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「“学ぶだけ”で終わらせない! 新規事業フレームワーク実践のための3ステップ」

皆さん、こんにちは。MOONSHOT WORKS株式会社の藤塚洋介です。

新規事業開発のコンサルタントとして、数多くのプロジェクトに携わってきた経験から、今回は「学んだフレームワークが使われないあるある」な課題についてお話ししたいと思います。


新規事業開発の落とし穴:学んでも使えないフレームワーク

「研修で面白いと思った新規事業のフレームワークも、実際の事業開発にはほぼ使っていない...」

この体験、身に覚えはありませんか?

実は、これは新規事業開発に携わる多くの方々が直面する共通の課題なのです。

ある大手電機メーカーの新規事業部門で働く田中さん(仮名)は、高額なデザイン思考の研修を受講し、意気揚々と職場に戻りました。
しかし、実際のプロジェクトでデザイン思考を適用しようとすると、

「まず今までのやり方で試してからで十分だ」
「うちの業界は特殊なんだから」
「そんなに時間はかけれない」

という声が上がり、結局は従来のやり方で終わってしまったそうです。
このような進め方で新しい事業ができるわけがありませんよね。

私自身、かつて大手企業で新規事業開発に携わっていた頃、まさにこの問題に悩まされました。

高額な研修を受け、最新のフレームワークを学んできたにもかかわらず、実際の業務では結局、フレームワークのテンプレートを機械的に埋めるだけ。
研修で学んだノウハウはどこにも残らない。

そして、審議資料の作成時間だけ増えていく...。このような経験は、皆さんにもあるのではないでしょうか?

自己診断:あなたの組織は大丈夫?

ここで、簡単な自己診断をしてみましょう。
以下の質問に「はい」か「いいえ」で答えてください。

自己診断解説

3ヶ月以内に実務で使用しましたか?が「いいえ」の方
使う前提の研修計画そのものを見直しをかけるべきですね。

「いいえ」が3個以上
せっかくの研修が無駄になっている可能性が大です。大幅な見直しを素進めします。

「いいえ」が1〜2個
全部が「はい」になるようにこの後の記事を役に立ててみてください。

「いいえ」が0個 
研修のフレームワーク活用度は満点です。このままの調子で進めましょう

なぜフレームワークは使われないのか?

企業ケースの分析では、以下のような興味深いデータが得られました。

  • 研修で学んだフレームワークを実際に活用している企業は、わずか15%

  • 3ヶ月後に実践できないレベルまで忘れてしまう社員の割合は90%以上

  • 社内の既存テンプレートとのミスマッチを感じている社員は85%以上

これらの数字が示すように、折角フレームワークの研修をしても、使っていないし、使おうにもざっくりしか覚えてもいないし、そもそも会社にあっていないと思っているのです。

ものすごく残念ですね、、、
主な要因として以下が挙げられます

使われない原因TOP5

1.時間経過による忘却
いざ必要な時には学んでから時間が経っているので詳細は忘れている

2.フレームワーク選択の難しさ
今、どのフレームワークに当てはめればいいかわからない、または違うフレームワークで考えてしまう

3.社内プロセスとの不整合
フレームワークで説明しても、説明される側が理解できずに過去のやり方に戻ってしまう。

4.「フォームの穴埋め」文化
学んだ時は大事と思って、社内の提案テンプレートに採用されるが、埋めて提出することが目的になってしまい、何のためにやっているかわからなくなる。

5.理論と実践のギャップ
学んだことを実際に使おうとしても、当てはまらないケースが多々あり挫折してしまう

フレームワーク活用の失敗例

ある大手製造業の新規事業部門で、私が目にした光景をお話しします。
この部門では、半年に一度、高額な外部研修を受講していました。最新のフレームワークやツールを学び、社員たちは毎回「今度こそ」と意気込んで職場に戻ります。しかし、実際の業務では...

  • 3C分析、SWOT分析、5フォース分析を全て使って膨大な資料を作るも、結局は「分析はわかったけど、それで、君はどうするの?」と上司に言われる

  • ビジネスモデルキャンバスを使おうとするも、既存の企画書フォーマットとの整合性が取れず断念

  • デザイン思考を試みるも、「そんなに何度も検証を繰り返す時間はない」と却下される

先ほどの田中さんは、ビジネスモデルキャンバスを使って新しい健康食品のアイデアを練りました。

しかし、ビジネスモデルキャンバスを知らない上司からは「これじゃわからない。普通の企画書で出し直して」と言われ、結局1週間かけて従来の財務指標中心のフォーマットを使って企画書を作り直すことになったそうです。

結果として、革新的なアイデアは生まれず、従来通りの延長線上の企画しか出てこない...。

このような状況、皆さんの周りでも見かけませんか?

