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ひとりぼっちのくろ_4

くろは日が暮れると、窓にぴったりと鼻をくっつけて、外を見た。海を隔てて、小さな灯台のある島が見えた。

(あの大嵐が来るまでは、くろは、お母さんや兄ちゃんたちと一緒に、あの島で暮らしていたんだ...)

灯台のライトがぐるりと回って、くろを呼んでいるように見える。

くろは、この家を出ることに決めた。

そこで、くろはアイに手紙を書いた。

「アイちゃん今までありがとう よぞらもアイちゃんがだいすきです。 でも、よぞらは本当は、よぞらじゃなくて、“くろ”なのです。さようなら、おげんきで」

くろはこの手紙を、壁に爪で引っ掻いて書いたので、アイが読むことができたかどうかはわからない。

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夜明け前、くろはアイの家の窓からそっと抜け出し、通りを走って、島の船着き場までやって来た。

海にはたくさんの小さな島影が見え、その間を連絡船が忙しく行き来しているようすが、朝日に浮かび上がっている。

やがて、くろが座っている桟橋に、小さな連絡船が着いた。

くろは、連絡船の船長さんがもやい綱をかけているところに近づき、話しかけた。

「あのー、この船は、灯台島に行きますか?」

アイと暮らしてから、くろは人間の言うことがわかるようになったし、人間を怖いとも思わなくなっていた。

でも船長さんには、くろの質問は、にゃーにゃーとしか聞こえなかった。

「おう、なんか知らねえが、乗りたきゃ、乗んな」

船長さんは、くろを船に乗せてくれた。

出発時間が来て、連絡船は動き出した。

(つづく)



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