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小話|友人にホストクラブに誘われて、英会話ができない理由がわかった

「楽しそうだからホスト行ってみよう!!」
先日、新宿で飲んでいて友人から急にそう言われて背筋が凍ったような気がした。

「人生で1回くらい行ってみたくない?」
たしかにそれはわからなくもないが、なぜ背筋が凍ったのかは自分でもわからない。

「初回1時間3,000円って書いてあるし安くない?」
飲み代としては安いような気もする。が、なぜか「うん」と言えない。
そんな私を見てさらに詰めてくる友人。

「夜職への偏見って良くないよ?」
私も元ホストや元キャバ嬢の友人はいる。
別に夜職してる人が嫌なわけじゃないんだけどな。
そんなことをぐるぐる考えているうちに、、、

「ホスト(クラブ)って、ホストと喋んないといけないんだよね?金払って、、、」

ぽろっと出た一言を聞いて、友人は全てを諦めたようだった。

そもそも人間と会話したくなかったわ()

これではっきりした。
私は「よく知らない人間とおしゃべりする」のに耐え難い苦痛を感じていたのだ。
たぶん「居酒屋の二軒目を探す」と言われていたら、予算が倍でもOKしていただろう。

それにしても、ホストって客を楽しくさせるのが仕事だとわかっているはずなのに。
真顔で全力拒否するとは、私ってどんだけ人間と会話するのが嫌いなんだ、と自分でもちょっと引いた。

私の人嫌いはどこが発端かというと、アホみたいに荒れてた中学校に通っていた時期からである。
意見が人に受け入れられる経験はおろか、歩行してるだけで死ねとかキモいとか言われる生活をしていて、誰が人間と会話したいと思うだろうか(笑)

私にとっては今も、信頼できない(できるか不明確な)他者とのコミュニケーションが度を超えたストレス要因である。
日本語でこれである。

、、、ということを、オンライン英会話の授業の後にどっと疲れたところで思い出して、ため息をついてしまった。

「私、なんでいま英会話やってるんだっけ、、、」

人嫌いじゃ英会話できないよ。

他の言語になったとて、本質は変わらないのである。
私は中学生時代に英会話教室に2年通い、大学も英文科を出たが、全くと言って良いほど英会話ができない。
これが大いにコンプレックスだった。

「異なるバックグラウンドを持つ他者とコミュニケーションをとりたい」という希望が、スピーキング学習のモチベーションになることは多いはず。
そこが欠けているので、やる気が出るはずもない。

そんな自分をどうにかしたくて、学生時代に1ヶ月間オーストラリアにホームステイした。
日本人の友達がいない環境なら、いやでも失敗しながら会話しないといけないし、コミュ障の荒療治になるんじゃないかと考えたのである。

が、しかし、話し相手の反応に恐怖しすぎて、最初の1週間くらい全然口から音が出てこない有様だった。

英語が正しいかとか以前に、「これ聞いて大丈夫かな?」「このノリ変じゃないかな?」をぐるぐる考えてしまって、出そうとしても声が出ないのである。
ホストファミリーはとても優しくて、怖がる必要なんてなかったのに、、、。

悲しくも「人から受け入れられる」経験が乏しすぎて、1ヶ月という期間は荒療治には短すぎたのである。

そもそも「他者とコミュニケーションをとることは、楽しく喜ばしいことなんだ!」と認識できなければ、英会話をする意欲なんて生まれない。
それよりも「受け入れられなかったらどうしよう」の恐怖が大きすぎてフリーズしてしまうのである。

数年前、「日本語でも人と会話できないのに、英語で会話できるわけないだろ」という投稿をX(旧:twitter)で見たときの共感といったら、、、。

そんなこんなで、テストの点は良いし洋書もだいたい読めるが、全く英語で会話できない人材が爆誕してしまったのである。

現状、一切英語を勉強してないけど人と話すのが好きなホストと私を比較したら、ホストのほうが上手くコミュニケーション取れると思う。

最近は開き直ってる。

こういう気持ちが、社会人になってとても楽になった。
企業という枠の中では、成果に結びつく選択をすればいいし、言葉もそういうものを選べば良いだけだからだ。

さらに驚いたのは、仕事の中だったら、まあまあ英語で情報を伝えることはできたということである。
やっぱり、ただバックグラウンドがはっきりしていない人ととりとめのない会話をするのが苦手なだけだと判明した。

そういった「とりとめのない会話」がビジネスに必要だというのはもっともだが、最近はもう開き直って、「それ、できなくても良くない?」とすら思っている。

だって人とのプライベートな会話自体がものすごいストレスで、「できた!」「通じた!」という成功体験を、疲れが飲み込んでいくから。

人と接することに対するこれほどまでの恐怖を、短期間でどうにかするのなんて無理無理。
信頼できる人たちと時間をかけて関係性を築いて、輪を広げられるようになったら考えれば良いのかもしれない。
そう思って、オンライン英会話を途中で解約した。

政府よ、単語や文法を叩き込むよりもやることがあるぞ。
グローバル人材を育成したいならば、まずは「人は怖くないんだよ」と教えないといけないね。

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