蒼とバラ【ショートショート】
「ねえ、秘密の話なんだけど。」
彼女の声がする。一瞬何処にいるのかと錯覚したが、確かにそこにいる。
「ん?突然どした?」
彼女を見ると、窓際で小さく切り取られた空を見上げていた。じっと見つめた先の空は狭い。今日は快晴。雲一つない秋の空だ。
「空が蒼い理由が知りたくて仕方なかった時があったの。」
何を言っているんだと思った。彼女はそんなことくらい知っているはずなのに。今時小学生でも知っていることだ。彼女がそんな思考に至るのは、酷く感傷的に揺れ動く心を自分で制御できない時だと。そ