叩き上げの苦労人の悪人は最悪だ
今回は、以前の職場での経験談である。
「あの営業部長は、叩き上げの苦労人で、イケイケの営業マンですごい人なんだ!!」
以前の職場では、「叩き上げの苦労人」が、役職を持ち、出世していくことが、必要以上に持て囃され、リスペクトされた。
以前の職場で言う、「叩き上げの苦労人」とは、「B to C」の各家庭を一軒ずつ訪問する、いわゆる「ピンポン営業」を経験したかどうか?である。
株主会社からの出向社員が、上司として役職に就くことが多かった、その反動でもあると思う。
そういう、出向社員や、中途採用で管理職になろうものなら、部下の営業部員は、表向きこそ、その指示に従っているものの、裏では、その一挙手一投足を冷ややかに観察し、馬鹿にするネタを探していたものである。
営業部の声が大きく(合併する毎に、実際に会社の経営方針としても営業部を重視する傾向がどんどん強くなる)、営業部員も「自分がこの会社の金を稼いでいる」という、思い上がりが強かった。
したがって、同じ社員として入っても、管理部門、オペレーション部門、技術部門、制作部門として苦労したことは、「苦労」としてカウントされない。
最初から正社員ではなく、インセンティブの高い業務委託の営業会社から採用されたり、営業専門派遣社員から正社員採用された人などは、特に周囲からの評価が高かった。
営業事務を取り纏めていたボクが、営業マンと方針が食い違ったりしたときには、「あいつは叩き上げの苦労人だから、あいつの言うことが正しい!!」と、同じ叩き上げである営業部長から、そんな理不尽な判断が下ることも頻繁にあったし、年々その傾向は強くなっていった。
しかし、実際にその「叩き上げの苦労人」と話してみると、その傾向とは、
・上には、これでもかと、媚び、ゴマをすってへつらう。
・営業が得意だから、社内営業も得意。
・同僚は常にライバル。仲間だと思っていたら、蹴落とされる。
・下には威圧的。自分が経験した苦労を下にも強いる。
・笑う表情をしても、目が笑っていない。
・常に何かに警戒している。ある意味いつも怯えている。
まぁ、ボクが見た限りだが、もしかすると、世の中には、もっと優れたカリスマ営業マンで、もっと人格的に素晴らしい人もいるのかもしれない。
しかし、ボクが出会った人は、少なくとも友達にこういう人はいて欲しくない、という人ばかりだった。
いや、ボクの以前の職場の話であって、世に言う「叩き上げの苦労人」を全否定はしない。
以前の職場にも、管理部門や、オペレーション部門に、人の気持ちをよく考えて、部下の立場を理解し、必要な時に的確に方針を示し、指示をする、頭の切れる、人格的にも素晴らしい「叩き上げの苦労人」の方もいらっしゃった。
叩き上げの苦労人の悪人が、最悪なのである。