社内起業家の皆さんこんにちは。
新規事業に特化したコンサルティングを提供しているMOONSHOT WORKSの藤塚洋介です。
私の会社では、プロジェクトの伴走支援と共に、様々なフレームワークを使ってアイデアの可視化と活用、再利用できるデータとして保存できるように社内起業家の育成をしています。
フレームワークを使いますが、全てのプロジェクトが同じやり方でうまくいくわけではなく、取り組む新記事業によって使い方も違ってくるのです。
この記事では有名な「イノベータ理論」の基本と、それを実際にどう活用するか?について数々の事業に関わってきた経験から書いていきたいと思います。
「基本的なことは知っているよ!」という方は目次の【実践編】 以降をご覧ください。
【基本編】イノベーター理論の概要
ビジネスの戦場で勝利を収めるために、我々は常に「顧客」という存在と向き合わねばなりません。
そこで、顧客を理解し、効果的な戦略を立案するための羅針盤となるのがイノベーター理論です。
また、イノベーター理論は、新しい製品やアイデアが社会に普及していく過程を説明する社会学的理論で、人々は新しいものを受け入れる速度によって5つのグループに分類されます。
イノベーター理論とは何か: 顧客の革新性に着目した市場分析
イノベーター理論は、1962年にエベレット・ロジャースによって提唱されました。
市場に存在する顧客を、新技術やアイデアに対する受容性によって5つのタイプに分類し、それぞれの特性に合わせた戦略の必要性を示唆しています。
イノベーター理論における5つのタイプ
1. イノベーター (Innovators)
好奇心でリスクを恐れないパイオニア
2. アーリーアダプター (Early Adopters)
オピニオンリーダー
3. アーリーマジョリティ(Early Majority)
慎重、合理的で市場を動かす
4. レイトマジョリティ (Late Majority)
周囲の意見が安心材料
5. 遅延者のラガード (Laggards)
変化を嫌い、最後に追随
イノベーター理論は、当初は農業分野における新技術の普及を研究するために開発されましたが、その後、医療、IT、教育など、さまざまな分野に適用され、その普遍性が証明されてきました。
例えば、テスラの電気自動車の普及過程を見てみましょう。
革新的なイノベーター: テスラの初期モデルであるRoadsterは、高価格で未知のリスクも多かったにもかかわらず、革新的な電気自動車技術に魅力を感じたイノベーター層に支持されました。
彼らは、環境問題に関心の高いアーリーアダプター層にも影響を与えたのです。
【実践編】いまさら聞けない?イノベーション理論の使い方
基本的なイノベータ理論を知っても、我々社内起業家はいつ、どうやって、何のために使えばいいのでしょうか?
実践編では最も意味のある利用シーンをお伝えしたいと思います。
それはズバリ、「新規事業の参入戦略」の方針決定です。
もしも、あなたの新規事業が「イノベータ向け」だけに特化できていると確信をもてていたらこの先読むのは不要かもしれません。
ウチには「イノベータ向け」もあれば「アーリーアダプター向け」もある。というマネージャや新規事業運営事務局の方や、
そもそも「そんなの意識していない」という方はこの先を読んだ方がいいかもしれません。
【フェーズを見極める】
以外にも、「自社にとっての新規事業」と「社会にとっての新規事業」を混ぜている人が多いのですが、あなたの会社は大丈夫でしょうか?
自社にとって新しくても、社会にとって新しくなければ戦い方が変わります。
まずは社会にとってイノベータ理論のどこに位置するか、調べてみてください。
以下にデスクトップ調査でもできる、簡単な見極め方を記しておきますね。
あなたの新規事業はどこに位置しましたか?
4.5は将来性がなく、後発ではなかなか儲かりにくいフェーズの事業です。
自社にとって新しくても考え直した方がいいかもしれませんね。
1.2.3はそれぞれ同じ戦略ではいけない、ということを知って戦うといいでしょう。以下に基本戦略をまとめました。
【フェーズに合わせた新規事業の参入戦略】
どういった事業に参入するかで戦い方が大きく変わることが理解できたでしょうか?
素早い移り変わりの中で、気づいたらレッドオーシャンに埋もれないように、半年、できれば3ヶ月に一度は調べる。自身の分野のニュースは常に意識するようにするのが賢明です。
イノベーター理論から見る成功・失敗事例
新製品のマーケティング戦略: 顧客理解の深耕が成功の鍵
成功事例:任天堂「Wii」
失敗事例:Google Glass
イノベーター理論の批判と限界
時代遅れの側面も?
現代社会における情報拡散のスピードの変化
現代社会では、インターネットやソーシャルメディアの発達により、情報拡散のスピードが飛躍的に向上しており、イノベーター理論で想定されているような、段階的な普及プロセスは、必ずしも当てはまらないケースも増えています。
さらに、フィンテックやAIなど技術系のサービス分野ではこのフェーズが進むスピードが以前より加速しています。
新しいサービスが現れたと思ったら、あっという間にものすごい戦いになって、数社だけが残る。
アーリーアダプターからラガードもどこかわからない、または「無い」うちに、新しいサービスに切り替わってしまうのです。
イメージ的には、アーリーマジョリティが終わったら、レイトマジョリティはあっという間に終わり、ラガードなし。といったイメージです。
まとめ
イノベーター理論は、新製品やサービスの普及プロセスを理解し、効果的なマーケティング戦略を立案するための強力なツールです。
しかし、イノベーター理論は、あくまでも「理論」であり、現実の市場は常に変化していることを忘れてはなりません。
次回はキャズム理論です。イノベータ理論と合わせてよく語られますね。それでは、また次の記事でお会いしましょう。