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Scaler 2:基本的な使い方

■はじめに

Scaler 2は、様々なコード進行を提案してくれる作曲支援ツールです。よくコードを知らない初心者でも使える!なんて触れ込みを目にしますが、出来ることが多すぎるあまりその操作性は思いのほか複雑であり、下手をするとただコードを鳴らすだけのソフトへと成り下がりかねません。

とは言え、様々なコードをボタンひとつで鳴らせるのはとても有益であり、適当なメロディからコードを提案してくれたり、多くのコード進行を知れたりと、その気になればコードを学ぶための取っ掛かりとなるのもまた事実。

ここでは、そんなコード初心者に向けたScaler 2の基本的な使い方を書きとめておきたいと思います。

■Scaler 2の起動

Scaler 2はVSTでありスタンドアロン版は存在しません。そのため、起動するためには何かしらのDAWが必要となります。例えばCakewalkの場合、まず編集メニューの環境設定…にあるMIDIのデバイス設定の入力で接続したMIDI機器にチェックを入れます。

次にトラックビューの左上にある+をクリックしてインストゥルメントを選択、インストゥルメントにScaler 2をインプットにMIDI機器を選択して作成します。

インストゥルメントトラックが作成されると同時にScaler 2が起動しますが、閉じてしまったり表示されなかった場合はトラック名の左側にあるアイコンをクリックすると表示されます。

■Scaler 2で音を鳴らす

問題なく起動したらMIDI機器で音を鳴らしてみましょう。この時、ステータスバーのNOTESには押されたノートが、和音ならばCHORDにコードが表示されます。

■Scaler 2を初期化する

Scaler 2に限らず、最初はあれこれボタンを押してはその動作を確認するのが一番ですが、その前にデフォルト状態へと戻す術を知っておくと安心です。Scaler 2を初期化するにはまず右上にあるSETTINGボタンをクリックします。

次にSESSIONタブをクリックして、そこにあるCLEAR STATEのCLEARをクリック。これでScaler 2が最初に開いた時の状態へとリセットされます。

■Scaler 2でコードを弾く

Scaler 2で最も簡単にコードを弾く方法は、SCALESモードにて適当なスケールを選択することです。例えばSCALESモードにてC Major Scaleを選択すると、その下にあるSection BにCメジャースケールのダイアトニックコードが表示されます。

ダイアトニックコードにマウスを重ねるとその構成音が水色で選択され、マウスを押すとそのコードが鳴ります。

また、BINDボタンをクリックすると、鍵盤の一部がグレー表示され、そこにそれぞれのコードが割り当てられます。つまり、C2を弾くとCmajが、B2を弾くとBdimが鳴るようになり、簡単にコード音を確認することが出来るようになります。

■パフォーマンスパネル

Scaler 2では、パフォーマンスパネルにより4つのパフォーマンスを支援してくれます。なかでもPERFORMはいわゆる自動演奏機能であり、ユーザが選択したコードに対して様々な伴奏を提案してくれます。

1.PERFORM

PERFORMは、パフォーマンスパネルのPERFORMをクリックすることによりいつでも有効に出来ます。

PERFORMの右にあるPERFORMANCESをクリックすることで、コードパフォーマンスの種類を選択することが出来ます。

コードパフォーマンスには下記のものがあります。このうちARTICULATIONSは、演奏中でも緑色の鍵盤を押すことでパターンの変更が可能となります。

■ARTICULATIONS
ARPEGGIO:選択中のスケールとコードからアルペジオを演奏
STRUMMING:選択中のスケールとコードからストラム演奏
PASSAGES:選択中のスケールとコードからパッセージ演奏

■EXPRESSIONS
PERFORMANCES:選択中のコード構成⾳だけで演奏
PHRASES:選択中のスケールとコードからフレーズを演奏
RHYTHMS:選択中のコードでリズムを演奏
BASS:選択中のスケールとコードからベースラインを演奏
MELODY:選択中のスケールとコードからメロディラインを演奏
SEQUENCES:選択中のスケールとコードからシーケンスフレーズを演奏

コードパフォーマンスはPATTERNで演奏パターンを、RESOLUTIONで再生速度を変更することが出来ます。

2.KEY-LOCK

PERFORMが自動演奏なのに対して、KEY-LOCKは手動演奏する際の入力補助となります。具体的には鍵盤において鳴らせる音を制限するものであり、そのスケールおよびコードから逸脱しない音階を演奏することが出来ます。

SCALE NOTES MAPPED:スケールノートのみ(スケール外は自動補正)
SCALE NOTES ONLY:スケールノートのみ(スケール外は鳴らない)
SCALE WHITE KEYS:スケールノートの白鍵のみ(黒鍵は鳴らない)
CHORD NOTES:直前に鳴らしたコードの構成音のみ
CHORD EXTENSIONS:直前に鳴らしたコードのスケール音が1音飛ばし

3.VOICE GROUPING

VOICE GROUPINGはいわゆるボイスリーディングであり、コードを弾く際に音程差を超えたボイシングを実現してくれます。

Dynamic:C3前後の音を鳴らす
Dynamic+1 Oct:C4前後の音を鳴らす
Dynamic+2 Oct:C5前後の音を鳴らす
Grouping C1-B2:C2~B2の範囲で音を鳴らす
Grouping C2-B3:C3~B3の範囲で音を鳴らす
Grouping C3-B4:C4~B4の範囲で音を鳴らす
Open Voicing:C2を最低音として1オクターブ越えの演奏をする
Open Voicing+1 Oct:C3を最低音として1オクターブ越えの演奏をする

4.HUMANIZE

HUMANIZEは、ベロシティや演奏タイミングを変化させ人間味ある演奏を行うものです。

VELOCITY:ベロシティを変化させる
TIMING:演奏タイミングを変化させる
BOTH:ベロシティと演奏タイミングを変化させる
QUANTIZE:クオンタイズを有効にする
SWING:スイングを有効にする

ちなみに、SETTINGのPLAYBACKタブににあるEXPRESSIONS以下でパフォーマンスモードの初期値を設定をすることが出来ます。

■おわりに

最後まで読んで頂き有り難うございました。あくまで個人的備忘録ですが、何かしらの参考になれば幸いです。


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ツキシロ
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