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「失敗しないためのサステイナブルな新規事業組織とは!?」【自己診断チェックリスト付き】

「優秀な外部パートナーに任せたものの、契約が切れたら縁の切れ目。結局、社内にはノウハウが残らなかった...」

新規事業の立ち上げは、多くの企業にとって成長の要です。
しかし、その過程で陥りやすい罠の一つ、私が新規事業立ち上げに携わる中で、最も頻繁に耳にする悩みの一つが外部パートナーへの過度な依存です。

例えば、ある大手製造業では、IoT事業の立ち上げを外部コンサルティング会社に委託しました。

プロジェクト終了後、素晴らしい戦略提案書は手に入りましたが、実際にそれを実行に移す段階で社内の理解が追いつかず、結果として事業化に失敗してしまいました。

この記事では、この問題の根本原因を探り、持続可能な解決策を提示します。

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外部パートナー依存の実態

私の経験から

高額なコンサルティング費用を支払い、素晴らしい戦略提案を受けたものの、実行段階で行き詰まる。

私自身、新規事業開発に携わっていた時代に、この問題に直面しました。

新規事業は成功確率が低いのですから、数も大切です。
いくら大きな企業でも失敗から学び、力にしていく必要があるので、すべてのプロジェクトをコンサルティングを受けるのは不可能に近いのです。

しかし、同様のパフォーマンスを出すには契約を続けるしかなく、まさに「金の切れ目が、なんとやら」になってしまったのです。

そんな経験が、現在の私のビジネスアプローチの原点となっています。

この経験から、外部の知見と内部のリソースを効果的に統合することがサステイナブルな新規事業開発を進めるための重要なポイントであることを痛感しました。

もうひとつ、私が以前にレーシングチームを運営していた時に、似たような経験があります。

私のチームに属していた若手ライダーに科学的なアプローチで走り方をアドバイスしたところ、走りが改善しラップタイムが向上したのです。

そのライダーは嬉しかったのか、次は何をしたらいいのか、頻繁にアドバイスを求めるようになりました。逆に、誰かに聞かないと自分では練習計画が立てれないとも言える状況です。

 求められるアドバイスには、以前にアドバイスしたことと「シーンは違うが同じこと」が多く、なぜそのアドバイスが有効だったのか理解していないということがわかりました。

当時は自身もレーサーだったので、全ての練習に付き合い、答えてあげるわけにもいきません。

そして何よりも、これでは逆に「本人が育たない、成長のチャンスを奪っているかもしれない。」と感じたのです。

そこで、練習や試合のない日にレーシングライダー向け勉強会を実施し、早く走るための論理を皆で学んだり、質問に答えていく時間を作り、自分で練習計画が立てられるように「育成型」の指導を行い始めました。

レーシングライダーも周りのアドバイスを参考に練習計画を立てる

新しいマシンで未知のサーキットを攻略するために、方法論を学び実践する。
私からすると新規事業もバイクレースも似ていると言えるのです。

なぜノウハウが社内に残らないのか?

コンサル頼みになりすぎるリスクにご注意

それでは、この問題を詳細に考えていきましょう。

1. 知識移転の構造的問題

多くの外部パートナーは、自社の独自メソッドやツールを用いて分析や戦略立案を行います。

これらは往々にして「ブラックボックス」化されており、クライアント企業がその本質を理解し、内在化することは困難です。

例えば、市場分析に特殊な AI ツールを使用する外部コンサルタントを起用したとします。

結果は素晴らくても、そのツールの仕組みや解釈方法は社内に共有されるわけもなく、次のプロジェクトで自社だけでは同様の分析を行うことができません。

2. 短期的成果主義のワナ

四半期、または半期ごとの業績評価が一般的な現代のビジネス環境下では、経営陣は往々にして即時の成果を求めがちです。

これが、長期的な組織能力の開発よりも、外部パートナーによる「即効性のある解決策」への依存を助長しています。

例えば、新商品開発のたびに外部のマーケティング会社に依頼するとして、短期的には効果があるものの、自社のマーケティング部門の能力が長期的に停滞してしまう結果になりがちです。

