DTM用語:ダイナミックレンジとは
■はじめに
そもそもダイナミックレンジとは、信号の最小値と最大値の比率またはその範囲を意味します。映像機器やデジタルカメラの指標としても用いられますが、ここではもちろん音声信号におけるダイナミックレンジを指します。
■ダイナミックレンジとは
音声信号の最小値と最大値の比率またはその範囲を意味します。ノイズが発生しない最も小さな音と、歪みが発生しない最も大きな音の差をデシベルで表します。
また、ダイナミックレンジは最小音から最大音までの範囲つまり音量幅でもあるため、その差が小さいと狭い、大きいと広いで表されます。
1.最小音量
電子回路には常にそれ自身が発生するノイズが含まれています。この領域をノイズフロアと呼び、ダイナミックレンジにおける最小音量とは厳密にはこのノイズフロアから抜けた直後を指します。
2.最大音量
サンプリング間隔における瞬間的な音量の最大値をピークレベルと呼び、ダイナミックレンジにおける最大音量とはこのピークレベルを指します。
つまるところ、ダイナミックレンジとはノイズフロアを抜けた直後からピークレベルに達するまでの音量幅とも言い換えられます。
■ダイナミックレンジの最適値
ダイナミックレンジが狭いと音楽的には抑揚のない楽曲となり、飽きやすくつまらないものとなります。また、全体的に音が潰れた感じに聞こえ、耳が疲れやすいというデメリットもあります。
対してダイナミックレンジが広いと音楽的には抑揚のある楽曲となり、ドラマチックで魅力的なものとなります。反面、小さな音が聞き取りづらく、音量をあげると突然の大きな音に不快感を抱くというデメリットがあります。
そう考えると、音楽的にはダイナミックレンジが広い方が良さそうにも思えますが、ことはそう単純ではなく、なにより人間の耳は音圧が高いほど迫力のある良い音に聞こえるという特性がさらに状況を複雑化しています。
例えばマスタリング時、迫力ある良い音で聞かせようとつい音圧を上げがちですが、音圧を上げれば上げるほど最小音もまた大きくなり、結果としてダイナミックレンジが狭く抑揚のない楽曲へと成り下がります。
かと言って、ダイナミックレンジが広すぎると小さい音が聞き取りづらく、抑揚はあるが迫力のない楽曲になるばかりか、そもそもどれくらいの音量で聴くかは聞き手に委ねられるため、もはやイタチごっこでしかありません。
つまるところ、ダイナミックレンジの最適値というものは存在せず、むしろどのような楽曲として聞かせたいかによって適宜広げたり狭めたりする他ありません。
ちなみに、楽曲のダイナミックレンジとして最も狭いのはEDMで6dB前後、次いでポップスやロックで10dB前後、ジャズやクラシックは20~32db前後と言われています。
■おわりに
最後まで読んで頂き有り難うございました。あくまで個人的備忘録ですが、何かしらの参考になれば幸いです。
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