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知らないと損をする”値決めのワナ”とは!?【チェックシート付き】


はじめに:起業家達の苦い経験

新発売「美容に効く、低カロリーでタンパク質が豊富なスムージー」

ある食品メーカーの新規事業担当者の石川さん(仮名)は、健康志向の若い女性向けに「美容に効く、低カロリーでタンパク質が豊富なスムージー」の開発を企画しました。

事前のアンケートでは90%以上の女性が「毎朝でも飲みたい!」と回答。
そして若年層のためか、ミネラルウォーターに近い安価な値段が望まれていました。

そこで、石川さんは日々全国を駆け回り、独自の調達ルートを開拓することで、「高品質なのに低価格」を実現したスムージーが出来上がりました。
販売先はターゲットが通勤で使う駅のショッピングモールです。

発売前の試飲会にはターゲット層の顧客が会社の帰りにうまく立ち寄ってくれて大盛況です。
石川さんはこのビジネスの成功を確信していました。

しかし、販売を開始すると予想の10分の1程度しか売れません。
焦る間もなく、倉庫には在庫の山、店舗からは苦情の嵐、調達先にはお詫びの電話で石川さんは大忙しです。

「そんなはずはない。」
と信じられない石川さんに上司から、

「早急に原因分析をせよ」
と緊急指示があり、分析前から結果を見るのが怖くて、石川さんの顔は青ざめていきました。

社内起業家石川さんのストーリー 1/3
事例を元にしたフィクションです 

いかがでしょうか?
在庫の嵐、、、シャレになりませんね。

アイデア段階で「いいね」「欲しい」と言ってくれた人たちが、実際のサービスは購入してくれない。
それどころか時に反対のことを言う。

社内起業家の皆さんは、自社の商品を置き換えて考えてみてください。
ひょっとして「私も似たような経験しました。」と思っている方もいるかもしれませんね。

この現象を、私は”値決めのワナ”と呼んでいます。

皆さん、こんにちは。
MOONSHOT WORKS株式会社の代表取締役CEO、藤塚洋介です。

今日は、新規事業開発において、見逃しがちな”値決めのワナ”についてお話ししたいと思います。

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”値決めのワナ”は、なぜ起こるのか?

1. 「無料」と「有料」の心理的ギャップ

TEDの動画が780万回以上閲覧されているという米国のデューク大学の心理学及び行動経済学者ダン・アリエリー教授の研究によると、人は無料のものに対して非合理的な価値を見出す傾向があると言います。

人間の脳は、「無料」という言葉に対して特別な反応を示します。
無料と「1円」は1円の差どころか何十倍の差を感じるほどなのです。

無料で好評を得たからと言ってそのまま有料で始めるとユーザーはついて来ないかもしれません。

2. 社会的承認バイアス

私たちは他人の意見に影響されやすい生き物です。
特に日本社会では、「空気を読む」文化が根付いています。

インタビューの場合だと、「あなた」に気を遣っている可能性もあります。

インタビューは顧客にとって非日常体験です。
メーカーの新事業開発の担当という「身近ではない存在」に、思わず気を遣ってしまいポジティブな意見ばかり言ってしまうタイプがこれに当たります。

そして、アイデアを聞いた時、周りの反応が良かった場合につられて「良い」と言ってしまう人も少なくありません。

例えば、社内の審議会で多くの役員が「他の人が良いと言うので、自分も同調した」と告白したケースでは、最初に「良い」と言った人は誰だったかもわからなかったのです。

3. 理想と現実のギャップ

アイデア段階では、人は自分にとって最も都合の良い使用シーンを想像しがちです。

しかし、実際のサービスは必ずしも、その理想通りではありません。
この理想と現実のギャップが、購入を躊躇させる要因となります。

ユーザーテストでは高評価を得ても実際のサービス開始後、

「思ったより準備が面倒」
「やっぱりアプリより人がいい」
「効果が出そうだけど、毎日モチベーションが続かない」

といった理由で継続利用を辞めてしまうケースなどがこれにあたります。


購買に結びつかない深層 〜前編〜

それではこのようなことが起きる深層の理由を見ていきましょう。

1. 価値と価格のバランス

価値と価格のバランス=コスパが悪いとどうなる?

