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ひとりぼっちのくろ_8

くろは真夜中にふと目がさめ、「このお母さんは、くろのお母さんとにおいが違う」と気づいた。

においが違うことに気づくと、本当のお母さんの顔、声、手触り、温度、全てをはっきり思い出した。

くろは、お母さんに会いたい一心で、別のお母さんのことを自分のお母さんだと思い込んでいたのだった。

みんなが朝の狩りに出かけてしまった後、お父さん猫とお母さん猫が話しているのが聞こえた。

「お前、気づいているかい?あの子はどうも、うちの末っ子のくろすけじゃ無いようだよ」

「わかってる。でも、あんな小さい子を追い出すことなんてできやしない。それにみんな、あの子をくろすけだと思って喜んでるわ。それでいいじゃないの。どうせみんな、すぐに独り立ちして出て行くんだから」

くろは考えた。

「本物のくろすけが帰ってきたとき、くろが自分の代わりに子どもになってたら、その子がかわいそうだ。その前に、ここを出ていかなきゃ」

くろは、猫島を出て、とにかく灯台島に戻ろうと決めた。

浜辺に、おもちゃの船が捨てられていた。くろはそれに乗りこむと、木片をオール代わりにして漕ぎはじめた。

小さな灯台のある島を目指して。

(次回につづきます)



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