DTM用語:IRファイルとは
■はじめに
IRとはインパルス・レスポンス(Impulse Response)の略であり、直訳するとインパルスに対する応答となります。インパルスとは、時間が無限小で大きさが無限大のパルスであり、レスポンスとはその応答、つまり――どういうこと?という疑問をここでは書き記しています。
■IRファイルとは
音響特性を測定してそれを保持したデータファイルです。もともとはコンボリューションリバーブ(実際のホールの反響特性を再現するエフェクタ)のデータとして利用されていましたが、昨今はキャビネットまわりの音響特性を再現するデータとして多くのアンプシミュレータで活用されています。
IRファイルは、IRローダーと呼ばれるアプリケーションまたは仕組みによって読み込まれます。アンプシミュレータでは多くがキャビネットの付加機能として搭載されており、そこにIRファイルを読み込ませることで独自の音響特性を再現することが出来るようになります。
つまり、IRローダーとはさながら高精度なキャビネットシミュレーターであり、それを実現するための情報ファイルがIRファイルだと考えることが出来ます。(なんなら市販のキャビネットシミュレーターの多くが独自に作成したIRファイルをもとに作成されていたりするらしいです)
ちなみに、IRファイルの実態はWAV形式のオーディオファイルです。再生するとわずか約0.2秒ほどの単発音が鳴るだけですが、そこからIRローダーによりキャビネット情報はもちろん、マイクの種類やポジション、ケーブル、そして空間の響き具合などなど、様々な情報を解析して再現するのですから驚きです。
■IRファイルの入手方法
IRファイルは、Logic Pro Xに付属のInpulse Response Utilityなどを利用することで個人でも作成出来ますが、わざわざ作成せずともネット上を探せば無償のものを入手して利用することが可能です。
しかしながら、個人法人問わず日本ではIRファイルを提供しているサイトが少なく、必然的に海外サイトへと訪れる必要があるため少々敷居が高いのが難点です。そう考えると、安全かつ間違いのないIRファイルを入手したければ、有償で販売されている商品を購入するのが無難かもしれません。
有償と言ってもそこまで高価なものではなく、Amplitubeでギアを追加購入するような感覚に似ています。また、これらサイトでは安心して購入出来るよう無料のサンプル版を用意してくれているため、まずはそちらを試して検討してみるとより間違いないかと思います。
また、意外と見落としがちなのがYouTubeです。ir free download などで検索すると、実際にIRを利用した演奏が聴けるだけでなく、多くが概要欄にそのリンクを載せてくれているため有り難いことこの上ありません。
■おわりに
最後まで読んで頂き有り難うございました。あくまで個人的備忘録ですが、何かしらの参考になれば幸いです。