きみが生まれてきた日
きみが生まれてきた日
ぼくはきみのおばあちゃんと、きみのおばあちゃんちの木を切っていたよ
切っていた長く伸びていく木の途中に腰掛けて、夕暮れが綺麗で
それはいつかきみのおとうさんや きみのおばさんや きみのおじさんが見ていたのだと思うと
このうちのなかをきみと同じように走り回っていたのだと思うと
秋はね ぼくにとっては さよならの季節だったんだ
それがね、きみが来たことによって 変わったんだ
ただ、ありがとうをいうよ
きみのおとうさんの友達たちもみんな カメラを持って きみを撮り出した
ぼくだって抱っこも 手を繋ぐのも 脇を抱えて移動させるのも 怖いばかりが できるようになった
きみが教えてくれたから
愛されて 待たれて 愛されて 伸びていく
夕暮れに見えた未来
悲しみは永遠に消えさらないと思っていたけど
愛されて 生まれてきた
それでも愛されなくて伸びてきた子や
待たれなくて伸びてきた子のはなしだって
いくらでも聞くから
きみが触れて 愛にかえてね
きみが きみのおとうさんやおかあさんが
ぼくをそうしたように
そんな子がまた いつかきみに触れられて
愛にかわるなら
愛だけは拡がっていく
だからめいっぱい
愛して 愛されて 愛し合って 触れ合って
愛が いつかの夕暮れをみて
そして伸びていく
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