OGRE YOU ASSHOLE『アルファベータ vs. ラムダ』
2007年10月3日リリース、OGRE YOU ASSHOLEの2ndアルバム。
"オウガ・ユー・アスホール"と読む。今となってはありそうなバンド名だけど、この頃は覚えにくいなと思っていて、例えばUNISON SQUARE GARDENなんかも、単語3つ以上の名前は長いと思っていた。
もっと後になってくると、文章がバンド名になったりしてくるもんね。"忘れらんねえよ"とか"さよなら、また今度ね。"とか。
オウガのこのCDのジャケットを初めて観た時に、このバンドは絶対何かある‥と思ってしまい、難しい音楽なんて全然知らない時期にこの音源を手に取ってしまったのを覚えている。
高校の頃は知っている人が誰もいなかったけれど、大学に入ると先輩に知っている人が居たり、バンド自体が徐々にロックフェスに出演するようになったので知名度が上がっていったという認識だ。アンダーグラウンドな方面では既に有名だったのかもしれない。
M1.「コインランドリー」ギターリフがキャッチーで、とにかくギターのアンサンブルがめちゃくちゃ良い。Vo.出戸の歌声は高く、詞は"コインランドリーのよう"という比喩を用いた表現で構成されている。
内容の意図はあまり考えず聴く事が多かった。鳴っている音がリズミカルでどんどん癖になる感じが堪らなかった。変なバンドだと思っていたし、それに変わりはないのかもしれないけど、10代の頃の僕でも意外と聴きやすいと思った。
M2.「フラッグ」ドラムはシンプルだけど、ベースもなかなか面白い動きをしていて、とにかくギターのフレーズや音作りが面白いバンドだという事を2曲目から判断してしまう。
ついつい、歌よりも演奏に重きを置いて聴くべきなんだと思ってしまったり。凄いなあと感心している間に曲が終わってしまう。
M3.「バックシート」この曲はベースがなかなか曲全体を陰で支配している印象を持った。ギターは滑らかに流れるようなフレーズが多いけど、音はずっと鋭い。
"通り過ぎた景観が耳元でどんどん囁いて これまでの景観が僕をまた遠くに戻すんだろう"
初めは"警官"と聴いてしまって、意味が分からなかったけど歌詞カードを見て納得した。また遠くに戻すって良いな、映像にも音があって、音にも映像がある。音楽を聴くとあの場所を思い出すという事があるが、これに近いのかもしれない。
M4.「マスク」この1年で装着する事が当たり前になったマスク。ここでは具体的にマスクが登場する詞ではないけど、"どうして責め合うのかな 君にこれあげよう 変だ もうよそう そこで背くらべ合うなら 君にこれあげよう"
マスクを着けて会話をしていると、声は籠るし口の動きが見えないから、相手が何を言ったのかを聞き逃す事が多々ある。かと言って完全に遮断する物ではないので、"これ"あげようというのは優しさなのかもしれない。
M5.「サカサマ」M1や2と同様にギターのフレーズが心地よい楽曲。M1.はまさにリードトラックという感じの勢いがあるけれど、この曲はもう少しオシャレに特化した雰囲気が醸し出されている。終盤は特に好きだけど、全体的に終始リズミカルで大好きだ。
M6.「おまじない」ここまでの楽曲とは明らかに雰囲気の異なる曲で、聴きやすさで言えば1番だと思う。詞の内容はよく分からなかったけど、韻の語感踏みで構成された詞はリズムが良い。
詞では不安を感じる人物と相談を聞く人物の2人の話だと思うけど、結構キャッチーだから、あまり不安感は感じない。最後のアルペジオからは、むしろほっこりする日常を感じる。
M7.「シチュー」本当に何となくだけど、これは食べ物のシチューじゃなくて、"支柱"という言葉遊びだと思う。詞というのは元々が抽象的に書くようなものだけれど、この詞に対して"シチュー"だから、聴き手に委ねるというか、本当に自分の為に書いているという感じ。
M8.「ラムダ・ラムダ・ラムダ」そういえばアルバムの題が『アルファベータvs.ラムダ』だった。ギリシャ文字についての知識は本当にないし、調べた所で理解が難しいので割愛。
"ラムダ"というのは、宇宙論において宇宙定数を表すらしい‥。余計に分からなくなってくるので、分かりやすいまとめサイトなどあれば読みたい。
とりあえずこの曲は他7曲よりもダークで暗い
ベースラインがその雰囲気をより顕著に現している。そうそう、このような難しい音楽のイメージを持っていた。序盤が聴きやすかったので油断していた。
最後の曲が終わると安心したくなるからか、すぐに1曲目に戻ってしまう。実験的な音楽‥まではいかないけど、難解な曲を聴き続けるのって気合いがいる。
M1〜6.で終わっていたらまた全然違った評価を自分の中でしていたと思う。M7と8が難しい。"考えるな、感じろ!"と言ってしまうのは簡単だけど、僕はわりと理解したいと思ってしまう。笑
随分、新作を聴いていないけど今ではどんな音を鳴らしているんだろう。継続的に聴いているアーティストって、どうしても絞られるから仕方ないけど僕はこういうのが多いと思う。しっかり全部聴いていきたいな。