価値と価格のバランスといえば

「コスパが悪い。」
「モノが良いのはわかるけど高すぎて買えない。」

などがわかりやすいユーザーの反応です。
逆に「安すぎて買わない」というケースもあったりします。

このような傾向には購買者の心理を見ていく必要があります。

「美容に効く、低カロリーでタンパク質が豊富なスムージー」を開発している石川さんの体験その2を見ていきましょう

「美容に効く、低カロリーでタンパク質が豊富なスムージー」
当初予想の1/10の売り上げ


発売開始1週間で売れない理由のアンケート分析という、辛い仕事をすることになった石川さんは、新規事業の専門家に分析を伴走してもらうことにしました。

分析結果を見て、石川さんはもっと驚きました。
あんなに「安い方がいい」と答えていたターゲット層の若い女性顧客から
アンケートで買わなかった理由として「安すぎて美容効果が怪しい」という声が多くあったのです。

しかも、買ってくれている1割は全然ターゲットと違う高年層だったことで思わず「あのアンケートは夢だったの?」とまるで現実ではないような感覚に陥ち入りました。

専門家の考察はこうでした。
「人は『高すぎると買えない』一方で、『こんなに高いのだから良い商品のはずだ』と信じる傾向があります。」

「また一方で、『毎日なのだから安ければ安いほど嬉しい』と言っていても、あるライン以下の値段では『こんなに安すぎるのだから怪しい』『美容効果は期待できない』と思ってしまうのです。」

「この場合ユーザーの期待する価値は『美容』>『安く毎日飲むこと』だったのです。

事前アンケートと違い、いざ自分の美容を考えた時に、値段より効果という本音がでたというところなので、ユーザーは決して嘘をついていたわけではないのです。」

ユーザー心理の難しさを知った石川さんは、
「何を信じればいいの?」
と途方に暮れます。

専門家は言いました。
「いい機会です!私と一緒に、学びましょう!何度でもやり直すのです。」

社内起業家石川さんのストーリー 2/3 

2. ペインポイントとの不一致※

ペインポイントを間違える=腰痛の人に目薬を渡してしまうようなもの

私が関わった社内起業家には、一度思いついた解決策にしがみつき、「ペインポイント」まで戻れなくなっている方が多くいます。

かつて私もそうでしたが「自分の解決策に酔う」のが危険信号なのです。

もし、ペインポイントが違うと出来上がるサービス・商品は全然違うものになるのに、「解決策である商品」にしがみつくことで、ペインポイントを捻じ曲げてしまう例が後を立ちません。

例え話ですが、
「目薬を作ってしまったからと言って、腰痛の人に目薬を渡してしまうようなもの」と言えるでしょう。

さらには、
「このユーザーは目が疲れているはずだ」
と後付けするようなものです。

なので、私が最初に勧めるのは、サービスの開発とかビジネスモデルを疑う前に、ペインポイントが間違っていないか?を徹底的に見直すことです。

そして怪しければ顧客インタビューからやり直すことをおすすめします。
フレームワークだとVPC(バリュープロポジションキャンバス)が有効でしょう。

ズレていたらこれまで検討した解決策は全て捨てて、ゼロから考え直し違うサービスを作る。

それが結局は近道で、社内起業家はその覚悟が必要なのです。

3. 広すぎるターゲットに向け値決めをしてしまう

ターゲット層が広すぎて、払える価格が違いすぎるのも理由になります。

例えば若年層にも顧客層を増やす為、既存より比較的安価なラインを発売するとします。

しかし、狙った若年層には「まだ高すぎる」と受け入れられず、
従来のファンには「ブランドの価値が下がった」と不評でブランドイメージが落ちて離れてしまう。

結果的に、どの層にも響かない中途半端な価格帯となってしまう。
このような例も後を立ちません。

購買に結びつかない深層 〜後編〜

4. 最大の落とし穴は「あまのじゃく」なユーザー

皆さんは散々インタビューやアンケートで価格の調査して値決めしているのではないでしょうか?

それなのに実際は売れない。
我々は顧客の本当の意見を聞けているのでしょうか?

