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log10

私はあまり英語ができない。できないが、父と字幕映画を見ながら「全然違うこと書いてるじゃん」とか「f××kに対応する日本語はたくさんあるんだなあ」とか考えることは多い。
その延長線で、iDKHOWが好きになってから英語詞の和訳というのを勝手にちびちびと進めるという小さな趣味ができた。
この間も、気に入った曲があったので訳してやろうと辞書を開いた(私は紙辞書をメインで使うタイプである)。

Here I go running my mouth again
Left foot in the dark 'cause I'm sunny-side up
Take a skip and a jump, now you're sunny-side up-up up-up

I DONT KNOW HOU BUT THEY FOUND ME "SUNNYSIDE"

辞書曰、
【sunny-side up】(卵が)目玉焼で、片側だけ焼いて。

目玉焼き……?????

現場は大混乱です。
目玉焼き(?)をどう解釈すべきか、いっそ放置して先に進むか。しかしここはサビのフレーズでありこの後も何回も繰り返される。目玉焼きの謎を解かずしてこの曲を理解したと果たして言えるのか。
悩んだ末、とりあえず誤訳覚悟で「目玉焼き」を仮置きして先の翻訳を進めることにした。
すると、なんだか手がかりっぽい部分が出てきた。

Ooh, there's more to life than meets the eye
(目で見える以上のものが人生にはある)
Intrusive thoughts will make you cry
(無遠慮なやつらが君を泣かせるだろう)
You've got to play through the pain and just ignore what's creeping in
(でも君は痛みを乗り越えて、忍び寄るものを無視するしかない)
Some day we're all going to die
(いつか僕らみんな死ぬんだから)

I DONT KNOW HOU BUT THEY FOUND ME "SUNNYSIDE"
(和訳はおおみやが主観と偏見でおこないました)

これだろ。
Dallon、君はこれが言いたかったのか?

他の楽曲もそうだが、iDKHOWはなんだかシュールでダークだ。だが絶望ではない。ネガティブではない。
「良いことなんてない。だからこそ」といった感じでなんだかポジティブな気さえしてくるものが多いのだ。気のせいかもしれないけど(これはアウトじゃね?  みたいな曲もあるにはある)。

この曲もそれが言える。
「人生はどうしようもない」「悪いことは避けられない」「だけどそんなことにばかり目を向けてないで」「だって僕らはいつかみんな死ぬんだから」。

目玉焼きは片面焼き。片方が表ならもう片方は裏。だから僕の片足はいつも闇に突っ込んだまま。これはあまりにも当たり前で考えたって仕方がないこと。だったら右足は常に光に照らされているはずだ。
目玉焼きはいつかみんな食べられる。でもそれよりも前に自らゴミ箱に身を投じる目玉焼きはいない。悪い面ばかりに囚われていても仕方がないから。
僕も君も、好きも嫌いも最後は全て死ぬ。それまでの間、君は君を悲しませることばかり考えて生きるつもり?

こう考えると、なんだか「目玉焼き」もあながち誤訳ではないような気がしてくるのだ。
最近は目玉焼き柄の靴下とかヘアピンとかをよく見かけるようになった。なんだかポップでまぬけな印象を受けるかわいらしい朝食の定番だが、これからは目玉焼きを目にする度、私はこの曲を思い出すだろう。
すぐ身近にいるものほど些細に思えて存在を軽んじてしまいそうになるが、そういうものこそ楔のように抜けない唯一無二の生命線になり得るのだ、と思う。

「これ以上、君の悲壮な顔を見たくないんだけど」と、言われている気がした。




……という感じだと思うんですがどうですかね???
「貸せ! 翻訳はこうやるんだよ!」という方がおられましたらどうぞよろしくお願いいたします。

おしまい。

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おおみや
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