202001タイトル

恋とはどんなものかしら

モーツァルトのオペラ「フィガロの結婚」より、「恋とはどんなものかしら」

妻も子供もいて、自分で申し上げるのも何だが、恋はしやすい方だ。

「恋」を初めて意識したのは、中学校の頃だったと思う。
難しいところで、「好き」を意識したのは、恐らく小学校の頃だった。
更に難しいことに、「性」を意識したのは、ボクの場合、小学校の頃、男子に対してだった。
ややこしや。

ここは、「恋」に話を戻そう。
いや、中学校の言わば「初恋」の話についての詳細は、また別の機会に話すが、とにかく、ボクが今でも引っかかっているのは、その初恋の相手を当時、いや、もしかすると今でも、深く傷付けてしまったのではないかと、心を痛めているのだ。

ボクらは、恋をするには、まだ幼過ぎた。

そう言うと、何だか纏め過ぎだし、カッコよく語り過ぎている気もするが。考えすぎ?自意識過剰?
しかし、彼女とは、ある時期を境に、一度も話をしていない。

その後、中学校の同窓会が何度も行われているが、彼女は出席してくれない。

つい先日も夢を見た。
中学校の同窓会だった。
ついに彼女と再会するときが来た夢だった。

ボクは言いたいことが山のようにあるのだが、何と声をかけていいのかわからない。
仕方なく、ボクは傍に立って、話に耳を傾けていた。
彼女は、ボクの存在に気付いているのだが、まるでボクがいないかのように、他の女の子との昔話に花を咲かせていた。
会話のほとんどは、ボクとは関係の無い話で、ボクは話に入るタイミングも失っていた。
何故か会話は、ドビュッシーのピアノ楽譜の話になった。

やっとボクはその会話に入り込む糸口を見つけた。
「あ、そうそう、その曲は、ゼンオン(全音楽譜出版社)からしか楽譜出てないよね!高いよね!!」

彼女は、すかさず会話に入り込んだボクの顔を、見つめ、目が合った。
彼女と会話をしていた女の子が、
「いやいや、他からも出てるよ!!私、クラシック名曲集みたいな、他の本で買ったもん!!」
あくまで、夢の話である。
その後、彼女はまたボクから目を離し、その友人の女の子との会話を続けた。

あくまで、夢の話である。

しかし、夢の中でも、彼女と再度、会話することは叶わなかった。


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