悪性腫瘍の早期リハ
- 手術による合併症、影響等
①呼吸器合併症
・術後合併症死の原因として呼吸器合併症の占める割合は高い。
・全身麻酔の影響や手術の侵襲によって呼吸機能が低下する。また、気道内分泌物が増加する。
・荷重側肺障害(臥床により背側の換気量は低下、肺血流量は増加)
・呼吸器能力の低下や創部痛により喀痰が困難となり肺炎や無気肺を起こしやすくなる。
呼吸器合併症予防のためには、荷重側肺障害の期間を短くする。→できるだけ早期の離床、喀痰を行う。
術後2〜4日目(リフィリング期)には、胸水貯留、喀痰の増加による無気肺や肺炎を生じやすい。また、不正脈や血圧上昇を起こすこともある。
②嚥下障害
・食道癌や頭頸部がん等の術後に合併する可能性がある。
・抜管後一時的に嚥下障害を生じることもある。
・反回神経の損傷がある場合等には、嚥下障害をきたすことがある。
③貧血
・手術中の出血だけでなく、化学療法の副作用や甲状腺機能異常、ビタミンB12や葉酸の
欠乏などにより貧血を生じる。
・運動はHb9g/dl以上を維持した方が良いと推奨される。
- がんやがん治療による有害事象
①化学療法や放射線治療による副作用
・薬物の神経毒による末梢神経障害
・放射線照射による脳障害や脊髄障害
・ステロイド(脳浮腫コントロールのため)でミオパチー
②深部静脈血栓症、肺塞栓
・心部静脈血栓症を発生するリスクが高い。臥床が続くことや手術侵襲によってさらにリスクが高まる。
③骨転移
・問題となる骨転移はがん患者のおよそ10〜15%に生じる。
・痛みがある場合、薬物による疼痛コントロールに加えて、装具や補助具での免荷や痛みの出にくい動作の指導を行う。
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合併症やADL低下を予防する効果がえられれば、患者QOLを向上するだけでなく、その後の治療の選択の幅を広げることができ、ひいては生命予後を改善するする可能性がある。