そんな方は、一度顧客を疑ってみましょう。
なぜならインタビューの最大の落とし穴「あまのじゃく問題」が「顧客側」に存在するからです。

<価格調査の例>
パターン1「〇〇円なら買いたいですか?」
パターン2「この商品がいくらなら買いたいですか?」
パターン3 (複数の選択肢を見せて)「この中にあなたの意見に近い価格はありますか?」

あなたは、このような「直接的」なインタビューやアンケートをしていませんか?
それ以外どうするの?と声が聞こえてきそうですね。

ちょっと衝撃的かもしれませんが、実はこのような手法では
「本当のことを教えてくれない」確率が高いのです。

あなたの調査結果には「2タイプのあまのじゃく」の結果が混じっているのです。

1.「価格過敏タイプ」
このタイプの方は、とにかく価格に敏感に反応し、実際の考えより安くならないと買わないと答えてしまう。という傾向にあります。

価値と価格のバランスを無視して、時には過剰に値下げしないと買わないと発言するのです。

2.「プライド過剰タイプ」
このタイプの方は、他人の目を意識してカッコつけて「高めに答えてしまう」タイプです。
「本当は一円でも安く買いたい」と思っていてるのにそう言えないのです。

値決めのあまのじゃく

いかがでしょうか?
ひょっとして皆さんも、聞かれた側になってみると思い当たる節があるかもしれません。

このようなデータを元に価格を決めていたと思うと、ゾッとしますね。
これまでの事例のような結果になるのもうなづけるでしょう。


解決策:実践的アプローチ

では、この課題をどのように克服すればよいのでしょうか?
以下に、私たちが実践している方法をご紹介します。

1. 仮説検証では「コア機能」のみを「本当に売る」

あなたの商品の「コア機能」は何か?

アイデア段階での反応を鵜呑みにせず、小規模なMVP(Minimum Viable Product)※を作成し、「実際に課金」を伴う形でテストすることが重要です。

MVPには、試作品にコストや時間をかけずに素早く検証するという目的もありますが、もうひとつ、ユーザーが感じる本当の価値の対価がわかるという目的があります。

つまり、パッケージや付加機能の「余計なデコレーション」にユーザーも販売するあなたも騙されず、本当に欲しいものへの対価がいくらか?わかりやすいのです。

ある EC プラットフォームのケース

あるEC プラットフォームの新規事業部門はサブスクリプション型の高級食材宅配サービスを企画し、サービス全体像についてアンケートをとったところ非常に好評でした。

在宅ワーク中心の現代の共働き家庭にピッタリの内容だったのです。

そこで、値段を決めるために限定20名のみを対象に、「無料お試し版」を食べてもらい、気に入れば実際に「3ヶ月間サブスク」で継続課金するというMVPを運用しました。
MVPのコア機能=「厳選された話題の高級食材のみに絞った宅配」サービスです。

しかし、事前のアンケート結果と違い、ほとんどのユーザーは「無料お試し版」で終わってしまい1ヶ月すら課金できなかったのです。

その後、MVP版のユーザーの声を分析すると意外な発見がありました。
当初MVPのコア機能としていた、「高級食材宅配サービス」そのものよりも、コア機能から外した「調理レシピ動画」のニーズが高いことが判明したのです。

再度、ニーズを分析したところ高級食材を使ったレシピはプロ向け中心で一般家庭向けの動画は世の中にほとんどありませんでした。

そこで「高級食材を使った家庭用のレシピ動画」をコア機能にし、大幅に価格を下げたMVPを作り、再度限定20名に試してもらったところ、大きく課金ユーザー数が伸びました。

結果として「高級食材を使った家庭用のレシピ動画」を中心に、「オプションで宅配もできる」サービスにコア機能が逆転することで大きな成功を収めたのです。

事例をもとにしたフィクション


【実践ポイント】

  • MVPは最小限の機能に絞る

  • 有料での使用を依頼し、実際の支払い意思を確認する

  • フィードバックを分析し、試すサイクルを「何度も」回す


2. 価格分析テクニックを使い「本音」を調査する

「一体いくらなら買うのか?」

価格について直接質問すると、本音を教えてくれにくい「あまのじゃく」に変身してしまう、やっかいな問題があると書きましたね。

それではどうやって調査したらいいのでしょうか?