活用するための対策


それでは5つの原因の対策を見ていきましょう

時間経過による忘却への対策
ドイツの心理学者であるヘルマン・エビングハウスによると、学んだことも1ヶ月も経つと70%以上忘れてしまうと言われています。
こうならないためには、いわゆる復習が大切なのですが、そのタイミングや回数が大事になってきます。

24時間以内に復習すれば、10分の復習で100%の記憶に戻ると言われており、さらにアウトプットすることで自分のものになっていきます。

フレームワーク選択の難しさへの対策
どのフレームワークに当てはめればいいかわからないならまだしも、違うフレームワークで考えてしまうことは、事業の方向性をミスリードすることにつながります。

この対策は専門家にすぐに相談できる環境を用意することが近道です。
相談するときも答えを聞くだけでなく、なぜそのフレームワークを選んだのか?の理由も教えてもらうと良いでしょう。

どうしてもそのような環境を作れない人は1つの分析をいくつかのフレームワークを使って多面的にやることもおすすめです。

社内プロセスとの不整合への対策
王道のフレームワークも、社内プロセスに合っていないと2重に管理することになったり、審議社側に理解できないことがあります。
とはいえ、社内の規則の外に作ってしまうと、正しくても実行できなくなりますね。
業界やビジネスモデル、新規事業の文化の根付き具合なども踏まえ会社にあったものに柔軟にアップデートしていく必要があります。

まずは、一般的なフレームワークで1年〜数ヶ月プロセスの「実験期間」を作り、徐々に自社流に変更していくのをお勧めします。

「フォームの穴埋め」文化への対策
こうならないためには、社内テンプレをほんの少し改造します。
たとえばPEST分析に
「その結果、何と言えるか」
SWOT分析に
「どんな手を打つか?」
というような、「使うためのワードを入れる枠」を追加するだけで大きく変わります。

テンプレートは埋めるものでなく、使うものだからです。
目的目標が明確になり、単に埋めるだけでは終われなくなり実践的になるのです。

理論と実践のギャップへの対策
学んだことを実際に使おうとしても、当てはまらないケースが多々あり挫折してしまう・・・こちらの対策については以前の記事で詳しく書いていますのでご参考にしてみてください。

フレームワークを活かすため「スキル CUBE」による解決アプローチ

これらの課題を解決するための1つとして、私たちMOONSHOT WORKSでは「スキル CUBE」というプログラムを開発しました。
ご参考までに、このプログラムの特徴は以下の通りです

1.アウトプット中心の実践的な学習環境
実際のプロジェクトを題材に学ぶ

2.カスタマイズされたアプローチ
パッケージの研修ではなくチームごとに本当に必要なものだけ学ぶ

3.「打ち手」重視の文化醸成
分析結果から何をするべきか?にフォーカス

4.タイムリーなフィードバック体制
記憶が薄れる前に定期的なフォローアップで定着率アップ

5.社内プロセスとの統合支援
既存の審査・承認プロセスとの整合性を確保し「使える」フレームワークに

詳しくは
https://www.moonshotworks.jp/skillcube

ある会社の開発部門では、「スキル CUBE」を導入後、デザイン思考とリーンスタートアップの手法を組み合わせた独自のプロセスを確立しました。

その結果、事業候補の初期スクリーニングの効率が30%向上し、開発サイクルの短縮に成功したそうです。

成功事例:A社の場合

実際に「スキル CUBE」を導入したA社の事例をご紹介します。
A社は従業員1万人以上の製造業で、新規事業の立ち上げに苦戦していました。「スキル CUBE」導入後、以下のような変化が見られました:

  • 研修で学んだフレームワークの活用率が90%以上

  • 新規事業提案の質が向上し承認率が10%から70%に向上

  • チームの満足度が向上

A社の新規事業部で働く三浦さん(仮名)は、以前は新規事業のアイデアを上司に却下されることが多かったそうです。しかし、「スキル CUBE」で学んだカスタマージャーニーマップを活用し、顧客視点でのアイデア提案を行ったところ、経営陣からも高い評価を得て、プロジェクトのリーダーに抜擢されたそうです。

A社の新規事業部長は次のようにコメントしています「以前は研修で学んだことを活かせず、もどかしさを感じていました。しかし、『スキル CUBE』導入後は、学んだことをすぐに実践でき、チームの能力が飛躍的に向上しました。」

明日から始められる実践の3ステップ

さて、ここまでお読みいただいた皆さんに明日から始められる具体的なアクションをご提案します。

1.フレームワーク・カレンダーの作成
 学んだフレームワークを、いつ、どのプロジェクトで使うか、具体的に計画を立てましょう。

2.15分実践ルールの導入
毎日15分、フレームワークについてアウトプットする時間を作りましょう。具体的には書いたり、イメージするのです。
ちょっとした休憩も兼ねて、アイデアがなくともフレームワークを使って書いてみるのです。

3.バディ制度の導入
チーム内で、フレームワーク活用について互いにサポートし合えるパートナーを決めましょう。

題材は世間を賑わせている新しいビジネスを勝手に分析してみるのが良いでしょう。現在起きていおることを題材に、まだ答えがないことを題材にするのをお勧めします。
2の15分実践ルールと合わせて使うことで、短時間でも継続することが重要です。

 この3つのアクションプランを導入した新規事業部で特に効果があったのは「バディ制度」で、時にはプライベートな話題や恋愛話までフレームワークを使って笑い話にしながらディスカッションすることで、一気に使いこなすコツがつかめたそうです。

まとめ:フレームワークは「使いこなす」もの

今回の記事はいかがでしたか?
フレームワークは、使いこなせばとても楽しく強力なルールです。
皆さんも、明日からさっそく行動を起こしてみませんか?

この話題に興味を持った方は以前に研修講師について記事を書いたの合わせて読んでみてくださいね。

それではまた次の記事でお会いしましょう。


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