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ビアズリーと「大正イマジュリイ」@郡山市立美術館

まだまだ緑の映える福島・郡山市立美術館。だった。
というのも、この投稿をするまで1ヶ月半もかかってしまい、展覧会そのものも終了してしまった。きっと美術館のある丘の木々も、もう紅葉しているだろう...。

さて、先日、運良く帰省のタイミングで開幕したばかりだった企画展「大正イマジュリィの世界 ~モダンデザインの饗宴~」へ。

同美術館は19世紀イギリスの版画や絵画が主力。今回の展覧会では明治、大正の作品を扱いながら、それらと収蔵作品との関連性にも触れている。

今回は、大充実だった展覧会の中でも刺さった、近代イギリスの「どこか不安になるような画風」代表のビアズリーと、日本の画家たちとの繋がりを少し。

オーブリー・ビアズリーとは?

19世紀末のイギリスに生まれる。
繊細な曲線や陰影の排除、耽美的な主題が特徴であり、そのペンの描く線は「悪魔的」とも言われた。オスカー・ワイルドの戯曲『サロメ』英語版の挿絵はあまりにも有名。
25年の短い生涯の中で彼がのちの画家やグラフィックデザイナーに与えた影響は非常に大きい。

ただ、出世作『アーサー王の死』の挿絵をウィリアム・モリスに盗作呼ばわりされたり、ワイルドの投獄による世論のとばっちりで文芸誌『イエロー・ブック』から追放されたり。同時代のアーティストとはうまくいかないことも多かったようだ。

日本のアーティストとビアズリー

つらつらとビアズリーのことばかり書いてしまったが、今回の展覧会のテーマは「大正イマジュリイ」。

東京都庭園美術館で開催していた「竹久夢二の世界」への訪問をみすみす逃した私にとっては、彼作品たちを郡山で拝めたのがかなり嬉しいポイントだった。

中でも、山六郎と水島爾保布の、ビアズリーを彷彿とさせる。「悪魔的なペン」の運びは、ゾクゾクっとしてしまう。そして今回の展覧会のイギリス版画コーナーを拝むと、より鑑賞の深みが増す。

1.山六郎

中山太陽堂(現:株式会社クラブコスメチックス)に入社後、同社グループの出版社であるプラトン社に出向。雑誌『女性』の装丁などを担当した。
1928年にプラトン社が廃業してからは、平凡社、新潮社などで装丁の仕事を手がけた。

https://www.clubcosmetics.co.jp/pdf/202203_2.pdf


2.水島爾保布

大阪朝日新聞で挿絵を描き始め、谷崎潤一郎『人魚の嘆き』で挿画担当。ほか、小説や戯曲も発表するなどマルチな才能の持ち主。

谷崎潤一郎の『人魚の嘆き』の挿絵の耽美的なさま。
絶対にこの小説を読むと決め、後日購入した。谷崎の紡ぐ物語と世紀末イギリス文学の繋がりも、もっと深掘りしたい。

平面のおくゆきを感じた展覧会だった。
当時の百貨店のパンフレットや雑誌、児童書まで幅広く展示されているので、幅広い方に刺さる展覧会になっていた。

大正イマジュリィの世界 ~モダンデザインの饗宴~

会期:2024年9月7日(土)〜10月27日(日)
※展示室の中の撮影は禁止でした

郡山市立美術館での会期は終了したが、2025年夏に類似のテーマでSOMPO美術館での展覧会が予定されている。

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