答えは出来るだけ「本音」に近い答えを「間接的に質問する」という手法です。

例えば、以下のような手法があります。

コンジョイント法
複数の機能・価値要素の組み合わせを選択してもらうことで優先順位を決める方法

価格感度分析・PSM法
顧客が求める価格を「最高価格」「最低品質保証価格」「妥協価格」「理想価格」の4つの質問で導き出す方法

導き出せるアウトプットはこのようになります。
①妥協価格    :このくらいなら高くてもしょうがない値ごろ限界
②最高価格    :高級感、高付加価値の限界
③最低品質保証価格:品質が悪いのではないか?と疑い始める価格
④理想価格    :購買に否定を持つ人が一番少ない価格

PSM法

先の石川さんのケースは、PSM分析の③「最低品質保証価格」を下回っていた可能性がありますね。

「間接的に質問する」効果として、ユーザーは本心でないことをいうのが難しいとされています。
「要はあまのじゃく」になりにくいのです。

ところで、こんなに手法が確立されているのに、間接法を使っている人はわずかなのが残念に思います。

価格分析のテクニック詳細は機会があったら記事にしたいと思います。

3.コスパを決める

値決めの科学を知ろう

京セラの稲盛和夫さんの「値決めは経営」という有名な言葉がありますが、価格設定は多くの変数が絡み合う「科学」であり「芸術」だと思うのです。

顧客が痛みを感じる「ペインポイント」や「解決策」があっていても、値決めひとつで売れる売れないが大きく変わるのです。

あなたが「売りたい価格で売る」ために大切なことは「価値」と「対価」のバランスです。

※「コストがいくらだからこの値段で売りたい」というコストファースト戦略ではないところがポイントです。

最近いい傾向だと思うのは「価格差別法」と言われる、個々の顧客が払っても良いと思う価格に合わせて、顧客ごと、またはタイミングごとにに価格を設定する方法です。

同じ商品で、買うとき、買う人によって値段が変わるやつです。

予約時期で価格が変わる「航空運賃体系」や学校への「アカデミックパック」提供、ホテルで当日に安くなる「宿泊料金」などがありますね。

これは新しいようで、スーパーのお惣菜が夕方安くなる、新幹線の子供運賃など昔からあるものの拡張といえますね。

「価格差別法」はユーザーと提供者のWin-Winになりやすいと思うのです。

【実践ポイント】
・「いくらにしないと儲からない。」から考えるコスト積み上げは一旦忘れる
・分析は「コストファースト」でなく、「マーケットイン」から始めること
・価格決定は「買ってくれそうな価格」と「売りたい価格」のバランス

終わらない、顧客への価値提案ジャーニー

終わらない価値提案ジャーニー

このように仮説検証時にユーザーに価格調査をするのは非常にセンシティブです。
みなさんも、顧客との対話を大切に敏感に反応を確認しましょう。

また、「自分で営業し売ってきた」皆さんも「営業マンや、ネットで売れる仕組み」にしないとスケールすることはできません。
ここに悩む方もいらっしゃると思います。

そして、売れる販売プロセスを構築し、検証するフェーズを乗り越えたあなたは、リリース後も世の中の変化に合わせ継続的に価格と価値提案を見直す必要があるのです。

さて、価値提案を諦めなかった石川さんはどうなったのでしょうか?ストーリーその3を見ていきましょう。

「美容に効く、低カロリーでタンパク質が豊富なスムージー」サブスクモデルで奇跡の復帰

石川さんは分析結果と専門家のアドバイスで自分の間違いに気づき、早々に発売を中止にしました。

しかし、そこで諦めずにチャレンジしました。
再度ユーザーの声を丁寧に聞き、価格分析では、専門家と共にPSM分析を採用しました。

効果や成分には自信があった石川さんは、材料や調達先、商品はほぼ同じで
半年後にブランディングをし直した「美容に効く、低カロリーでタンパク質が豊富なスムージー」をわずか半年で発売したのです。

