幸せになる事にどこか罪悪感があったな
と、ふと思い浮かんだのは、昔の友達の家で友達の奥さんが、きみはさ、と言う…きみはどこかで幸せになる事を拒んでる様に見える、と呟いたのをふと思い出したからかも知れない。その奥さんはワンルームの壁に背をもたれて、煙草を吸っていた。
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夏が来て、忙しくしている。音楽だけは聴いていて、ご飯はだいたいは自炊する様になって、それ以外は大体は仕事ばかりしている。
長い勤務の後、一度自宅に帰り、シャワーを浴びて、昨日は先輩の娘二人に、僕にボーナスが出たから、UFOキャッチャーを好きなだけしていいと約束した日で、久しぶりに会いに行く。
彼らの家を出て、中野にあるって言うゲーセンに向かう途中、月が綺麗に半分だけ出ていて、ぐるっと右を見上げたら、雲の合間に茜色が広がっている。次女と綺麗だねえー、なんて話す。
それからたぶん何十年振りかにゲーセンに入る笑。いまは100円を両替したら、小さなカップに入れるんだね…早速、千円ずつ両替して、長女と次女に渡す。長女はずっと今日見たって言うアニメのキャラのUFOキャッチャーに張り付いていた。次女はいろんなところを見て、お金を入れていく。あっという間にカップが空になる。それで僕はまた両替して、二人に渡す笑。
たまに長女に内緒な!と言ってカップに何枚か100円を入れたり、次女にも同じ事をする。
先輩や奥さんがいまのゲーセン事情を教えてくれる。それにしても100円が消えていくのが早い…笑。次女は早々にブローチをするっと取るから良いけれど、ずっと同じキャラの前にいる長女はなかなかキャラがこちらを向いてくれない。一応限度額を決めていてあと2回!となり、じゃあってんで、ちょっと俺にやらせてと言ってみる。最初はキャッチがうまく行かず、次女が笑っていたけど、2回目か3回目で、長女念願のキャラを捕まえる!。それで長女も機嫌良く終わる。あと、僕の面子も保てた笑。
その後、ご飯でも食べようかと、歩く。ご飯屋さんに入りたくない、と言う長女。入った後もずっと奥さんのスマホをいじって、ご飯を待つ。言わなかったけど、気持ちは分かるなあと思う。たぶん、僕も小さい頃から外食が苦手だった。いまではHSPって言うのかな?情報が拒んでも入ってきて、ブルーになってしまう。それは大人になっても続いて、僕は飲めなかったお酒に逃げるようになった。
それでもご飯の間、長女が好きなおばあちゃんのお家に行く話をしてくる。そこも(おばあちゃんのお家にいるのが落ち着いていたのも)やっぱり分かる。良かったね、と少し思う。そういう場所があるか、ないかでまた違うよね。
先輩がぼそっと感情的になっちゃう、と呟く。それも分かるよ、と話す。感情をぶつけ合うのも分かるし、ただ長女がって訳じゃないけど、
例えば苦手な事、苦手な場所、怖いと思う事、それに伴う混乱、だからこそ感情を家族の前で出す事、爆発させる事、だけど言葉足らずやうまく説明できない自分の感じ方、だから苛立ち…それって、僕の仕事(福祉)にも関わってくるけど、簡単に結論が出る話ではない、というより結論はない(と僕は思ってる)。
そしてその目の前の有り様と、現実、それとは違ってくる自分の感じ方、それで声を上げられて、他人に助けて!と言えるならまだ良くて、いや、留保して他人に届く様にSOSを出せるならまだ良くて、最大限にSOSを出してもそれが届かなかったりもする。
ではそのSOSのサインが届かない、SOSすら出せない中にいるひとに対して、僕はどうアクセスできるだろう?ずっと考える課題だ(ちなみに僕も一回だけ、そんな時代があった)。
話が違ってきた。
それでもその夜、帰りに次女のリクエストで公園に行き、遊んでいる二人。ふいに奥さんがいま凄く良い瞬間を見た!と呟く。だから僕はそれを見なかった。ただたぶん長女が次女に滑り台かブランコを譲ったんだと思っだけど、違うかも知れない。ただ、こちらまで気分が良くなる一言だった。
もう誕生日だね、と言うと、プレゼントを長女にリクエストされる。わかった!それでハイタッチしてまたね!と別れる。
疲れて酔っていたけど、良い一日で、気付けば、幸せな状態に慣れていない自分がかつてはいて、それが居心地悪くて、いつも破綻して落ち着いていた事を思った。
それを手放したのがいつかは忘れた。
ただ、いまは未来の奥さんの為に、なんて仲間と冗談めいて話しながら、ご飯、それもメニューを増やすのが楽しい。それから昨日のみんなで見上げた月と茜空を写真には撮らなかったけれど、たぶんずっと覚えていくんだろうな、といま思う。