まやちの帰国レポート~想定外のホテル2泊編1~
映画のシーンが目の前に
国が用意したホテル行きのバスを待つ我々の前に現れたのは、窓をすべてブルーなカーテンで覆い、迷彩服の自衛隊員の指示に従いながら停車した観光バス。
運転席には2人います。その2人は映画でよく見る細菌兵器を除去する人が着る防護服を身に纏っていました。
なかなかショッキングな絵面でした。
「そうか、私たちは暫定ウィルスなんだ」
ロビーでくっちゃべったり、こっそり売店に行ってヘラヘラ買い物していたりした人たちが静まりかえります。
バスの中で改めて説明がありました。
・重複するとは思いますが、氏名、年齢、滞在予定先、滞在予定先までの移動手段について書いてください。
・検査の結果は菌の培養時間にもよりますが、培養がうまくいかない場合のやり直しも含め、24時間以上かかります。昨日までに検査を受けた方の分、今日の検査数も多いので、皆さんにご報告できるのは早くても明日の夜10時以降です。夜中になることもあります。当日中その後の移動は原則できませんので、皆さんには2泊していただきます。
・宿泊費、食事は無料で提供されます。検査費も必要ありません。
・外出は一切できません。お酒とタバコは禁止です。
・宿泊予定のホテルは予約日の変更をしてください。今日レンタカーを手配していた人はキャンセルし、後日に予約を取り直してください。
想定しなかった2泊の監禁
2泊?!
予約したホテルとレンタカー屋には変更の可能性を連絡していましたが、まさか2泊とは…。
前日に確認した外務省のサイトでは、自分で用意しろってだけ書いてあり、昨日までは、ホテルの予約とレンタカーの手配があれば、検査後に移動はできたはず。どこで変わったんだろう…。空飛んでる間? どうしろと…。
そもそも、我々のようにホテルに滞在する予定だった人と、自宅に帰る人との違いってなんだろう。家族の迎えやレンタカーで自宅に帰る人はホテルで結果を待つ必要がないの? 暫定キャリアなのは同じはず。移動中に濃厚接触の可能性もあるんじゃない?
頭の中でいろんな考えがグルグル巡りますが、自分たちの状況は変わらない。だったら考えても仕方がない。
宿泊する部屋は、基本は個人だったのですが、家族であること、片方が陽性だった場合のリスクを自分で責任取れるのであればと、同室にしてもらうことができました。
ホテルに入ると、医療用防護服を着たホテルの従業員の皆様が、バスの中で割り当てられた部屋番号を確認し、私たちを部屋まで案内してくれました。部屋は思いの外広く、綺麗でした。
しかしドアに貼られた貼り紙で、これから監禁されるんだということを思い知らされました。
ようやくお昼ご飯が支給されました。自分で買いに行くことが許されないのですから仕方ありません。
時計を見たら3時でした。
<~想定外のホテル2泊編・完結編に続く>
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