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「信じる」と「感謝」

私は16年児童養護施設で生活していて、たくさんのことを学び、多分周りの子達が体験していないこともたくさんしてきたのかな?と思っています。その中で、得たものも失ったものもあるのではないかと思っています

私が、施設にいて失ったなと感じるものは、「人を信じる」「未来を信じる」ということなのかな?と思う。
逆に、施設で育ってすごく身についたことは、「人に感謝する」「出来事一つ一つに感謝する」ということなのかな?と思う。

今回は、施設で育っていく中で、失ったと思うこと、得ることができたと思うことについて話していこうと思います。

「出会い」と「別れ」を繰り返し、「信じる」ことが怖くなった 

私は施設で育つ中ですごくたくさんの出会い、そして、すごくたくさんの別れを繰り返してきた。
私は、ほんとにたくさんの人に出会えたと感じる。その一人一人がすごく素敵な人だった。
・毎日一緒に暮らす施設の子。
・毎日お世話をしてくれる職員。
・ご飯を作ってくれる給食員。
・いつも話しかけてくれる学校の友達。
・会うたびにいろんな話をしてくれる兄弟。
・すごく優しいバイト先の人。
・いつもいろんなことを教えてくれるSNSで繋がった人。

でも、私はこの18年間で「出会いがあると必ず別れがある。」ということも知った。

何度繰り返しても別れはいつも寂しくて、毎回心に大きな穴が空いたような気持ちになった。
・一緒に暮らしていた子の退所。
・すごく中良かった子の他施設に移動。
・仲良くしてくれていた年上の子の卒園。
・仲良くなった実習生とのお別れ。
・学習ボランティアさんが辞めていった日。
・大好きになった職員の退職。

特に印象に残っている「別れ」は、私が中学3年生の時私の担当をしてくれた先生が退職したこと。
私はその先生にならなんでも話せた。
悩み事、不安なこと、楽しいこと、何気ないこと…。
先生はなんでも一生懸命聞いてくれた。先生に出会い、こんなに私の話を真剣に聞いてくれる人がいるんだ。私も思ってること、考えてることを口に出していいんだ。と思えた。
職員と初めて喧嘩をしたのも先生だった。今まで、職員に怒られる時「絶対自分悪くないやん」と思っていても、何も言わない方が早く話が終わるから、何も言わず黙って怒られていた。
だけど、先生は私の顔を見て「納得してないならちゃんと言いなよ。言わないと誰もわかんないよ。」と言った。
そんなこと言われたの初めてですごく戸惑ったのを覚えている。
先生だって早く話を終わらせたいはずやのに、私以外にも子どもはたくさんいる。1人にそんなに時間を取ってられないはずやのに…。など、いろんな気持ちが入り混じった。
私は初めて自分の思いを口にできた。
先生は黙って私の話を聞き続け、最後に「ちゃんと自分気持ち言えたやん」って言って笑ってくれた。
それからも何度も喧嘩をした。そのたびに先生は真剣に話をしてくれた。
そんな、たわいもない毎日を過ごしていたある日、先生が私に「ちょっと話しあるんやけど」と言った。私はいつも通り「なに?」と答えた。すると先生が

今月で退職することになった。あなたのこと最後まで見れなくてごめんね。

と言った。
その時私はショックというより、仕方ないという気持ちになった。仕方ないと思いたかったのかもしれない。
「仕事だから仕方ない」
「私は、本気で先生のことを求めていても先生にはこの仕事はただの通過点でしかなかった」
「先生の夢を応援しないと」
そんなことを必死に思った。

それから私はすごく後悔した。
人を信じたら別れの時に寂しくなるのわかっていたのにどうして信じてしまったのか?  と…
こんなことを繰り返す中で、人を信じれなくなったのかな?と私は思います。

一つ一つのことに感謝すること

でも、私は沢山の別れを経験し、出会った人とはいつか別れが来る。だからこの一瞬に感謝して生きていこう。と思うようになりました。
これはほんとに施設で育ったからできるようになったことだと思うし、すごく感謝しています。
今まで出会ってくれた人、これから出会ってくれる人、全ての人に感謝して、これからも生きて行きたいと思います。

施設の状況

最後に施設の子が大人を信じることの難しさに、施設の職員の労働環境が関係してるということを伝えたいです。

施設の子が人を信じることが出来なくなった背景には施設の職員さんの労働環境がすごく関係しているのではないかと感じています。私の施設の状況(同じことが起きてる施設もあるのではないでしょうか?)を軽く紹介します

私の児童養護施設では、すごく職員の入れ変わりが激しかったです。数ヶ月で退職してしまう職員も少なくありません。その理由は様々ですが、労働環境がすごく影響してるのではないか?と思います。

私の住んでいる児童養護施設は最近まで大舎制で、100人程度の子どもを20人程度(施設長、心理士、栄養士、調理員、里親専門相談員 除く)の職員職員が24時間交代制(朝5人、昼夜6人人ぐらい、夜勤、宿直)で面倒をみるという形でした。1日で少なくとも13人の職員が必要です。
職員が20人しかいないのに、1日に13人が出勤しなきゃいけないのです。職員さんのシフトは月によってバラバラで、連休はほとんど取れない状況、夜勤や宿直が週に2回あることもあります。すごく大変そうだなと思っています。他にも、子どもたちからの暴言や暴力、職員同士の人間関係など心理的にもすごくキツそうだなと感じています。
そんな状況を急速に変えていく必要があると私は思います。



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