森のカフェ
その頃、魔女は退屈していた。
朝の珈琲を飲みながら使い魔である黒猫のエリスから森の侵入者について報告を受けていた。
「魔女様。3日ほど前から森に入っている者ですが、魔獣をけしかけても恐ろしい幻を見せても逃げ帰らずに森を進んでいます。案外骨のある若者みたいですよ。」
「ふぅん。少しは暇つぶしになりそうね。奥の泉まで辿り着けるようならここに招待しても構わないわ。」
「わかりました。この分だとお昼には泉迄辿り着けそうですよ。では、私は少し彼の邪魔をしてきますね!」
「エリス程々にね。じゃあ私は彼をもてなす準備でもしておく事にするわ。お昼には彼を連れてきなさいね。」
久しぶりのお客にワクワクしている様子の魔女様である。
魔女様はどうやらランチの仕度をするようだ。
果たして彼はお昼迄に泉に辿り着いて魔女に会えるのか?
魔女は大鍋に磨り潰した薬草を沢山入れて炒っている。
芳ばしい食欲をそそる香りが周りを包む。
パチンと指をならし人型の使い魔を呼ぶと野菜をカットさせるようだ。
魔女はエリスが仕留めてきた魔獣の肉を解体して、骨を香草と共に煮込んでいる。
魔女様の料理案外本格的?
魔獣の肉と野菜を使い魔に炒めさせて
魔女様は何やら粉と卵を撹拌している様子。
お菓子を作っているのか?
魔女様は退屈しのぎに時々眷族や使い魔をお客様に見立てて
カフェごっこをしているのだ。
魔女様の作る料理は長生きしているだけあってレパートリーも作りきれない程あるからカフェごっこを始めてかなりの年月が経つけど
周りから常に新しいメニューが楽しめると好評である。
暇つぶし最高!
今日魔女様が作っているのはひとくち食べれば体力も回復する薬草入りスタミナカレー!
デザートは森のベリーとクリームたっぷりふわふわパンケーキ。
飲み物は魔女特製の若返り茶。これ人間は飲み過ぎると赤ちゃんに戻るから気をつけて!
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