今回の価格はなんと以前の3倍です。

ですが、半年、年間と長期契約をすると大幅にコスパが良くなるサブスクモデルを採用。

この価格で「美容に効きそう」という「ユーザーの信頼」と「買いやすさ」を両立させたのです。

結果、失敗を糧に大ヒットの商品を生み出したのはいうまでもありません。

社内起業家石川さんのストーリー 3/3

顧客への価値提案は終わらない、だから楽しいのかもしれませんね。

まとめ:「値決めのワナ」を避けるためのチェックリスト

それでは、恒例のチェックリストで皆さんの現状を確認しましょう。
発売前に以下のことができているか、YesかNoで答えてください。

  1. アイデア段階での反応を過大評価していない

  2. コア機能だけのMVPを作成し評価してもらった

  3. コア機能だけのMVPを作成し課金してつかってもらった

  4.  MVPの利用フィードバックを元に何度かブラッシュアップしている

  5. MVPを引き上げると伝えると、ユーザーから「ないと困る」置いていってほしいと言われるレベルになっている

  6.  価格設定は適切か、顧客の感じる価値とバランスが取れているか?  ※「コストに見合わない」「相応なコストだね」「コスパがいい」の3択で「コスパがいい」のみチェック

チェックリストの使い方
・3番がNOの人は特に危険信号です。
・NOが3つ以上の人はペインポイントを見直してみましょう。
・設問1つでもNOがあればその項目を注意して再確認しましょう。

 さて、みなさんはいかがでしたか?

新規事業開発において値決めはその後の事業全体に影響を及ぼす、重要かつダイナミックな挑戦と言えるでしょう。

ぜひ、あなたの選択やあなたのアイデアをコメント欄で共有してください。一緒に、未来を創る旅に出かけましょう。

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用語解説
MVP(Minimum Viable Product)
MVP(Minimum Viable Product)とは、顧客の課題を最小限の機能で解決し、迅速に市場で検証するためのプロダクトを指します。

完璧な製品やサービスを目指すのではなく、まずは最低限の状態でリリースし、顧客からのフィードバックをもとに改善を繰り返すのがポイントです。
これにより、開発段階で多くの時間やコストを費やすことなく、実際の市場ニーズに適したプロダクトを作り上げることが可能になります。

フルスペックの製品を初めから作ると、後から大きな修正が必要になった場合、その労力が無駄になるリスクがありますが、MVPなら最小限の投資で早期に顧客の反応を確認でき、柔軟に軌道修正ができます。

MVPにはプロトタイプ、プレオーダーなどの手法があり、プロダクトのアイデアの成熟度に応じて最適な方法を選ぶことが重要です。
MVPを導入することで、リソースを効率的に使い、より確実に顧客ニーズを満たすプロダクトの完成に近づくことができます。

ペインポイント
ペインポイントとは、ユーザーが「お金を払ってでも解決したい」と思うような悩みや課題のことです。
英語の「ペイン」は「痛み」を意味しますが、ここではその痛み、つまりユーザーが感じる大きなストレスや問題を指します。

そして、ユーザーが「この痛みを取り除くためならコストをかけるのも仕方ない」と感じるレベルの悩みこそが、ペインポイントです。

ここで重要なのは、「お金をかけてでも解決したい」という部分です。単なる不便さや軽い不満ではなく、ユーザーにとってそれが真剣な問題であれば、彼らはそれを解決できる製品やサービスに対してお金を払う価値を感じます。つまり、ビジネスやマーケティングにおいては、このペインポイントを見つけ、その解決策を提供することが、自社の顧客を獲得するための大きな鍵になるわけです。

バリュープロポジションキャンバス
バリュープロポジションキャンバスは、自社の製品やサービスが顧客のニーズとどれだけ合致しているかを整理するためのフレームワークです。
アレックス・オスターワルダーが2015年に発表した『バリュー・プロポジション・デザイン』で紹介されました。

デザイナーがキャンバスに絵を描くように、自社が顧客に提供できる価値「バリュープロポジション」と、顧客を理解するための「顧客セグメント」を同じ紙面に描き出すことで、両者の関係性を可視化します。

これにより、自社の価値と顧客のニーズのズレを解消し、より効果的な製品やサービスの開発が可能になります。特に市場が未成熟で、競合が少ない状況では、顧客理解が市場開拓の鍵となり、このフレームワークが大いに役立ちます。

用語解説


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