3. 受動的学習態度

外部パートナーの存在が、逆説的に社内チームの主体性を奪っている場合があります。

「専門家に任せておけば大丈夫」という安心感が、能動的な学習や挑戦の機会を減少させているのです。

結果として、プロジェクト終了後も社内メンバーがノウハウを十分に理解できておらず、新サービスの開発に苦戦することになってしまうのです。

4. 組織の免疫反応

新規事業は往々にして既存の組織構造や文化の変革に挑戦します。
外部パートナーの力で強制的に変革にチャレンジして成功することもあります。

しかし、外部パートナーが去った後、組織が元の状態に戻ろうとする「免疫反応」が起こり、せっかく得た知見が薄れていくことがあります。

例えば、DX化のプロジェクトを外部コンサルタントと共に進めたとして、社内に反対勢力があったとします。
トレンドからも、効率化の観点からも、ロジックからも外部のコンサルタントに敵うわけもなく、一旦成功したとします。

しかし、プロジェクト終了後、コンサルタントがいなくなった途端に、いろんな「もっともらしい理由」で従来の紙媒体中心の考え方に逆戻りしてしまい、せっかく構築したデジタルプラットフォームが有効活用されない事態に陥った。

そんなケースにつながってしまうこともあるのです。

社内にノウハウを根付かせる7つの戦略

伴走型のコンサルタントからスキルトランスを受けて持続可能なイノベーションに

・「私は次は何をしたらいいのですか?」自分では何をしていいかわからない。
・「どれが正解ですか?」自分では決められない。
・せっかく変革が始まったのに、実績のあるこれまでのやり方にもどってしまう。

そんなチームにはしたくないあなたと一緒に、ここからは社内にノウハウを根付かせる方法を考えていきたいと思います。

1. 育成型コンサルティングの採用

従来型のコンサルティングでは、コンサルタントが分析し、解決策を提示します。
一方、育成型コンサルティングでは、クライアント企業のチームに分析手法を教え、使い方をレクチャーします。解決策は共に考え、クライアントが主体的に行動します。

実践ステップ:

  • コンサルタントとの契約時に、スキルトランスの具体的な計画を立てる

  • 定期的な振り返りセッションを設け、学びを言語化する

  • 社内チームメンバーに、コンサルタントの手法を模倣し、実践する機会を与える

例えば、ある自動車部品メーカーでは、新しい電気自動車向け部品の開発プロジェクトにおいて、外部コンサルタントと社内エンジニアチームが週次でペアプログラミングセッションを行いました。

これにより、最新の開発手法が自然と社内に浸透し、プロジェクト終了後も自走できる体制が整いました。

2. 社内起業家の戦略的育成

イノベーションを継続的に生み出すには、社内に「起業家精神」を持つ人材を育成することが不可欠です。

実践ステップ:

  • 新規事業提案制度の導入

  • 失敗を許容する文化の醸成

  • クロスファンクショナルな人材ローテーションの実施

例えば、ある大手銀行では、「イントラプレナー制度」を導入し、半年間通常業務から離れて新規事業開発に専念できる機会を社員に提供しました。
この制度から生まれたフィンテックサービスが、現在では同行の主力商品の一つとなっています。

3. 体系的な学習プログラムの導入

新規事業開発に必要なスキルセットを体系的に学ぶ機会を設けることが重要です。

実践ステップ:

  • 外部の専門教育プログラムの活用(例:MOONSHOT WORKSの「スキルCUBE」

  • 社内独自の研修カリキュラムの開発

  • オンラインラーニングプラットフォームの導入

例えば、ある化粧品メーカーでは、D2C(Direct to Consumer)ビジネスモデルの導入に際して、全社員向けにデジタルマーケティングの基礎から応用までを学べる e ラーニングプログラムを導入しました。

結果として、社内からの斬新なマーケティングアイデアが次々と生まれ、新規顧客獲得に大きく貢献しています。


4. プロジェクトの徹底的な振り返りと文書化

プロジェクト終了後の振り返りは、単なる形式的なものではなく、深い洞察を得るための機会として活用すべきです。
実践ステップ:

  • 構造化された振り返りフレームワークの導入(例:ビジネスモデルキャンバス、バリュープロポジションキャンバス、KPT法、5 Whys分析など)

  • 学びを組織全体で共有するナレッジマネジメントシステムの構築

  • 意思決定の過程と根拠を詳細に記録

例えば、ある製薬会社では、新薬開発プロジェクトごとに「レッスンズ・ラーンド・データベース」を構築しています。

ここには成功事例だけでなく失敗事例も詳細に記録され、次のプロジェクトチームが過去の経験から学べる仕組みが整っています。
この取り組みにより、新薬の開発成功率が業界平均を大きく上回っています。

5. 内部メンターシップの確立

経験者が新人をサポートする仕組みを作ることで、知識の社内循環を促進します。
実践ステップ:

