくださったので、その後も継続することを決意しました。

ここでご紹介しきれない方も含めて、ユニークな数でいうと20名弱の方がこれまでに参加してくださったかと思います。


みなさんとは直接の面識があるわけではないので、オンラインで背中を押す力なんて毛の先ほどの重さもありません。それにもかかわらず「誰かに見守られている」という安心感からか、この仕組みをうまく活用してモチベーションを保ち英語の勉強を続けている方が何名もいらっしゃるという結果に。

思い付きからでしたが、はじめて良かったなあと安堵しています。


そしてほんのわずかですが、継続した方々に変化が出始めています。"結果にコミットしない" のが基本路線ではありますが、やはり良い報告をいただくのは嬉しいものです。

・海外ドラマが聞き取れるようになった
・TOEICで自己最高点を記録した

そして自分自身、この2ヶ月は早起き率を高く維持できました。前述のとおり無給なので、特に何か報酬を得るわけではないのですが、画面の向こうで誰かが待っているかもしれないと思うと寒い朝にベッドから起き上がる力になります。

それもやはり毛の先ほどのかすかな力なのですが、布団でぬくぬくしようか起きようかと逡巡する際の、ほんの少しのパワーになります。


4. 英語が「普通」になる2030年の働き方

「なぜ英語学習の後押しをしようと思ったのか」の項に書いていなかったもうひとつの理由。それは、20代30代は働く上で英語からは逃げられないよ、いまのうちに勉強していこうよというややマッチョな思いを自分が持っているからです。


異論・反論・反例が多々あることは承知の上で言わせていただくと、「普通のサラリーマン」にとって英語は当たり前の世界が来る、平成と次の時代とでは「普通」に求められるスキルは全く別のものになると考えています。

日本がアジア圏の1国として中国・香港やシンガポールにあるアジアHQの下部組織になる未来はすぐそこに迫っています。(すでにそうなっている業界さえあります) 

上司がシンガポール人になり、新入社員が当たり前に英語を話す時代に、中間にいるあなたが英語を話さなかったとしたらどんな仕事をするのでしょうか。

いまの50代が「英語はいいや、定年まで逃げ切れるから」と言うのと、20代30代がそれを言うのでは意味合いが全く異なります。いまの50代を見習ってサービス残業・ド根性営業・宴会芸といった伝統芸能を極めるのもひとつの選択肢ではありますが、芸の道を究めるよりは英語学習の方がずっと簡単なのではないでしょうか。

グローバル時代に英語を話さずにどんな仕事をするつもりか。これは本noteの読み手だけに向けた話ではなく、なにより国内営業だった自分自身への問いでした。国内よりも海外売上比率の高いメーカー勤務という立場であと30年、長期的には先細りの国内市場で生きるのか、それとも世界に打って出るのか。

これを20代のうちに決断してズブズブの国内営業からグローバル人材を目指したのは、2030年の「普通」のサラリーマン像と自分の姿との対比に良い意味での危機感をおぼえたからに他なりません。

それから8年。英語は得意かと聞かれれば、帰国子女にはとてもかなわないですし時に苦労もしますが仕事では困らないレベルには到達できました。このあたりのラインが2030年の「普通」になるだろうと予測します。


そんな経験や思いをわが子の教育方針に徐々に盛り込むのと並行して、ほかの誰かにもおせっかいをやいてみようかと考え、へらじかと朝勉強という活動を小さく始めてみました。

だれかれ構わず「英語を勉強しろ」と押し付けるのではただのマッチョなので、熱い気持ちは胸に秘めつつ、海外を志す人だけを対象にほんの少しの力で後押しをするくらいに留めています。

前述の三日坊主推奨の件も同じく。「普通」のことなのだから、毎日休まず血眼になって勉強しないと英語が身につかないのでは矛盾してしまいます。時間をかけてトレーニングすれば英語の習得は可能。現に年数はかかったものの、休みながらサボりながら一定レベルを習得した事例がここにいます。


5. マイクロコミュニティの意味について考える

直近2ヶ月の活動は全てオンライン上で展開されました。これを客観視すると、鹿アイコンの自称30代会社員が誰かを応援してみたり、応援された誰かが勇気をもらったりという、文字面だけを追うととても不思議なことが起きました。

しかもその出来事に対して一番驚いているのは本人だったりします。面識もない、物理的にも届かない人の背中を言葉だけで押すことはできるのだなあと。

歴史的に見れば手紙ひとつで政治を動かしたとか国を動かしたという事例は多々あるので、言葉の持つ重さというのは今更おどろくほどのものではないかもしれません。ただそれが大統領でも国王でもない個人、一介の会社員である自分を起点に小さなコミュニティの中でおこったことだというのが非常に興味深い点。

たまたま興味関心が通じ合った個人同士がオンライン上で支えあう仕組みというのは、クラウドファンディングしかり、これからのコミュニティのありかたなんだろうなと、当事者になってみて改めて感じるわけです。怪しい、胡散臭いと敬遠していたら知りえない知見を手に入れたので悪い先入観はなくなりました。


今回のとりくみは無料・無給なので、基本的には善意の循環で成り立っています。参加人数の集計にあたっても、Slack内の236件の書き込みを べっさん にボランティアとしてカウントしていただきました。

べっさんはリクルートのエンジニアであると同時に、Forbesで人気のコラム連載をお持ちです。こうした才能あふれる方がオンラインでボランタリーに人を支える仕組みが根付きつつあるのを見ると、未来は明るいなと感じます。


ちなみに自身の最も古いオンラインコミュニティ経験は、進研ゼミのオンラインコース。中学生時代にダイヤルアップ回線料金の安い夜にネット接続し、匿名のチャットで全国の友達とFINAL FANTASY Ⅷの話で盛り上がっていたことを考えると、素養がある世代のはしりなのかもしれません。

自分の子供たちが成長し、そうしたオンラインコミュニティに足を踏み入れようとするとき、自身にその経験があるぶん頭ごなしに否定してしまうことはないだろうと安心します。

話題はそれましたが、英語を軸として始まった取り組みながら、小さなオンラインコミュニティの存在意義のようなものにも当事者として考えを巡らせる良い機会をえた、というのが結びです。


「へらじかと朝勉強」は少なくともあと1ヶ月続きます。この中間まとめ記事が読者のあなたにとって何かの刺激になれば幸いです。

そして投げ銭サポートをいただければさらに幸いです。コーヒー豆を買い、早起きをして、英語学習者の皆さんの後押しを続けてみたいと思います。

サポートはちょっと・・・という方は、前掲しました べっさんのTwitterフォローなどいかがでしょうか。自分からべっさんへ、善意の好循環を作れれば嬉しいです。

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