無理そうな依頼を受けた結果
「えっ!絶対ムリでしょ!」
先月、知人のデザイン事務所さんから
「パッケージイラストを描いて欲しい」
と電話があったのが始まりでした。
話を聞くと超短納期!
お世話になっている方なので、
無理めなスケジュールでも絶対受けようと思い、
受ける気満々なのは良かったのですが…
先方の希望は
「若干重厚感のある和風イラストで!」
言われた瞬間、ちびまる子ちゃんの
「ガーーーーーーン」の表現がピッタリなくらい
の衝撃を受け、至急脳内会議
「待って待って待って!そんなの描けるの?
だって、WAFUUUUU!?
そんなの描いたことないし、
大体普段のタッチは真逆のライトでポップなイラストだよ。
どーーーーーすんの自分!?」
と頭で会議すること1秒。
会議の結果、引き受けることに。
やっぱりできない
いざ描き始めてみると、想像以上に難しくてやっぱり描けない…。
依頼されたイラストは魚と果物。
とりあえず描いてみた魚はどこからどーみても半魚人。
(漫画ワンピースでルフィが描いた魚人のイラストそっくり。
「ワンピース」「ルフィ」「魚人」「イラスト」で検索したら出てきます)
想像の1000倍以上にマズイ仕上がり。
イラストレーターと名乗ってることを訴えられるレベル。
なんなら、逮捕されるかもしれない。
もうこれはイラストACさんか、生成AIにお任せしてもらった方が良かったんじゃ…の考えが頭をよぎりましたが、
せっかくご依頼いただいたので
「依頼して良かった」
と思ってもらえる仕上がりを目指して描き続けました。
まさかの…
描き続けること数十枚。
(もっと描いたかも)
ようやく見られるモノは描けるようになったけど、
そこはかとなく漂う、小学生の図工の絵画感…。
イラストレーターとしてお金をもらうのであれば、
もうひと声、頑張りたいところ。
そこで、家にある和風の手拭いや、日本画を引っ張り出し
何が違うのか、睨み付けながら、試行錯誤してさらに描くこと、数十枚。
大量に描いただけあって、
最初の半魚人が嘘のように、数日かけて無事商品らしいイラストができあがりました。
(本当はビフォー、アフター載せたいのですが、ちょっと今回載せられずで、ごめんなさい)
今回得たもの、失ったもの
普段「イラスト描きます」って公言していると、
何でも描けると思われることが多くて、
今回みたいに「え?無理じゃない?」
みたいな内容でも「描けますか?」とよく聞かれます。
今回「まー無理め」な依頼を受けてみて得たもの(気づき)は3つ。
1つ目は
「やるが吉」
ということ。
100%無理だと分かりきっていることは、
先方にもご迷惑をかけてしまうので
なんでもかんでも受けるのはNGですが、出来そうにないけど出来るかもしれないことは思い切って受けてみることも大切だと思いました。
受けてみると、意外と出来たりして自分の仕事の幅も広がるので、今回は本当にチャンスをいただけて、ラッキーでした。
あと、どんな依頼がきても即座に返事できるように、自分の得意不得意をしっかり把握しておくのも大切だと感じました。
2つ目は
「質は量から生まれる」
ミッフィーで有名なディックブルーナさんは、
あの一見簡単そうなミッフィーを描くために、
ミッフィーひとりにつき100枚以上ものミッフィーを描くんだそうです。
それだけ描くから毎回、絶妙なバランスで描かれたミッフィーが生まれるんですよね。
(シンプルって簡単そうに見えて、実力が残酷なくらい出るので実は難しい)
ディックブルーナさんと自分を同列に例えるのは、厚かましさしかないのですが、今回「何十枚」と描いたおかげで和風以外のイラストのクオリティも
爆上がりしました(あくまで当社比)。
3つ目は
「できることが増えた」
1〜3つとも当たり前の話ばっかりですが、
やっぱり挑戦した分できることが増えたんですよね。
今回チャレンジしたおかげで
「ポップ、ゆるいイラスト」
がほとんどだったのに、ここに
「和風」
も追加されました!
何十枚と和風イラストを延々と描いたおかげで、自分なりのコツがつかめて和風筆タッチのイラストはまた話がきたら、即答で受けられそうです。
できることが増えるということは自分の武器が増えるということ。
やたらめったら、使えない武器や自分が扱いきれないほどの武器や、全部が中途半端になりそうな武器を増やす必要はないですが、今回は増やせて良かった武器でした。
(今後、需要もありそうなので)
そして、唯一失ったことはですね…
ドゥルドゥルドゥルドゥルドゥルドゥルドゥルドゥルドゥルドゥルドゥル
ジャーン
無駄金です。
どういうことかというと
この依頼がきた直後に、いつも使用しているデジタルイラストペンを子どもが無くしまして。
でも、ペンがないと仕事ができない…
でもiPad純正のペンはめちゃ高い…(20,000円とかします)
悩んだ末に、iPadの純正ではなく互換品の2,000円くらいのペンを買いました。
……が、描きにくい…。
ちょいちょい動作が止まったり、電池の残量が確認できないので
気がついたら電池が切れる…。
一応使えるんだけど、なんとも言えない微妙な使いづらさ…。
結局、純正のペンを買い直したので、その2,000円は無駄になりました。
「仕事のモノはケチってはいけない」という勉強にもなりましたが、2,000円のペンは3日でお蔵入りしてしまいもったいなかったので、次からはケチケチせずに、仕事のものはしっかり投資することを胸に刻みます…。
しかも、無くしたペンは結局出てきて現在iPadの純正ペンは、今我が家に2本あります笑
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