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愛ゆえに

ゆるぎなくそっとそこにあるものは具体化することがひどく難しい。

最近読んだもので非常に胸を打たれたものがあるので紹介する。大麦こあら先生の『能見先輩の弁明』である。

🔗:能美先輩の弁明(光文社BL COMICS)

元々倫理的な話が大好きなのだけれど、まさかこんなところで哲学を絡めた恋愛ものが読めるとは思っても見なかった。大麦先生はどの作品も恋愛描写だけではなく、背景設定や細かい心理描写の解像度があまりにも高い。そういうところがだいすきだ。
語れば長くなるので割愛するけれど、私はこのお話を読んで、『ああ、愛ってこういうことかもな』と思ってしまった。能見先輩が講演会後、教授に話すシーン、「そいつに出会えたから自分のことをちょっと好きになれた、だからそれだけでいいかなって」(すみません、原文ではないのでこんなニュアンス)ここでぼろぼろ泣いてしまった。愛に触れると自分のことを少しだけゆるせたりする。それが降り積もってひとは愛情を覚えていくんですよね。見えない傷跡はこういうふうに埋まっていく。どうしてこう、目に見えないものを上手に描けるんだろう。大麦先生の描くものがぜんぶ好きだ。わたしもこうなりたい。


もう少しわたしが愛について語るのなら、必ず話題にしなければならない物語がある。ずっと言い続けているが、okitamikuさんの『私の愛しいポリアンナ』である。

🔗:『私の愛しいポリアンナ』okitamiku

「愛とは自己の喪失である」それを体現したような物語だ。わたしたちはいつだって表面上の愛に絆されて生きていて、簡単に手に入るものを引き寄せたがる。持論で言うところの寂しさにかまけた軽率な恋愛たちだ。(しかし全員が妥協を嫌い本当の愛を求めてしまうと、新たな命が誕生せず生命の危機に陥ってしまうので、表面上の愛というのは人類にとって切っても切り離せないものである、とわたしは思う)本当に誰かを愛すと自我を忘れる、つまりイレギュラーな状態で、けれどそんな自分までもいとおしく思えるのなら、それはもしかしたらホンモノなのかもしれない。愛に本当も嘘もないと言われれば、それまでなのだけれど。
余談だが、okitamikuさんの物語はわたしが生きてきた中でいちばん感銘を受けた文章な気がする。(『私の愛しいポリアンナ』と『逆光』は絶対に読んでほしい名作である)それこそ短い人生の中で何冊も本を読んできたが、商業出版されているものを含めても圧倒的に好きかもしれない。こんな作品が眠っているからネットというのはこわいものだよね。わたしがどこぞの出版社に勤めていたらすぐに拾い上げて大々的に売る。独り占めしたい気持ちもあれば、これを世の中の誰かに読んでほしいと言う気持ちもある。恋に似てるね。

ところでわたしは最近ノベマで「誘惑に溺れる水瓶座」というお話を書いているのだけれど、序盤で既に過去1気に入っている。男の子同士の話。完結が月末に間に合うかは博打みたいなものなので期待しないで欲しい。けれどできるだけ頑張りたいと思っている。シトラスの更新が止まっていることだけは謝りたい。懺悔。

🔗:誘惑におぼれる水瓶座


今日は珍しく朝から活動した、都会の朝は人がいなくていい、いつもの人混みが嘘みたい いつもこうであればいいのに あと暑さよもう少し和らいでくれ お手柔らかに

なんかリンクがうまく貼れなくて気が狂いそう なんなんだ できてるのかな……泣

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