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こんばんは、またあした

ぬるいミルクに朝色のインクを四滴ほどこぼしたような空だ。ゆるやかに滲んでゆく雲と朝鳥、そして車が残した煙。インクと同じ色をした屋根の輪郭がほろほろと東の空に溶け始めている。まだ、ここまでは朝が届かない。肩甲骨からうなじにかけてじっくりと眠気を逃し、欠伸となった夜の名残を空に返す。

早朝から街を濡らした雨はぱらぱらと雫を残して去り、きんと澄んだ風がわたしを歓迎した。日光を受けて光る雨粒はまるでメレダイヤのよう。転ばぬようにぐっと踏みしめた石畳はかたく、ふくらはぎには一層力が入る。歩く毎に街は冬色に塗り替えられて、白く淡く照る景色に浮ついて仕方ない、一月の朝。

✧ 夢日記┊エンジェル学校

✧ 夢日記┊掃除の時間

幼い頃、この国は今ほど酷暑ではなかった。涼しい温度に冷たい風が心地よく、憂鬱だって吹き飛ばしてしまえそうな色とりどりの背負い鞄に開けっぱなしのロッカー。彼処で過ぎるなにもかもに心が踊ったものだ。朝が来るのが待ちきれなくて、夜が来るのが怖くなかった。いつかまたあの風に吹かれたい。

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