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親友は撫子

古都、京の都。

往来を通りすぎるのは和を纏った人の群れ、貸し着物屋さんが繁盛している。

お晩です、着物が良く似合う御嬢さん。よくみたらいけねえ、あんた俺の親友ちゃんじゃねえか。見間違うのも無理はねえ、世界観を纏っちまったらもう、あんたが一番撫子だ。

親友が和を決める大きな場に歩を進めていた、その一報に驚いたけど、こころのどこかでそんなのは当然なんだとも思っていた、昔からすげえんだ、友達贔屓といわれればそれはそうでしょ?俺が信じてるのは俺が観てきた者だけ。俺が俺の親友を誇ってなにが悪い。

会場に着いた時、酷く格差を感じた、真ん中には食事の用意されたテーブル。端に寄せられた椅子だけの場所が僕らの用意された席だという。まあ会場で晴れ舞台をみれるだけ最高すぎるからいーや。
タイムテーブルはおおよそ退屈な催しで溢れていた、親友の番まですることもなく他の人のスピーチや手先の動きや身の振り方を観ていた、真に迫る物を感じずただ時間は流れていた。

順番は時間が流れたらやってくる、いよいよだと心が騒ぎだす。
大体親友はいつも凄くて人の気持ちをその人より理解できてて頭も良くて行動力もあって長いものに巻かれない性格から滲み出るオーラがかっこよくて、急に東京にいっちゃって急にこんな大会があるなんて聞いて、ずっと勢いが凄くて、もう、なんていうのか、、そうだ、

誇りだよ。

壇上に上がった君をみて、そんな思いが心臓を震わせる。

そんな君が僕に課したお願いが「写真をとってほしい」だった。僕でいいの?大した腕はないよ?そう思ってるのに、真っ直ぐ信じてくれるんだから、「うん!撮る!」って言えるんだよ。

花道から離れた席でシャッターを落とす、親友は遠くにいるのに、その姿を見失うことはなかった、凄いなあ君は。東京行きを決めた君にエールを送った日を思い出す、東京に行くのになにもしてあげれなくて歯がゆい思いをして、「できることならなんでもいって」なんて月並みな言葉しか送れなかった、そんな約束を果たせるなんて、そんな場所を作ってくれたんだね、こんなに嬉しいことはないよ!遠くで落とすシャッター、ファインダー越しに君を覗くけど本当はしっかり自分の目でも見ていたかった、でも勇姿を残すのも僕の役目の1つだと思ってる。

ずっと尊敬してる、それくらいに持ってる側だと思ってる、j.k.ローリングも有能な編集者に出会わなければ普通の主婦作家、他にも才能を見出だす側の人間がいれば、親友はもっと光に当たる世界に居てもいいって思っている、だから僕は自分を呪ったよ、自分にもっとカメラの腕があれば、押し上げるための人脈があれば、影響力があれば、なんて無い物ねだりをした、そんなのはつまらない僕のエゴだから、無いものを手に入れるよ、僕自身まだまだ色んな物が足りてないから、今日思った、僕ももっと力をつければ回り回って親友への恩返しになるんだって。

だからね、親友の晴れ舞台をみて、勇気づけられて、自分も!なんて簡単に感化されてるんだよ、勇気づけるなんてすごい影響力、友達贔屓がすごいって?

親友なんだ、自慢のね。

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