【SS】小春の十月桜(2011/01/13)
毎夜あなたを夢に見て、その日が来るのを待っていた。
わたくしを迎えに来た彼は、優しく髪を撫でつけながら、柔らかな笑顔でこう言うの……
「待たせてすまなかった」
いいえ、そんな……わたくしこそ。お役に立てなくて……
そんな返答しかできないわたくしを、あなたはどう思うかしら。
夢で会えたらどんなに幸せでしょう。そんなことを初めは思っておりました。
けれどもわたくしはあなたの幻に出会うたび、届かぬこの手を差し出して、眠れぬ夜を過ごすのです。日に日に身体は衰えて、と