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書くこと秋めくこと

書きたくて書きたくて仕方がないくせに、書くことは業が深いことだと思っていて、誰にどう届くのか、周りにどんな影響があるかをぐるぐる考えてしまうせいで、ぶわーっと書いたものを人知れず墓地送りにしてしまうことがよく、ある。書き溜めた小説や詩や短歌、ボツにしたコピーやステートメント、誰かに見てほしい気もするし、大切に私のなかだけに留めておきたい気もするし、で、気づけば容量を圧迫して、慌てふためいたりする。風通しをよくするには一度全部吐き出すことが必要だと思い出し、ふかく、息を吐く。吸うより吐くほうが簡単なので、落ち着きたいときは吐くことを意識するといいらしい。全くその通りだった。
書きたくて書きたくて書いて書いて書いて、おそるおそる共有したものを大切に見つけてもらえるのは、ほんとうに、うれしい。自分で悶々と結んで結びすぎてほどけなくなった糸を、そっとほどいてもらったような気持ち。糸がほどけたあとには、守ろうとしていた思いのようなものが見えて、ああ、私が書いていられるのは、守りながら背中を押してくれる人たちがいるからだ、と思う。生きているあいだは、たくさんありがとうを書きたいです。どんなかたちであれ。世界はもしかしたら思ったより生きづらいのかもしれない、それでも、美しい瞬間はあるのだと、ありがとうと思えるのだと、どの時間軸の自分にも言える自分でいたい。顔を上げたら秋だった。

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