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降りはじめた雪の一抹が 君の長い睫毛にかかれば 解けて流れてやがては 君の涙となるだらう …
朝日に目が覚め僕は気づいた まうひとりになつてしまつた 涙のやうな軒先の垂水は 凍つて時が…
ただに急ぎし道の彼方に なにかを置いてきてしまつた。 背中に君がゐると思つて ふりかへれば…
澄み渡る蒼天井 色づく稜線さへ 僕の見る目に死んでゐた 六月の灰 アスファルトをたたく雨音…
いままさに雨が降ったんだ 君の前では涙など 見せたことはなかったよね 昼下がりの窓辺で 淀…
愛するものが死んだ時には、 自殺しなけあなりません。 しかし同んなじ自殺をしたんじあ それ…
ふと見るけふの朝陽は、本当に温かかつた。 窓辺にゐる私の身体を優しく包み込むそれは、 まうゐない筈の、彼女の言葉を憶ひ出す。 青空のあひだを翔け抜ける雲々は、 刻の流れの冷徹さを知らせる。 あつと云ふ間に雲は流れて、 あつと云ふ間に日は暮れかけて、 あつと云ふ間に、人は死んでしまう。 とつくに解りきつてゐるはずだのに、 やつぱり心がちよと辛い。 ただ、悲しみに冷え込む夜にも、 いま、かうして陽が差した。 大丈夫、ちやんと生きるから、 だからあと少しだけ、 この温かさのなか
またもや違ふ秋が来る 変はり始める山の彩り 指先から伝ふ風の冷たさ 思ひ出されるあの日々と …