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美しいものに触れた、そんな気がした。
ジェーン・バーキンは実はよく知らない。ジュテーム、モアノンプリュは10代の頃には観ていたし、セルジュ・ゲンズブールもCDを持っていたりはしたし、けれどセルジュ・ゲンズブールを好きだと公言するようなひとには少し距離を感じていた(世代的に少し年上のひとのトリックスターだった)。
むしろセルジュを知らずに(ふたりの娘である)シャルロット・ゲンズブールは好きだったし、いまは昔より、もっと好きだ。「小さな泥棒」や「なまいきシャルロット」は昔観たきりだけど、それもリアルタイムではない。
ラース・フォン・トリアーの作品に出ているシャルロットを観て、びっくりしたり、いやむしろ旦那さんであるイヴァン・アタルが監督した「ぼくの妻はシャルロット・ゲンズブール」「フレンチなしあわせのみつけ方」、ミシェル・ゴンドリー監督の「恋愛睡眠のすすめ」の三作品が好きだったりはする。
「ジェーンとシャルロット」はシャルロットが撮るドキュメンタリー。時間潰しに、と思いながら観たけれど、面白く観た。はじめ、日本でのライブ・シーンからはじまり、率直にさまざまなことを語り合うふたり。少なくとも(日本という言い方はいまは避ける)我が家では有り得ない会話のトピックがたくさんある。家族、家族の死、恋人とのこと、睡眠(ジェーンが子供の頃から不眠だったことを語っている)、不安などなど。
この2年後かな?ジェーンは亡くなる(だからより、母を思う)。
それにしても二人とも美しく歳を重ねている。
シャルロット、Tシャツにデニムでぼさぼさの髪、皺、それからジェーンへの視線。
美しく、優しい。
思わず感動してしまった。
美しいものに触れた、そんな気がした。