海街diary
父が死んだことで、腹違いの四女すずと会うことになった香田三姉妹。
三姉妹の長女・幸はすずに、鎌倉で一緒に暮らさないかと提案し、すずは鎌倉に引っ越すことを決めます。鎌倉で一緒に暮らすことを決めた四人の姉妹は、共同生活を経て絆を深めていきますが、祖母の七回忌に、連絡のつかなかった母が現れたことで、仲睦まじかった四姉妹の関係の中に潜む闇が姿を見せ始め……。
静謐に描かれる鎌倉の四姉妹の日常。四人が本当の家族になるまでの物語。
序盤から、映像の綺麗さに思わず泣きそうになってしまった。映画を見て、うつくしくて涙がでたのは、ほとんどはじめてのことです。とくに、広瀬すず演じるすずを、こんなにもうつくしく、はかなく、映像に残すことができるなんて、やっぱり是枝監督は天才なんだとおもいます。そしてこの若い広瀬すずも、ほんとうにいい、彼女はほんとうにうつくしいです。うつくしい、以外の言葉が見当たらないくらいです。
しっかり者で弱音を見せないあまりに恋愛下手な長女、男とお酒がすきで容姿端麗な割に情には熱い次女、末っ子のお気楽さで少し風変わりな笑顔の印象が強い三女、そして腹違いの妹すず。変わった家族のかたちが、少しづつ、おだやかに、たまにぶつかって、ひとつになっていく。大きな出来事があるわけではありませんが、4人の表情や仕草から、時が経つ季節の経過からゆっくりと流れていく家族の時間にそっとやさしく触れたような気分です。瓶の底から、厚いガラスを通して、彼女たちの生活に触れられたよう。できればその先もずっと、見届けていたい物語でした。