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どこにもいないひと。

ふといつものお店で、70代のマダムが、
今日は私がリクエストして良いかしら?
と言うものだから、ぜひ!と、彼女の口から出てくるミュージシャンをYouTubeで流しながら、
お話しする。
市川雷蔵がいちばん好きだ、と彼女は言う。
残念ながら、僕は雷蔵の出ている映画は観ていない。
2000年代が始まったばかりの頃かな?
リバイバルがありましたよねー?
と答えると、そうなの!と身を乗り出して、
彼女は言う。
彼女の口から出てきたシャボン玉ホリデーは小林信彦の本で知っていた(たぶん)。
彼女のリクエストで、スマイリー小原をかける。

拾いもの動画で、何の映画かも分からないけれど、この指揮者がスマイリー小原で、なんだか面白くて見入ってしまう。

じゃあ次はクレイジーキャッツはないかしら?

途中、ラテンアメリカ音楽を取り入れたバンドの話などをして、ならハワイアンで日野てる子!と彼女は言う。

若くて亡くなったのよ、としばしお話しを聞く。

江利チエミの話しをすれば、

彼女の聴きたい曲がなく、
じゃあ美空ひばりのジャズはどうです?と、

そりゃナット・キング・コールは最高だって話しになって、2時間余りの彼女の選曲は終わる。

楽しかった!。ほかにもたくさんの僕は知識でしか知らない役者や映画、TV、歌手の話しを聴いて、いやー、現場や生で見てるって良いなあ、素敵だなぁと伝える。

ザ・ピーナッツの楽団を指揮してるスマイリー小原!。CDが欲しいなあ。

ーーー

また別の日には、
同じお店で、PET SHOP BOYSをリクエストされる。

好きなブルーアイドソウルというか、
ディスコに歌がヒップホップを模していて、
そこからPET SHOP BOYSをしばらく聴いていた。

大好きな佐野元春のこの曲を続けてかける。

それからPET SHOP BOYSにはこんなカバーがあるんだ!と思った曲!。

それから久しぶりにNEW ORDERをかける。

NEW ORDERにも詳しくないし、いろいろversionが違うけど、このversionがかっこいいな!バキバキだね!と友達と話す。

その友達とはいちばん音楽の話しを(それから仕事の話しもしてる)。
ほかの方のリクエストを受けながら、
クラブミュージックの曲を教え合う。

ーーー

また別の日にはw、
4歳下の、奥さんが僕と同い年の方のリクエストに答えながら、ブリットポップ全盛期、
90年代の音楽もたくさんかけて、
ふとハンバートハンバートをかける。

知り合ったばかりの女の子が、日本の曲も聴くんですね、と言うから、話しをしようとしたけれど、最初に話していた男の子が、
僕と知らずたまたま僕の出ていたイベントによく行ってました、と言うから、
ちょっとその頃の話しをして、
その日は家路に着く。

ーーー

それで、DJ最後の頃、だからそのお店でYouTubeで音楽をかける事も楽しくなってきた頃、当時の二人の知り合いが、異口同音に、
ごみさんと私がクラスメイトだったら、
絶対に仲良くなってましたよね、と言っていたのを思い出す。
ひとりはちょっとヤンチャ入った美容系学生、
ひとりは真面目なデザイン科の学生で、
それぞれまったくちがうタイプだったから余計に。
嬉しかったんだと思うw。
実際、学生時代はちょっとしかないから分かんないけど、
友達が、僕に「どこにもいないひとだよね」と言っていた。
「気まぐれで猫みたいに、ふらっとどこかに行きそう」とも。
相変わらず学生時代と住む街は同じだしw、
その言葉の意図を確かめる術もいまはなく。

確かに誰といても、いなくとも、根っこのところで、寂しかったんだなーといまなら思う。
誰かといたら一人になりたかったし、
一人になれば誰かと一緒にいたかった。

どこにも馴染まない、とも言われた気もする。
それってまんま青春やな!、気づけばそれから20年が経つ。
青春してたなー!と笑う。

いまはあの頃の感情とは別の、
あの頃とは別に寂しかったり、
楽しかったりするけれど、
ちゃんとおじさんになってきたんだな、
とそれが嬉しい僕のテーマソングで今日はおしまい。
読んでいただき、ありがとうございました。

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