  • フォーマルなメンター制度の導入

  • 定期的なナレッジシェアセッションの開催

  • プロジェクト間での人材交流の促進

例えば、ある IT サービス企業では、新規事業部門の若手社員と、既存事業で成功を収めたベテラン社員をペアリングする「クロスメンタリング制度」を導入しました。

これにより、新しいアイデアと豊富な経験が融合し、革新的実現可能な事業アイデアが多数生まれています。

6. 外部知見の内部化プロセスの確立

外部パートナーの知見を効果的に内部化するためのプロセスを確立することが重要です。
実践ステップ:

  • 外部パートナーとの協業中に、定期的な「スキルトランス会議」を設ける

  • 外部パートナーの手法やツールを社内版にカスタマイズする

  • 外部パートナーの知見を基に、社内用のプレイブックを作成する

例えば、ある小売チェーンでは、データ分析の外部コンサルタントと協働する際、毎週金曜日を「スキルトランスデー」と設定。

この日にはコンサルタントが使用している分析手法や考え方を社内チームに詳しく説明し、質疑応答の時間を設けています。

その結果、プロジェクト終了後も社内チームが高度なデータ分析を継続できる体制が整いました。

7. イノベーション文化の醸成

最後に、そして最も重要なのは、組織全体でイノベーションを重視する文化を醸成することです。
実践ステップ:

  • トップマネジメントによるイノベーション重視のメッセージの発信

  • 部門横断的なアイデアソンやハッカソンの定期開催

  • 新規事業への挑戦を評価する人事制度の導入

例えば、ある大手電機メーカーでは、年に一度「未来創造ウィーク」と呼ばれるイベントを開催しています。

この期間中、全社員が通常業務から離れ、部門の垣根を越えたチームで未来の製品やサービスのアイデアを競い合います。このイベントから生まれたアイデアの中には、実際に商品化され、ヒット商品となったものもあります。

自社の現状をチェック:ノウハウ内在化度診断


自社の危険度が気になる方は、以下のチェックリストを使って、組織のノウハウ内在化度を評価してみてください。

1.外部パートナーとプロジェクト中、社内チームは主体的に関与しているか
2.過去プロジェクトの学びが文書化され容易にアクセス可能か
3.イノベーションに対する経営陣のコミットメントが明確か
4.プロジェクト終了後、具体的な知識移転の計画があるか
5.新規事業に関する社内研修プログラムが存在するか
6.意思決定プロセスが透明で、後から検証可能か
7.部門を越えた知識共有の機会が定期的にあるか
8.社内起業家を育成・評価する仕組みがあるか
9.失敗から学ぶ文化が根付いているか

©︎MOONSHOT WORKS

診断結果

  1. 7つ以上当てはまれば組織はノウハウの内在化に成功しつつあります。

  2. 4-6個の場合は大きく改善の余地があります。

  3. 3個以下の場合は早急な対策が必要です。


結論:持続可能なイノベーションへの道

外部パートナーの知見を活用しつつ、それを自社の力に変えていく。このバランスを取ることは容易ではありませんが、持続可能なイノベーションを実現する上で不可欠です。

私自身、大企業での新規事業開発の経験から、外部知見の活用と内部能力の育成のバランスの重要性を痛感してきました。

ある大規模なデジタルトランスフォーメーションプロジェクトでは、当初は外部コンサルタントに頼り切りでしたが、徐々に社内チームの能力を高めていくアプローチに切り替えました。

結果として、プロジェクト終了後も自走できる体制を構築し、継続的なイノベーションを実現することができました。

さらには社内のノウハウを体系化し、顧客に提供する=ビジネス化することができたのです。

こうした経験を踏まえ、MOONSHOT WORKSでは単なるコンサルティングではなく、クライアント企業の真の変革と成長をサポートする「育成型コンサルティング」を提供しています。

我々の目標は、最終的に私たちがいなくても、クライアント企業が自力で新規事業を生み出し、成長し続けられるようになることです。

新規事業開発で悩みを抱えている方、外部パートナーとの協業に課題を感じている方、共に、未来を創る社内起業家を育て、持続可能なイノベーションの仕組みを作り上げていきましょう。

著者プロフィール

藤塚洋介:MOONSHOT WORKS株式会社 代表取締役CEO。
大手企業にて新規事業開発に従事しつつ、複業でベンチャーを2社設立。
これまで大小70以上の新規事業立ち上げに関与した経験を持つ。

元オートバイ国際A級ライセンスのレーサー兼チームオーナーで、過去の
全日本選手権参戦経験を新規事業のチームビルディングや、人財育成に活かしている。

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