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【保存版】B to Bビジネス成功の圧倒的法則とは!?[ステークホルダーとペルソナの理解]

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B2Bの新規事業開発におけるペルソナ設定の重要性

その日、会議室はまるで時間が止まったかのようだった――。

あるIT企業A社は、大手企業向けに「業務効率化を実現するプロジェクト管理ツール」を提案し、あと一歩で契約を勝ち取るところまで来ていました。

A社の肝入りの新規事業であり、試作品は現場担当者たちに好評で、「これなら仕事が劇的に楽になる!」と絶賛されていました。

「これで決まった!」リーダーがそう胸を張った矢先――。

契約会議の場で、役員でもある経営企画の大山本部長が静かに言い放ちました。

「なるほど。でも……これが他のプロジェクトより優先される理由はなんですか?」

その瞬間、会議室全体が沈黙に包まれ、時計の針の音さえ聞こえるような気がしました。

A社は現場担当者たちの声を重視しすぎたあまり、経営層が求める“全体像”や“中長期的な価値”を提示する準備を怠っていたのです。

現場では満場一致の称賛を浴びた提案が、経営層にとっては「ただの効率改善案」に過ぎませんでした。その結果、プロジェクトは一度も動き出すことなく白紙となりました。


なぜペルソナ設定が必要なのか?

新規事業担当者の多くが「現場が喜んでいるなら問題ないだろう」と考えがちです。B2Cならそれでも多くのケースでは問題になりません。

しかし、B2Bでは現場担当者だけではプロジェクトは動かないのです。
現場が満足していても、経営層やIT部門など他のステークホルダーが納得しなければ、プロジェクトは前進しないのです。

これを理解せずに進めてしまうと、次のような“見えない壁”に衝突してしまいます。


1. 異なる価値観を見落とすリスク

現場担当者は「日々の業務負担の軽減」を重視しますが、経営層は「企業の中長期的な成長」を求めます。この価値観のズレを見落とすと、片方の支持を失い、プロジェクト全体の停滞を招きます。

  • :「操作性は抜群で導入コストも予算以内」なのに「他に投資すべきことがある」という理由で経営層が反対し、予算が下りないケース。

💡 ポイント:「誰が“何を優先しているか”を整理し、異なる価値観を橋渡しする説明が必要です。」


2. 情報の偏りが生む誤解

現場担当者は「このツールがあればもっと仕事が楽になる」と評価しても、購買担当者が「契約内容が不透明だ」「追加費用が発生するのでは?」「入れ替えに手間がかかりそう」と不安を抱けば、承認プロセスは途端に遅れます。

  • :購買担当者が「他社と比較したとき、長期的なコスト負担が不明確」と判断し、契約締結が遅れるケース。

💡 ポイント:「価格、契約条件、運用費用を明確に提示し、“不安を可視化”することで不信感を払拭できます。」


3. プロジェクトの停滞や中止

ステークホルダー全体の納得を得られなければ、「他の優先案件がある」と判断され、プロジェクトが後回しにされます。特に、外部の影響者(業界コンサルタントやパートナー企業)から「導入はリスクが高い」という示唆を受けた場合、経営層が判断を先送りし、計画そのものが立ち消えになることがあります。

  • :ある企業の経営層が「今期のリソースを競合対策プロジェクトに集中すべきだ」という業界レポートを信じ、検討を凍結したケース。

💡 ポイント:「外部からの影響情報を事前に確認し、経営層に“安心材料”を示す必要があります。」

このように、ペルソナの明確化は、「プロジェクト全体を見渡す羅針盤」です。 特にB2Bプロジェクトは、複数のステークホルダーが関与し、それぞれが異なる視点と優先事項を持っています。全員を均等に調査することは非現実的であり、効率的ではありませんが、適切なペルソナを見極めて深く理解することで、プロジェクトの成功確率は飛躍的に高まります。

そして、ペルソナの理解を怠ったまま、マーケティングの拡大施策を打つと、莫大なコストを失うリスクが発生し、計画を元に戻せなくなる確率が劇的に上がるのです。


次の章への期待感:10のステークホルダーを知れば、計画は動き出す

改めまして、新規事業コンサルタントの藤塚洋介です。
これまでに40以上の新規事業に待つわる記事を書いてきましたが、もっとも重要なのが"顧客より顧客を理解する"ということです。

「このプロジェクトは誰のためのものか?」――この問いを立てたとき、B2Bの答えは「1人の顧客」ではありません。意思決定に関わるのは現場担当者だけでなく複数のステークホルダーたちです。

次の章では、B2Bの意思決定プロセスに関与する10種類のステークホルダーを解説します。さらに、それぞれがプロジェクトに与える影響を整理し、ペルソナを作ることで、「隠れた影響者」を発見し対応ポイントを紹介します。

そして中盤の章では、「最も優先すべき3+1のペルソナ」に焦点を当て、具体的なアプローチ方法を提案します。

そして後半は、ペルソナを作る際の実務レベルのQAを掲載しています。
どんな項目を書いたら使えるペルソナになるのか?モヤモヤしている方はぜひ読み進めてください。

この先の有料記事はこんな人におすすめ

この記事は、顧客企業のステークホルダーごとに異なる課題や懸念を理解し、プロジェクト提案や商談を成功に導きたい新規事業担当者だけでなく社内プロジェクトの推進者にも有効です。特に以下の課題を抱えている方に最適です。

  • 「現場担当者は賛成だが、購買部門や経営層の承認が得られない」

  • 「反対派や慎重派に質問されるたびに詰まってしまう」

  • 「提案資料やプレゼンが長文・冗長になり、ポイントがぼやけてしまう」

こんな効果が期待できます

  • 顧客企業内の「ステークホルダーごとにカスタマイズした提案資料」を作成し、関係者全員が期待する準備が整う。

  • 反対派の疑問に先回りして回答し、プロジェクトに「賛同する流れ」を生み出す。

いきなりここに辿り着いた方は、これまでに多くの無料記事を書いていますので、初心者の方はそちらをご覧になってから有料部分を読むとより理解が深まります。



B2Bの意思決定プロセスにおける10のステークホルダーと行動設計

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