やがて祝える日があるとして…。
思うところがあって、iTunesで中村一義さんのプレイリストを作った。何時間かかったろう?。「主題歌」がない。「ハレルヤ」のシングルヴァージョンもないな、CDで買い直したいや、なんて思いながら、「021217」ってDVDを観る。
「ショートホープ」で中村くんが手を合わせて合掌する場面。「新世界」で手で拳銃を作り、こめかみにあてるシーン。昔、いまは活動休止中の秘密ロッカーってバンドのあっこさんってボーカルのひとに「あんたがな、ライブ中に盛り上がると、こめかみに手で拳銃を作ってあてるやん?あれ、めちゃ盛り上がるんや」って言われたことを思い出した。BAD ATTACKと秘密ロッカー…もういまでも大好きなバンド。DJもしはじめたばかりで、僕はただ、彼らの鳴らす音が大好きで、酔っ払って踊り、ただ見上げるだけだったけれど。その拳銃の元ネタは中村くんだったんだな。いまDVDを観ても、最後の「ハレルヤ」にももちろんグッとくる。というより、垂れ流して、いろいろやるはずだったのに、結局、最後まで見入ってしまう。
中村くんのライフストーリーは実はあまり知らない。知らないなりにちょっとだけ、僕と似てるとは思う。両親の不和、唯一の安らぎがおじいちゃんおばあちゃんだったこと、引きこもりの季節。
僕は、ずっと幼い頃、僕の首を絞めにくるひとに抵抗しながら、それから小さな団地の窓の外を見上げた。灰色の空。あの時、諦めたこと。
或いは、死を選ぼうとした瞬間。少なくともその時の僕の感情は、無だった。僕にとっては、死にたいは生きたい!って意味だ。ただその瞬間には、感情は何もなかった。感情を取り戻したのはいつだったろう。それから何年かして、処方されていた抗鬱剤や睡眠導入剤、睡眠剤を独断で辞めた後。お医者さんに言われた。「よく死ななかったね」。あれからもう5年は経つのか。
中村くんのプレイリストを作るので、配信にあるほとんどの音源を聴いて、ちょっとしたレジュメを作った。
中村くんは、僕には、「愛」と「死」と「涙」と「笑顔」と「夢」で分けられるみたいだ。
分けられるみたいだ、と書きつつ、好きなアーティストがみんなそうであるように、中村くんの過程がまるごと、人生そのもので、僕のこの20数年は彼の歌と歩いてきたんだな、と思う。
どこかで、幸せになっちゃいけない、と思ってた。それはむかし、友達に言われたことば。
僕は知っていた。「永遠なるもの」の、あなたを。「生きている」の、「完全な安定がないなら 完全な不安定だってないな」のワンフレーズにすがりついていた時もある。初めて中村くんがライブをするのに来てるって、友達が電話してきた時。「何から歌うのかなぁ?」と呟いた彼女に、「ここにいる」じゃない?と言ってみたら、当たってたらしく、彼女から中村くんのTシャツを貰った。お揃いの、いまはもう捨ててしまった。好きだったひとが亡くなった時、僕は「キャノンボール」を聴いたんだっけ?。そう、「そこで愛が待つゆえに 僕は死ぬように生きていたくはない」、まるで死んだふりをしながら生きてきた僕にそれは突き刺さって、しばらく引っ掻き傷になる。いまならようやく彼女のことを、懐かしく思える。
同時に、最近友達と話す。ホイットニーが亡くなった時のローリン・ヒルのことば。「人を亡くす事にうんざりしませんか?私はそうです。なら、アーティストを愛して下さい。彼らがつまずく時はしっかりと支えてあげて下さい。今、人々はホイットニーに愛を見せ始めているが、これは彼女が生前に受けるべきだった」そこで、少しだけ泣き声になる。
いまちょうど、自分の人生ってやつを、いや、自分ってやつをリクリエイトしている。この先の自分がどうありたいか?。空を見上げながら、ずっと考えている。いままで描き連ねてきたことばは、だけど、いま書くことばを書くために必要だった。
それは、僕はずっと終わること、終わらせることばかり考えていたけれど、その時間もようやく終わり、終わらないことに意識が向いている。
幸せになりたいって思う。
「あなたを縛っているのは、あなたを赦せないのは、あなた自身なのよ」と、何年か前に呟かれたことばが背中を押す。
相変わらず、ひとと一緒には寝れないけど。幼少期からのトラウマを、ようやく乗り越えようとしてる。それはきっと誰かの横で熟睡できた瞬間なのかな?と、ロマンチックに書いてみて、苦く笑う。
それから、いつか中村くんのライブにまた行きたいな。そこで「いつも二人で」が聴けたら、ずっと一人でも、たぶん生きていける。そんな気がする。
たぶん中村くんも水瓶座のはずで、僕も水瓶座なんだけど、ある本に。「あなたを愛してくれるひとは、同じところにいるけど、別々のことをしている。別々のことをしているけど、同じところにいる。」と書いてある。決して恋だけの話じゃなくて。それはきっと、僕にとっては、中村一義さんの歌う歌も、そんな感じなんだといまなら思う。(鏡リュウジさんのことばです)。
「君にとって音楽はどういう存在でしたか?
僕にとって音楽はみんなと逢う 僕 でした。」
「歓喜のうた」
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