ラフスケッチ5

1.
スーツの男が街を歩いている。
カメラは、彼の目から見たビルや街を追う。
右側に座るホームレスとすれ違う。

ー瞬間

2.
ホームレスの視線になる。
やがて立ち上がり、公園へ向かうホームレスの視線。
公衆トイレの手洗い場で鏡を覗く。
彼の目には、鏡に映る彼の顔の片隅に、笑顔で友達を振り返りながら、トイレに走って入ってくる少年が、ホームレスの隣の手洗い場に来て顔を洗い、鏡に向かう様子が映っている。

ー瞬間

3.
少年の視線になる。
顔を見上げると、隣にいるホームレスを初めて意識して、少し驚き、そんな自分を恥じるかのように鏡越しに照れ笑いして、振り返り、夏の公園、友達の待つ場所へ走っていく。

*これは、短い映像のイメージ、そのラフスケッチ。この3人はすべて同一人物。現在、未来、過去。イメージのもとになったのは、ホームレスのひととすれ違うときに、ずっとふといま彼と意識が入れ替わったら、世界ね見え方はどうだろうと思ってしまう。ビッグイシューは必ず買うようにしてる。

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