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ozepon
3「詩」朝
両手を広げる
身体いっぱいに
触れない遥か遠くのものを感じる
目を閉じる
さっきまで見えていた景色の残像の中に
見えてないものが見え始める
途切れなく続くうんざりした時間が
べったりと地面に影を落としている
心を澄ませ身体を澄ませ耳を澄ますと
時間の隙間に気づく
時間に空いた隙間の中に注意深く
足を踏み入れるために
注意深く
要らないものを捨て去らないと
隙間の入り口は閉じてしまうこと
私は知っている
要らないもの?
自分がいかにすごい人間か
自慢するだけの言葉だったり
肩書きや貧富の差で人を判断する怠惰さだったり
嫉妬ややっかみだったり
そんなものをぜんぶ捨てて
空っぽにして
生まれ落ちた瞬間
初めて吸った空気のように
初めてあげた産声のように
身体いっぱいに
今私がいる場所を慈しみながら
最大限の勇気を振り絞って
震える片足を
時間の隙間に差し出す朝
祝福で満ちた1日になりますように
世界の片隅で今泣いている人々の
ひとりでも心に灯りをともしますように
きれいごとに思える祈りが
心からの祈りに変わっていく