きらめきのなかできみは消える
『きらめきのなかできみは消える』
というお話を書きました。約11万字。
4年ぶりの長編完結で、どきどき、しかし意外とすんなり終わってしまって、あんまり未練もなく。ずっと頭の片隅にいた物語を形にできたので、わたしのなかでもスッと消えていったのかもしれません。
※以下、ネタバレ含みますので
よろしければ本編読了後の閲覧を推奨します
(現在は洋梨名義でノベマさんのみ公開です)
まずこの物語で触れなければならないこと、
物語の一番の軸であったナツノの性対象。
マイノリティジェンダーと呼ばれる、性のあり方が少数派である方々のことです。
わたしはこれについて、正直何かを語るほど興味や持論や意思があるわけでないのですが、ナツノと同じように”普段の性対象とは異なる性別の人を1人だけ好きになった”という友人の実体験を間近で見たことがあります。
特段それについて疑問に思うことはないのですが、やはり友人も口には出さないけれど葛藤があったようで、結果的には本当に仲の良い友人以外にそのことは伝えないままでした。2年ほどお付き合いをしていたようですが、その間家族にも話すことはなかったようです。
恋愛について、人にベラベラ話すことではないという価値観もあるので、何とも言えないですが。時代は変われど、やはり本人達なりの葛藤があって、それも普段の恋愛対象と違う性別の人と恋愛することは、最初戸惑いもあったようです。
わたしはそんな友人を近くで見ていて、この物語を描こうと思いました。(書く、より、描く、の方が似合う物語だと思っているので、敢えて)
さて、そんな前置きもありつつ。わたしの今回のMVPは確実にスミなのです!(スミ、本当にいい奴です、自作キャラの中でたぶん圧倒的に性格がいい)
正直読み返すと、若干ストーカー気味なのでは? (というか、異様にナツノに執着してるな……)とは思いつつ。彼の優しさは本当に深いところにあって、『傷ついてほしくない』と本気で思っている。自分と好きな人がどうこうなるよりも、”相手が傷つかないこと”が最優先。それでいて、スミの1番すきなところは、”必ず相手の意見を尊重する”ところと、”決して強引には手を引かない”ところです。(いや、若干強引なのか…?)
これは結構わたしの恋愛観が出ていて、昔は(若かりし頃)(べ、別に今も若いもんねッ)簡単に甘い言葉を言われたり、わかりやすく優しさをくれたり、そういう人に惹かれることが多かったのです。ですが、今はベクトルが180度逆でして、どちらかと言えばスミのような、2人の関係や物事にしっかりと合意をとること、強引に手を引かないこと、意見を尊重し合えること、そういうわかりにくい愛情表現にひどく惹かれます。スミには、わたしのそんないとおしい恋心を託しました。(お恥ずかしいですが、私が過去いちばん好きだった人がモデルになっているとおもいます、スミの容姿や性格は全然違うんだけど、こういう目に見えないやさしさや愛情表現をくれた人のことは、ずっと覚えているんですよね)
そして、シュンですね。まったく気にされないと思っていたんですが、えまたろや柊乃が意外にシュンを気にしてくれていて驚きました。(名指しごめん笑)
シュンのことは、正直、わたしもわからない(笑)でも、ハルカのこともナツノのことも本当に大事に思っていると思う。それが恋愛としての気持ちかどうか、それはシュンも曖昧で、正直わたし自身も曖昧なのです。答えがない。でも、いちばん近くで2人を見てきたシュンだからこそ、色んな葛藤はあったと思います。ナツノよりシュンの方が心残りが多そうですよね。写真を絡めて、シュンのことはまたいつか書けたらいいなと思います。たぶん、大学生か、大人になったシュンのことを書くと思う。シュンはそれまで、恋愛はしない気がします。
そして、春から夏にかけて、季節の変わり目と心の変化を上手に描けていいたらいいなと思うのですが、どうかな。
一番描きたかったのは、キサちゃんがおよぐ姿に重なる煌めきのシーンと、やはり最終ページのスミが恋に落ちる瞬間です。
この物語に、それぞれの”かくしごと”を書きました。
ナツノは、ハルカ(同性)を好きなこと。
ハルカは、ナツノが好きだったこと。
スミは、写真部であり、高校2年の夏、ナツノの泳ぐ姿に恋に落ちたこと。
シュンは、ナツノとハルカの気持ちをなんとなく知っていて、言い出せなかったこと。
忘れたくない思い出を過去にするまでが描けていたらうれしいなと思います。
この物語のことは、きっとまたつらつら綴ることがあると思いますので、そのときにまた。
洋梨(しれっとノベマの名義を変えました笑)