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再び、茜い季節へ。

ほんのりと秋の匂いがする、
「恋人の匂いがだめになったら、もうお終いだよね」
大概の人なんて無臭だと思ってて、その中でも密接に関わる人の匂いなんて気にしたこともない、でも知り合いがこんな風に言ってて凄く頷ける話だった、同じ日々を共に過ごしてく中でこの人の匂いが駄目かもって一度してしまったイメージは払拭するのに時間がかかる、払拭できないかもしれない。苦手意識を持ったその日から、苦手のイメージは頭に鮮明で、ましてや匂いが苦手になったら、一緒にいる時間は苦痛へと変わるに決まってる。香りとかって言葉を使わないのは匂いって単語に意味があると思うから、香りはその人からというか、その人の纏う香水であったりシャンプーであったり柔軟剤を指してしまいそうで、匂いはその人の感じ方そのもの!っていう感じがして凄く適切に思った僕個人の意見。
だから匂いが無理になることってきっとある、そうなったらもう、お終いだよね。

僕はまだ想いの延長線上に居る。途切れたりしない、不思議だよね、とっくにインスタも見てないし連絡もとってない、でも本音は会いたい。

好き

この二文字を言う為に、自分の思いの丈をスマートになんかできないから、重いほどに文字を綴る、自己防衛の1種だと思う、保身に保身を重ねて、なんで好き?っていうのを言い訳のように連ねてる、明日までにレポートにして提出しろと言われたわけでもないのにね、自分を納得させる理由をまだ探してる。

好き

好きじゃない

の理由を何個か出してみても、好きじゃないの理由が幾億通りあったとしても、それ全て払拭するような圧倒的な好きの理由が一つある。

好き

だから。

俺は自分を弱い生き物だと思ってる、
彼女を守りたいのに、そんな力がないから、
ちぐはぐな言葉で自分を誤魔化していたんだと思う、
精一杯立派になったら、会いたいの一言を言えるでしょうか。その一言を言いたいが為の時間が今流れてる気がする。

自分の夢を掲げた時、それは自分で飲食店をしたいだった、誰かに言われたでもなく、ただ好きだから。給仕することが、じゃない。身近な世界の近くの笑顔をが好き。
欲張りだけど全部を守れないことを知ってる、俺は医者じゃないから、命を救うってできない。だから守れる範囲でこの手が届く所までは命を謳える。言葉で救われる事があるって思いたいんだよ、弱いことを知ってる、保身に重ねたのは自分の弱さ。何層にでも積み上がった弱さは守る強さに変わると思う。

精一杯、自分の力で貴女を幸せにしたい。
こんなエゴがずっと俺の中に流れてる。
会いたいの一言を言う為に頑張る、俺の夢はその延長線上にあっていいと思うんだよ、今年が始まった時、そんな資格がなくてずっと逃げていた。
僕の夢が形を帯びたら、君に逢いたい。

拝啓十代の僕へ、
 未来からの手紙です。何の意味もありません、ただの自己満足の報告です。レンガを一つ一つ、組み立ててそれが城になるってすごいことですよね、ありがとうレンガを積む作業やめないでいてくれて。お城はできるかもしれません、不格好でもお前のお陰です、色んな思いをしながら、そんな中でもレンガを積むことをやめないでいてくれたのは、きっと好きな事だったからですよね、安心してください。あなたはレンガを積む事がまだ好きでいれてますよ。まあ見ててください、まだ先の話ですがお城は必ず建ててみせるよ。半ばでも言わせて、ありがとう。

俺は何度も彼女の匂いを思い出す、肌寒い季節、助手席の匂いがまだ染み付いてる。彼女が残した想いがまだ息をしてる、どうしようもないほどにメンヘラな俺は、彼女が元気で居てくれてるならそれでいいって思うことと同時に、ちゃーんと言葉に出来ないことを思う。でもしっかり自己満足に自分を守れてない俺が彼女に言葉をあげること自体大きな間違いなんだよ、だからレンガを積み上げてお城ができた時やっと、逃げないでいようってそう思ってる。そんときに彼女に相手がいてもただ俺が遅かっただけだとしか思わない。

この晴れようのない想いは消えない匂いと同じでずっーと居るんだろうなあ、俺は自分を守るために弱くて、誰かを守ろうと思いながらレンガを積んで、会いたいの一言がいえないけど、思い人には会いたい。

拝啓 秋を迎える俺へ
 敬具。

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