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338【アクティブ・ラーニング⑦】

学習者の自己肯定感を高める3つの要素
①自己決定感
②有能感
③他者受容感

まず、これを教育現場の言葉に書き換えなければいけない。これらは、このように翻訳される。

①自己決定感→課題づくり
②有能感→教材づくり
③他者受容感→場づくり

順に説明していく。
まず、課題づくりについて。学習を進め方として、教師がスモールステップにして、子どもたちを誘導していくのではなく、ある教材を、子どもたちが調べたい、学びたいと強く思うものにしていかなければならない。自分で悩み考えた課題。このプロセスこそが、自己決定感を育む。

次に、教材づくりについて。自己決定感を育むといっても、小学校6年生に「9+3=?」という教材を与えては、有能感は損なわれてしまうし、プライドを傷つける。有能感は、子どもがいまもつ知識を使えば、なんとか解決することができ、かつ自分にとって、意味のある、価値あるものでなければいけない。そうした教材に正対して向き合うことで、有能感は育まれていく。教師は、地域や教科書、学習指導要領に書かれている素材を、子どもたち一人ひとりに合った学習課題になるよう工夫した教材づくりをしなければならない。

最後に、場づくりについて。個人にとって価値ある学習課題に大して、自ら意思決定をしても、それが何かの役に立たなければ、それは無意味である。人はいかにして人たるものになるか?生きていることを実感するか?まず認められる。感謝できる。愛される。ほめられる。とても重要なことである。しかし、何よりも生きていることを実感するのは、誰かの役に立てることだ。これは、特別支援教育でも変わらない。「愛されればいい」「助けてと言えればいい」そんな受身の教育では、学習意欲は続かない。「誰かの役に立ちたい」「今回は助けてもらったけれど、次は僕が助ける番だ」こうした気持ちが生きる力を生み出していく。学びは他者と共有し、役立てていかなければいけない。

この3つの観点を教科で、総合的な学習の時間で、道徳で、または特別活動で、、どのように取り入れていくか?ここに教師の工夫や創造性が求められる。よく「クリティカルシンキング」を批判的思考力だ!!これから重要なのは本質を批判する力だ!!!なんて言う人がいるが、まったくの見当違いである。大事なのは本質を見抜く力。教師がさまざまな素材を子どもにとって価値あるもの教材へと昇華させ、子どもたちが教師のねらった学習課題を自らの意思でつくっていく。そこには、教師を超える本質を見抜く力が要求される。だから、教師は本質を子どもに教えてはいけない。子どもたちに気づかせなければならない。そして、見つけた本質を役立てるために、どんな方法があるか、他者と共有できる要素を丁寧に抽出していく。これこそが、アクティブ・ラーニング!!

総合的な学習にもこうした要素は盛り込まれていたのだが、「地域」「福祉」「情報」など枠組みを決めたこと、言語活動を重視しすぎたことにより、単に思考力・判断力・表現力の育成の手段として使われてしまった。本来の目的が、スキルの獲得になってしまった。しかし、総合的な学習の時間に、各々の先生方が得た地域や専門家とのネットワークや蓄積された教材は、今後の展開に必ずや生きてはたらくと考えている。

では、さらにより深く、具体的な展開の仕方について、説明していく。つ・づ・く・・・

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